会社設立のメリット・デメリットとは?個人事業主との比較から徹底解説!

個人で何かのビジネスをしたり資産運用で収入を得る場合、個人事業主として事業を運営する、会社設立をして法人化させる方法の2通りが考えられます。最近は1人でビジネスを行う場合でも、新たに法人を設立して会社の代表という肩書を得た上で仕事をする人が増えています。 しかし、新たに法人を設立するためには相応の費用や手間がかかりますし、税務処理の方法も複雑になります。それでも個人事業主ではなくて会社を設立して法人として事業を運営することには、税金やその他の点で多くの利点があります。 本記事では、個人事業主と会社設立をする場合を比較し、会社を設立するメリット・デメリットをご紹介します。

個人で何かのビジネスをしたり資産運用で収入を得る場合、個人事業主として事業を運営する、会社設立をして法人化させる方法の2通りが考えられます。最近は1人でビジネスを行う場合でも、新たに法人を設立して会社の代表という肩書を得た上で仕事をする人が増えています。

しかし、新たに法人を設立するためには相応の費用や手間がかかりますし、税務処理の方法も複雑になります。それでも個人事業主ではなくて会社を設立して法人として事業を運営することには、税金やその他の点で多くの利点があります。

本記事では、個人事業主と会社設立をする場合を比較し、会社を設立するメリット・デメリットをご紹介します。

会社設立のメリット

会社設立をすると、法的な立場(法人格)を得ることができます。法人としての立場を得ることで、個人事業主では得られない複数の恩恵を受けることができるようになります。法人化して得られる恩恵には、税制上の優遇処置や社会的な信用などが含まれています。

以下では、会社を設立して法人化する主なメリットを5つ紹介します。

信用を得やすい

個人事業主の状態から会社を設立してすぐに変化することは、自身の肩書です。個人事業主の状態であれば、名刺に肩書きなし、または学位や資格などの称号が付いた個人名が記されていました。

一方、法人化すれば会社の代表という肩書が付くので、社会的な信用が得られます。会社を設立して運営をするためには関係する法令を順守する義務があるので、情報開示やその他の面で法律に従う必要があります。会社を設立して法的に登記を行うということは、法律をきちんと遵守しながら事業を運営しているという証拠となるのです。

また、会社を設立すると代表者や事業内容・資本金などの情報が法務局に登記されるようになり、取引先の関係者が自由に閲覧することが可能になります。そのため、法人として法的に登録されていることで、安心して取引をしてもらいやすくなるというメリットがあるのです。

節税ができる

新たに会社を設立して事業を運営することで、節税がしやすくなるという利点があります。具体的には以下の4点です。

  • 給与所得控除が適用される
  • 経費として認められる範囲が広がる
  • 税率が低い法人税が適用される
  • 消費税の免税ができる

個人事業主であれば利益の分が全て課税対象になりますが、会社を設立して給料の形で受け取ることで自動的に一定額の給与所得控除が受けられます。

また、個人事業主であっても収入から必要経費を差し引いた分を税務署に申告しますが、会社の方が経費として控除される範囲がさらに広がります。

利益が一定額以上であれば法人税の方が税率が低くなりますし、設立してから2年間は消費税の納税免除が受けられるため、個人事業主よりも節税効果が高いと言えるのです。

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融資や資金調達が行いやすくなる

小規模で事業を行う場合でも、ある程度の資金が必要になる場合があります。

個人名義で銀行から借金をする方法もありますが、法人名義の方が融資の審査に通過しやすくなります。法人化した場合は個人の財産と会社の資金を明確に分ける必要が生じ、お金を適切に管理することが求められるからです。

会社を設立すれば銀行や個人からの借金だけでなく、新規に株を発行して出資を募ったり日本政策金融公庫や信用保証協会などの国の機関を通して、低利で融資を受けることも可能になります。会社であれば国や自治体が行う各種の融資制度も活用できるようになるので、法人格を得ることは資金調達の手段を増やしたり調達コストを下げるという効果をもたらしてくれるのです。

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決算日を自由に決められる

個人事業主の場合は、事業年度が1月~12月に限定されているので、決算期は12月末に固定されてしまいます。年末年始に売り上げが増える場合でも、12月31日を締日に設定して利益を確定しなければなりません。

一方、会社を設立すれば、繁忙期の状況や節税に合わせて自由に決算日を決めて事業年度を定めることができるようになります。あえて繁忙期の時期に決算期を設定することによって、会社の業績をよく見せることも可能なのです。

一般的に、日本では3月末に決算日を設定している会社がたくさんありますが、諸般の理由で9月末や他の時期を選んでいる法人も少なくありません。決算期は事業者にとって非常に重要で、事業年度を自由に決められることは大きなメリットといえます。

事業承継がしやすい

会社を設立すると、事業のために用いる資金・資材・不動産などの資産が法人の所有物となります。個人と会社の所有物が明確に分かれることで、オーナー個人と会社を分けることができます。

そのため、会社の事業を他の人に譲渡して事業継承をしやすくなり、もしも代表者が死亡した場合でも会社の事業を続けることができるようになります。子供や他の親族に事業を譲る場合でも、会社設立して法人化しておけば代表者名を変更するだけで済みます。事業継承時に会社が保有する資産の名義を変更する必要もありません。

