スタートアップに税理士は必要?不向きなケースや依頼できる業務も解説!
創業から間もないスタートアップは、資金にも余裕がなく、会計処理も自力で行える場合も多いため、税理士への依頼を検討していない方も多いでしょう。 しかし、税理士は税務・会計の専門家として、経理業務や税務申告以外にも、スタートアップに対してあらゆるサポートを提供してくれます。 本記事では、スタートアップが税理士に依頼できる業務や費用相場、税理士の選び方について解説します。スタートアップの経営者やこれから起業を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
スタートアップに税理士は必要?
基本的にスタートアップであっても税理士はつけた方がよいでしょう。
スタートアップは限られた資金や人的リソースで事業を運営することが多いため、日々の経理業務の負担を削減したり、資金繰りや資金調達に関する適切なアドバイスを受けられることは、事業をさらに成長させるうえで大きなメリットとなります。
以下では、特にスタートアップが税理士に業務を依頼した方がよいと考えられるケースを4つ紹介します。
税務・会計の知識が不足している
税務や会計に不安がある場合、適正に納税したり納税額の負担を減らすためにも税理士のサポートは不可欠です。
個人事業主に所得税が課されるのと同様に、法人も所得に応じて法人税を納める必要があります。特に所得が大きくなる法人では、税制上の優遇を受けるためにも、青色申告の承認を受けることが一般的です。ただし、青色申告を適用するには、簡易帳簿ではなく複式簿記で帳簿を作成しなければならず、白色申告よりも提出書類が追加で必要です。
税務や会計に全く知識がなければ、適切な会計処理や税務申告が難しく、後に税務調査や追徴課税が生じるリスクが高まるため、顧問税理士に税務業務を依頼するとよいでしょう。
経理業務の時間を削減したい
会社を経営する上で、経理業務は欠かせません。日々の記帳業務や給与計算・年末調整、決算書や税務申告書の作成など、会計や税務に関わる業務には年間を通して多くの時間が必要となります。
しかし、スタートアップの経営者は多くの業務に忙殺され、経理業務に割く時間が限られているでしょう。特に、年末年始や決算期が多い3月周辺は経理業務の負担が大きくなりますが、運営している事業の繁忙期とも重なることも多く、本業に集中したいという方も多いでしょう。
そのような場合は、税理士に依頼することで経理業務の時間を削減し、本業に集中できる時間を確保するとよいでしょう。
節税対策や資金繰りについてのアドバイスがほしい
資金繰りに余裕がないスタートアップにとって、節税対策や資金繰りについて相談できることは非常に有益です。
まず、税理士は節税対策の専門家でもあり、スタートアップに適した効果的な節税方法を提案してくれます。特に、会社設立支援に精通している税理士は、創業時の決算期や資本金の設定、役員報酬の決定において税制面で有利となるようなアドバイスなどのサポートをしてくれます。
会社の規模にもよりますが、場合によっては数十万円から数百万円の節税をすることが可能です。
また、節税対策に強い税理士であれば、税法を遵守したうえで決算申告時に適用できる制度や特例を活用し、税金負担を軽減してくれるでしょう。
減税・免税制度は会社の規模や業種によって適用できる制度や控除額が異なるため、適切に活用して節税対策を行うには、制度への深い理解や改正内容のキャッチアップが必要です。
もし、税務に精通していない人が誤った方法で減税・免税制度を適用し税務申告をしてしまえば、税務調査や追徴課税のリスクが生じてしまうかもしれません。
税務の専門家である税理士に節税対策を依頼することで、合法の範囲内で可能な限りキャッシュを残すことができ、資金繰りが厳しいスタートアップにも心強い味方となるでしょう。
さらに、税理士には資金繰りについても相談することができます。キャッシュフローを改善させるためのアドバイスにとどまらず、融資の審査に必要な書類作成のサポートや面談対策、場合によっては金融機関との交渉まで行ってもらえるかもしれません。
企業の成長に重要な資金繰りの支援を受けられることは、スタートアップが税理士をつける大きなメリットとなるでしょう。
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税務調査や追徴課税のリスクを軽減したい
