ご遺族・ご家族の方へ

社労士が亡くなったときの手続き連合会への届出・証票の返還・顧問先への連絡

社会保険労務士が亡くなったとき、ご遺族が行う手続きは、大きく「連合会への届出」「顧問先への連絡」「税務の手続き」の3つに分かれます。亡くなった方が個人の事務所だったか、社労士法人の社員だったかで進め方が変わるため、はじめに事務所の形を確かめてください。

最初にやること

手続きの期限を確かめる前に、次の順で状況を整えると、その後の判断がしやすくなります。

  1. 書類とデータをそのまま保管する:事務所の帳簿や顧問先から預かった書類には、顧問先と従業員の個人情報が含まれます。処分や持ち出しをせず、そのまま保管してください。事務所の職員には、業務で知った秘密を漏らしてはならない義務があり、職員でなくなった後も続きます(社会保険労務士法27条の2)。保存の期間や引き渡し先は事情によって異なるため、処分する前にご相談ください。
  2. 事務所の形を確かめる:個人の事務所か、社労士法人か。法人なら社員が何人かで手続きが変わります(次の章)。
  3. 顧問先への連絡の方針を決める:顧問契約は、社労士の死亡で終わるのが原則です(顧問先への連絡)。顧問先が困らないよう、誰がどう連絡するかを決めます。
  4. 連合会への届出を準備する:届出と社労士証票の返還が必要です(連合会への届出)。

事務所の形で変わる手続き

事務所の形亡くなった後に起きること
個人の事務所 登録が抹消されます(社会保険労務士法14条の10第1項2号)。顧問契約が委任(準委任)にあたる場合、契約は終わり(民法653条1号)、事務所を閉じる手続きが必要です(事務所を閉じる手続き)。
社労士法人
(社員が1人)
亡くなった社員は登録の抹消により法人を脱退し(社会保険労務士法25条の21第1号)、社員がいなくなるため法人は解散に当たります(社会保険労務士法25条の22第1項7号)。相続人の同意を得て新たな社員を迎え、法人を続けられる場合があります(社労士法人の場合)。
社労士法人
(社員が複数)
亡くなった社員は法人を脱退します(社会保険労務士法25条の21第1号)。法人は残りの社員で続きます。必要な手続きは、法人にご確認ください。

連合会への届出と証票の返還

社労士の登録は、全国社会保険労務士会連合会(連合会)が行っています(社会保険労務士法14条の3第2項)。社労士が死亡したときは、連合会が登録を抹消します(社会保険労務士法14条の10第1項2号)。

  • 死亡の届出:本人の法定代理人または相続人は、遅滞なく、その旨を連合会に届け出なければなりません(社会保険労務士法14条の10第2項)。
  • 社労士証票の返還:登録が抹消されたときは、法定代理人または相続人は、遅滞なく、社会保険労務士証票(特定社会保険労務士の場合は特定社会保険労務士証票)を連合会に返還しなければなりません(社会保険労務士法14条の12第1項)。
  • 社労士会:登録抹消の事由に当たった時に、当然、所属していた社労士会を退会します(社会保険労務士法25条の29第6項)。

所属していた社労士会にご確認ください

  • 届出の様式や提出先
  • 社労士会の会費の精算などの手続き
  • 証票のほかに、返却や利用の停止が必要なもの

社労士法人の場合

社労士法人の社員である社労士が亡くなると、登録の抹消により、その社員は法人を脱退します(社会保険労務士法25条の21第1号)。

社員が1人の法人

清算人を誰が務めるか、継続の手続きや登記をどう進めるかは、法人の状況によって異なるため、詳しくはご相談ください。

社員が複数の法人

法人は残りの社員で続きます。亡くなった社員の脱退に伴う手続きは、法人にご確認ください。

顧問先への連絡

顧問契約が委任(事務の委託であれば準委任)にあたる場合、受任者である社労士の死亡で終わります(民法653条1号、準委任への準用は民法656条)。実際の扱いは、顧問契約書の定めによっても異なります。

委任が終わったことは、相手方に通知したとき、または相手方が知っていたときでなければ、相手方に主張できません(民法655条)。顧問先には、社労士が亡くなったこと、顧問契約が終わること、今後の連絡先を早めに知らせてください。

ご遺族は社労士の業務を代わりに行うことはできません(社会保険労務士法27条)。顧問先のためにご遺族ができることには限りがあるため、迷ったときはご相談ください。顧問先への連絡と引き継ぎの方法は、顧問先はどうなるかで詳しくご説明しています。

税務の手続き

  • 準確定申告:亡くなった方に所得税の確定申告が必要な場合は、相続人が、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに申告します(所得税法124条・所得税法125条)。
  • 個人事業の廃止・消費税の届出:事業をやめたときは、税務署への届出が必要になることがあります。期限は届出ごとに決まっています。

税務の手続きは、税理士にご相談ください。

手続きと期限の一覧

手続き行う人期限根拠
死亡の届出(連合会)法定代理人・相続人遅滞なく社会保険労務士法14条の10第2項
社労士証票の返還(連合会)法定代理人・相続人遅滞なく社会保険労務士法14条の12第1項
社労士会の退会―登録抹消の事由に当たった時に当然退会社会保険労務士法25条の29第6項
解散の届出(社員1人の法人)社労士法人解散の日から2週間以内社会保険労務士法25条の22第2項
準確定申告相続人相続の開始を知った日の翌日から4か月を経過した日の前日まで所得税法124条・所得税法125条

よくある質問

  • 連合会への届出は誰が行いますか?

    社労士が亡くなったときの届出は、「その者、その法定代理人又はその相続人」が行うと定められています(社会保険労務士法14条の10第2項)。ご遺族が行う場合は、相続人の方が届け出ます。

  • 届出に期限はありますか?

    法律では「遅滞なく」届け出ることとされています(社会保険労務士法14条の10第2項)。具体的な様式や提出先は、所属していた社労士会にご確認ください。

  • 社労士会に退会の届けを出す必要はありますか?

    社労士が亡くなり登録抹消の事由に当たったときは、その時に当然、所属していた社労士会を退会することになります(社会保険労務士法25条の29第6項)。会費の精算などの手続きは、所属していた社労士会にご確認ください。

出典

条文は e-Gov 法令検索の現行の法令(2026年10月8日時点)で確認しています。