社労士法人の承継の形
| 形 | 内容 |
|---|---|
| 社員を入れ替える | 後継者となる社労士が社員として加わり、引退する社員が法人を離れます。法人はそのまま続きます |
| 持分を譲渡する | 社員が持分を、社員になる社労士に譲ります |
| 合併する | ほかの社労士法人と1つになります |
| 顧問契約を引き継ぐ | 法人の顧問先を、ほかの社労士法人に引き継ぎます。その後、法人を解散することもあります |
社員になれるのは社労士だけ
社労士法人の社員は、社労士でなければなりません(社会保険労務士法25条の8第1項)。社員を入れ替える形でも、持分を譲渡する形でも、新しく社員になるのは社労士です。社労士の資格を持たない会社や個人が、社労士法人を買い取って社員になることはできません。
持分の譲渡
社労士法人の社員には、会社法の持分の譲渡の定めが準用されます(社会保険労務士法25条の25)。社員は、ほかの社員全員の承諾がなければ、持分の全部または一部を他人に譲渡できません(会社法585条1項)。
持分の評価や、譲渡と社員の加入をどう組み合わせるかは、法人の定款や状況によって異なります。詳しくはご相談ください。
社員の加入・脱退と定款の変更
- 社員の脱退:社員は、社労士の登録の抹消、定款に定める理由の発生、総社員の同意、除名によって法人を脱退します(社会保険労務士法25条の21)。
- 定款の変更:社労士法人は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意で定款を変更できます。定款を変えたときは、変更の日から2週間以内に、主たる事務所の所在地の社労士会を経由して、連合会に届け出なければなりません(社会保険労務士法25条の14)。
- 社員の加入:社員の加入に伴う手続きや登記は、法人の定款や状況によって異なるため、詳しくはご相談ください。
ほかの社労士法人との合併
社労士法人は、総社員の同意があるときは、ほかの社労士法人と合併できます。合併は、合併後に存続する法人(または合併で設立する法人)が、主たる事務所の所在地で登記をすることで効力が生じます(社会保険労務士法25条の23)。
顧問契約をほかの社労士法人に引き継ぐ
- 契約上の地位を引き継ぎ先に移すには、相手方(顧問先)の承諾が必要です(民法539条の2)。顧問先と引き継ぎ先が新しく契約を結ぶ形もあり、どちらにするかは状況によって異なります。
- 個人情報保護法では、合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合、受け取る者は「第三者」にあたらないとされています(個人情報の保護に関する法律27条5項2号)。実際に引き渡すときは、顧問先への案内とあわせて慎重に進めます。
- 引き継ぎ先の社労士法人から、事務所の価値に応じた対価が支払われます(目安:年間売上の0.3〜0.5倍)。目安であり、顧問先の構成・契約内容などによる個別査定で決まります。
社員が1人の法人の注意点
社員が1人の社労士法人では、その社員がいなくなること(社員の欠亡)が、法人の解散の理由に当たります(社会保険労務士法25条の22第1項7号)。社員の死亡で解散に当たった場合に限り、清算人は、亡くなった社員の相続人の同意を得て、新たに社員を加入させ、法人を継続できます(社会保険労務士法25条の22の2)。
引退を考えている場合は、後継者を早めに社員として迎えることも選択肢になります。後継者がいない場合の進め方は事業承継、亡くなった後の手続きは社労士が亡くなったときの手続きでご説明しています。