廃業と、登録を残す場合の違い
他人の求めに応じ報酬を得て業務を行う社労士(開業社労士)は、事務所を定めて、あらかじめ社労士名簿に登録を受けています(社会保険労務士法14条の2第2項)。事務所を終えるときの選び方は、次の2つです。
- 廃業する(登録の抹消):登録の抹消を申請すると、連合会が登録を抹消します(社会保険労務士法14条の10第1項1号)。
- 開業をやめて、登録は残す:登録を受けた事項に変更があったときは、遅滞なく変更の登録を申請します(社会保険労務士法14条の4)。開業をやめて登録を残す場合の手続きや会費などの扱いは、所属する社労士会にご確認ください。
進める順番
- 事務所を終える時期を決める
- 顧問先の引き継ぎ先と、引き継ぎの方法を決める(承継・引退。後継者がいない場合は事業承継)
- 顧問先に案内する(顧問先への案内)
- 顧問先の書類・データを引き継ぎ先または顧問先に引き渡す
- 職員に説明し、必要な手続きをする(職員・税務の手続き)
- 登録の抹消を申請し、社労士証票を返還する(登録抹消の申請)
- 税務の手続きをする
登録抹消の申請と証票の返還
- 社労士から登録の抹消の申請があったときは、連合会は遅滞なく登録を抹消します(社会保険労務士法14条の10第1項1号)。
- 登録が抹消されたときは、遅滞なく、社会保険労務士証票(特定社会保険労務士の場合は特定社会保険労務士証票)を連合会に返還しなければなりません(社会保険労務士法14条の12第1項)。
申請の様式や提出先、証票のほかに返却や利用の停止が必要なものは、所属する社労士会にご確認ください。
社労士会の退会
登録抹消の事由に当たった時に、当然、所属している社労士会を退会します(社会保険労務士法25条の29第6項)。会費の精算などの手続きは、所属する社労士会にご確認ください。
顧問先への案内と契約の終わらせ方
- 委任は、各当事者がいつでも解除できます(民法651条1項)。ただし、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方の損害を賠償しなければなりません(民法651条2項1号)。実際の扱いは顧問契約書の定めによっても異なるため、契約書もあわせてご確認ください。
- 顧問先が次の社労士を決めて手続きを引き継げるよう、時間に余裕をもって案内します。顧問先の数が多いほど引き継ぎに時間がかかるため、早めに案内するのが一般的です。
- 顧問先をほかの社労士・社労士法人に引き継ぐ方法は、承継・引退とM&A・売却の基本でご説明しています。引き継ぎの対価は譲渡価格の目安をご覧ください。
廃業後も続く義務
- 秘密を守る義務:業務で知った秘密を漏らしたり盗用したりしてはならず、開業社労士でなくなった後も同じです(社会保険労務士法21条)。
- 帳簿の保存:帳簿は関係書類とともに、帳簿を閉じた時から2年間保存しなければならず、開業社労士でなくなったときも同じです(社会保険労務士法19条2項)。
職員・税務の手続き
- 職員:職員は、業務で知った秘密を漏らしてはならない義務を、職員でなくなった後も負います(社会保険労務士法27条の2)。職員の退職に伴って、雇用保険・社会保険の手続きが必要になることがあります。期限は手続きごとに決まっているため、早めに確認してください。
- 個人事業の廃止・消費税の届出:事業をやめたときは、税務署への届出が必要になることがあります。期限は届出ごとに決まっています。
税務の手続きは、税理士にご相談ください。