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社労士事務所のM&A・売却買い手の条件と進め方

社労士事務所のM&A・売却は、顧問先との契約や職員を、ほかの社労士・社労士法人に引き継いでもらうことです。一般の会社の売買と違い、買い手になれる相手には条件があります。このページでは、買い手の条件、引き継ぐもの、進め方の流れ、相談先の選び方をご説明します。

買い手になれるのは誰か

社労士または社労士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、書類の作成や提出の代行などの社労士の業務を業として行うことはできません(社会保険労務士法27条。業務の範囲は社会保険労務士法2条1項)。そのため、顧問先の業務を引き継ぐ買い手は、社労士または社労士法人になります。

社労士法人の社員も、社労士でなければなりません(社会保険労務士法25条の8第1項)。社労士の資格を持たない会社が、社労士事務所を買って業務を続けることはできない点に注意してください。

M&Aで引き継ぐもの

  • 顧問先との契約:契約上の地位を引き継ぎ先に移すには、顧問先の承諾が必要です(民法539条の2)。顧問先と引き継ぎ先が新しく契約を結ぶ形もあり、どちらにするかは状況によって異なります。
  • 顧問先の書類・データ:個人情報保護法では、合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合、受け取る者は「第三者」にあたらないとされています(個人情報の保護に関する法律27条5項2号)。実際に引き渡すときは、顧問先への案内とあわせて慎重に進めます。
  • 職員:職員が引き継ぎ先で働き続けるかどうかは、職員本人の意向と引き継ぎ先の条件によって決まります。
  • 事務所の設備・契約:事務所の賃貸、業務用ソフトなどは、引き継ぐか解約するかを個別に決めます。

進め方の流れ

  1. 相談:事務所の形、顧問先の数、職員の状況などをお知らせください。
  2. 査定:顧問先の構成や契約の内容をもとに、事務所の価値を見積もります。
  3. 引き継ぎ先の決定:条件をすり合わせ、顧問先を引き継ぐ社労士法人を決めます。
  4. 契約:引き継ぎの範囲、時期、対価などを取り決めます。
  5. 顧問先への案内:顧問先に引き継ぎを知らせ、承諾を得ながら進めます。
  6. 引き渡し:書類・データの引き渡し、業務の引き継ぎ、対価の受け取りまでを進めます。

M&A仲介会社を使う場合と、引き継ぎ先に直接相談する場合

社労士事務所のM&Aでは、M&A仲介会社に依頼する方法と、引き継ぎ先となる社労士法人に直接相談する方法があります。どちらがよいかは、事務所の規模や希望する条件によって変わります。

M&A仲介会社に依頼する引き継ぎ先に直接相談する(当サイト)
相手探し幅広い候補の中から、条件に合う相手を探してもらえます顧問先を引き継ぐ社労士法人と、直接話を進めます
費用手数料がかかるのが一般的です。金額や計算の方法は会社ごとに異なりますご相談・査定は無料です。対価は引き継ぎ先の社労士法人から支払われます
向いている場合複数の候補を比べて決めたいとき顧問先と職員の引き継ぎを、相手と直接相談しながら進めたいとき

M&A仲介会社に依頼する場合は、手数料の体系や、どこまでサポートしてもらえるかを契約の前に確かめておくと安心です。

価格の目安

引き継ぎ先の社労士法人から、事務所の価値に応じた対価が支払われます(目安:年間売上の0.3〜0.5倍)。

※ 目安であり、顧問先の構成・契約内容などによる個別査定で決まります。

価格が上下する要素と、年間売上から目安を計算できるシミュレーターは、譲渡価格の目安にあります。

進めるときの注意点

  • 秘密を守る義務:開業社労士は、正当な理由がなく、業務で知った秘密を漏らしたり盗用したりしてはなりません(社会保険労務士法21条)。M&Aの検討の段階で顧問先の情報を渡すときは、範囲に気を付けてください。
  • 顧問先への案内の時期:顧問先の数が多いほど引き継ぎに時間がかかるため、早めに準備を始めるのが一般的です。
  • 引退・廃業の手続き:引き継ぎが終わった後の登録の抹消などは、廃業の手続きでご説明しています。承継全体の考え方は承継・引退、後継者がいない場合は事業承継をご覧ください。

よくある質問

  • 社労士事務所の譲渡の相場はいくらですか?

    決まった相場はありません。当サイトでは、目安として「年間売上の0.3〜0.5倍」をお示ししています。目安であり、顧問先の構成・契約内容などによる個別査定で決まります。価格が上下する要素は譲渡価格の目安でご説明しています。

  • 社労士事務所の引き継ぎはできますか?

    できます。顧問先の承諾を得て、ほかの社労士・社労士法人に顧問契約を引き継ぐ形が考えられます。契約上の地位を移すには、相手方(顧問先)の承諾が必要です(民法539条の2)。進め方は事務所の状況によって異なるため、詳しくはご相談ください。

  • 社労士でない会社に事務所を売却できますか?

    社労士または社労士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、社労士の業務を業として行うことはできません(社会保険労務士法27条)。そのため、顧問先の業務を引き継ぐ相手は、社労士または社労士法人になります。

出典

条文は e-Gov 法令検索の現行の法令(2026年10月8日時点)で確認しています。