これに対して個人事業主の場合はビジネスに使用する資産は全て個人名義の財産なので、オーナーが亡くなった場合は一時的に口座が凍結されて事業がストップしてしまいます。

会社設立のデメリット

個人事業主が会社を設立して法人化することで信用力・資金調達・税金面でメリットを享受することができますが、逆にデメリットも存在します。

以下では、個人事業主の状態から法人化することで生じるデメリットを5つ紹介します。

社会保険への加入が義務付けられている

会社を設立すると、法律上の義務が発生するようになります。自分1人や家族経営のように小規模で事業を運営する場合でも、法人化して組織に所属するようになれば社会保険に加入することが義務付けられています。

必ず加入しなければならないのは健康保険と厚生年金の2つですが、それまで加入していた国民健康保険・国民年金とは計算方法が異なります。

所得額によって保険料の金額が違いますが、ほとんどの場合は健康保険や厚生年金の方が保険料が高くなります。小規模な会社で他の人を雇う場合には、会社と本人が半分ずつ負担することになります。

会社を設立すると社会保険の負担が増加して事業に影響が及んでしまう恐れがあるので、注意が必要です。

会社の設立に時間とコストがかかる

会社を設立するためには、必要な書類を作成してから法務局に登記手続きを行う必要があります。一部の司法書士や法律事務所などでは低料金で会社設立の代行するサービスを行っていますが、新規に株式会社を設立する場合は手数料だけで最低20万円もの費用がかかります。

これに加えて必要な書類を作成したり資本金を用意する必要があるので、1週間かそれ以上の期間が必要になります。

最近は新規に会社を設立する際のハードルが下がってはいますが、それでもある程度の費用と時間が必要になることを覚悟する必要があります。ビジネスの規模が小さくて所得額が少ないと、会社を設立する費用を負担することで赤字になってしまう恐れがあるので注意しましょう。

会社設立の流れとは?費用や必要書類を徹底解説【総まとめ】

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所得が赤字であっても法人住民税を払わないといけない

会社を設立すると経費の範囲や赤字の際に法人税を納税する必要がないという恩恵が得られますが、法人住民税に関しては必ず負担しなければなりません。

法人住民税というのは法人(団体)が自治体に納税する税金のことで、個人が支払う住民税とは別です。会社の事業が赤字でも法人住民税だけは免除されないので、規模が小さな法人にとっては大きな負担になってしまう場合があります。

法人住民税の税額は自治体や会社の規模によって違いがありますが、例えば東京都内であれば少なくとも年額7万円の税金を納めなければなりません。自治体によっては税額がもっと低く設定されている場合があるので、会社を設立する前に自治体のホームページなどで確認をしておくと良いでしょう。

事務負担が増える

会社を設立すると、組織を維持・運営するための事務手数料の負担が増加するというデメリットがあります。

個人事業主であれば単純に収入から必要経費を差し引いた分を利益として会計処理をすれば済みますが、法人化すると法律に従って厳密に会計処理をすることが求められます。税理士に会計処理を依頼をする場合でも、個人事業主よりも法人の方が手数料が高くなります。

従業員を雇っている場合には、社会保険や労災などに加入するための費用や手続きの手間が発生します。株式会社であれば株式総会を開催することや役員変更登記の手続きが必要になるので、会社設立することで本業のビジネスとは別に事務手続きの手間やコストの負担が増加してしまいます。

交際費に上限がある

会社を設立すれば、事業のために支出した費用が必要経費として認められやすくなるというメリットがあります。個人事業主と同様、取引先の接待などのために使用した交際費についても経費に計上することが可能ですが、法人化した場合には交際費の上限が定められているのです。

個人事業主であれば税務署が認めてくれる範囲で経費を計上することができますが、法人であれば交際費については法律で厳密に経費に認められる上限が定められています。

交際費の上限についてですが、資本金が1億円以下の会社であれば年額800万円までです。月額に換算すると66万6千円となり、規模の大きな会社であっても交際費として認められる範囲が厳格であることが分かります。

法人と個人事業主の違い

形態 個人事業主 法人
設立方法 登記不要。税務署などの役所へ開業届を提出。費用は特にかからない。 定款の作成・認証と法人の登記が必要。費用は30万円程度。
事業年度 1月から12月の暦年 自由に設定可能
代表者の報酬 自らの給与は経費に該当しない 代表取締役として役員報酬(給与所得控除の適用可能)を受給できる
対外的信用度・イメージ 法人でなければ取引に応じてもらえないこともある 対外的信用度が高く、イメージも良い。取引や人材確保に有利。
赤字の繰越控除 赤字の金額は翌年以後3年間の黒字金額から差し引き可能

※青色申告の場合

赤字の金額は翌事業年度以後9年間の黒字金額から差し引き可能
交際費の取扱い 業務の遂行上必要と認められるものについては経費計上が可能 資本金1億円以下の法人は、年間800万円までは原則損金参入
社会保険の加入 原則として5名までは社会保険の加入は自由 社長一人のみでも社会保険への加入が必須

 

会社を設立し、法人になった場合と個人事業主の場合の違いを表にまとめました。

事業の規模によっては法人化をした方が節税になるケースがあるので、ある程度の事業規模になってきた個人事業主の方は法人化を検討してみてもいいかもしれません。

個人事業主と法人(会社設立)の違いは?メリット・デメリットを比較

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まとめ

本記事では、会社を設立するメリット・デメリットについて解説をしました。

個人事業主として事業を続けていくメリットはもちろんありますが、個人でできる裁量には限界があります。事業が伸びて売り上げが立ってくると信用面や節税面で会社を設立して法人化をしたほうが今後の自身のキャリアにもプラスになってくるでしょう。

一方、会社設立にはデメリットもありますので、メリット・デメリットをしっかり理解した上で検討してみてください。

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。

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