法人税の申告は個人の所得税の申告と比べて非常に複雑です。決算書と呼ばれる書類にも貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書など複数の種類があり、作成にあたっては税や会計、簿記などの知識が求められます。
もちろん法人決算・税務申告を自分で行うことは可能ですが、税務に関する知識がない人が行うと、作業に膨大な時間を要するだけでなく、間違った内容で申告してまった場合、税務調査や追徴課税が発生してしまう可能性があるでしょう。
そのため、税務のプロである税理士に決算・申告業務を依頼することで、税負担を可能な範囲で減らしながら正確に申告を済ませることができるでしょう。
また、申告内容に問題がない場合であっても、節税対策によって所得に対する税額が大幅に少なくなっている場合などは税務調査の対象となることがあるのです。その場合、税務調査時に調査官の質問や指摘に対して適切に対応できなければ、修正申告・追徴課税の対象となり、最悪の場合、ペナルティを課され必要以上に税金を払わなければいけなくなってしまう可能性もあります。
顧問税理士をつけていれば税務調査の事前対策や当日の立会いを依頼でき、調査官に対しても専門家の視点から的確に対応してもらうことができるでしょう。
そのため、税務調査や追徴課税のリスクを軽減したいと考える場合にも、税理士との顧問契約を検討するとよいでしょう。
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スタートアップに税理士の依頼が不向きであるケース
先述したように、基本的にはスタートアップであっても、事業運営上の大きなメリットを得られるため顧問税理士をつけた方がよいです。
しかし、スタートアップにとって税理士を依頼することが必ずしも最適とは限りません。以下の2つのようなケースに当てはまる場合には税理士に業務を依頼しなくてもよいと考えられるでしょう。
税理士費用の負担が重いと感じる
スタートアップの初期段階では、税理士に依頼する費用が経営に負担をかけることがあります。
スタートアップのような小規模の法人が顧問税理士をつける場合、月額の顧問料の相場は1.5〜3万円程度です。また、決算・税務申告業務の代行を依頼する場合、顧問料とは別に10万円〜20万円程度、記帳業務を依頼する場合には月鎚5,000円〜1万円程度かかります。
つまり、全ての業務を税理士に依頼する場合、最低でも年間で30万円程度の費用が必要となるのです。
スタートアップは特に資金繰りが課題となるケースが多く、毎月の税理士費用を支払う余裕がない場合もあるはずです。
また、取引の数が少なく、お金の動きがほとんどない場合には経理業務や税務申告の負担はそれほど大きくないでしょう。
そのような場合には、税務署の無料で利用できる相談窓口などを活用し、自分で税務業務を行ったり、必要に応じてスポットで税理士に業務を依頼したりするとよいでしょう。
経理業務のノウハウを自社に蓄積させたい
「経理業務のノウハウを自社に蓄積させたい」という場合、全ての経理業務を外部に委託するのではなく、適度に自社で経理を管理することが重要です。
特に、売上や取引ルールが頻繁に変更される業種では、経理のプロセスを社員がしっかり理解し、自社で対応できるようにする必要があります。例えば、以下のようなケースが該当します。
- 取引先によってマージンを変えている卸売業・小売業
- 自社の業績に応じて製品価格を細かく調整している企業
- インセンティブ制度など、社員の報酬制度が流動的で複雑な場合
税理士にすべてを依頼すると、経理業務がブラックボックス化し、社員にノウハウが蓄積されないリスクが高まります。
スタートアップ企業が成長し、社員数が増える中で、経理業務の知識を持つ社員がいない状態は非常に問題です。また、外部に委託し続けると不要なコストが発生し続ける可能性もあります。
自社にノウハウを蓄積するためには、経理業務の一部を自計化し、定期的に税理士や専門家からの指導を受けながら、社内で経理業務を管理する体制を整えることが重要です。
スタートアップが税理士に依頼できる業務
スタートアップが税理士に依頼できる業務は幅広く、主に以下の7つがあります。
- 会社設立手続きのサポート
- 経理業務の代行
- 税務関係書類の作成
- 節税対策のアドバイス
- 資金調達のサポート
- 税務調査の立会い
- 経営コンサルティング
税理士によっては得意としている業務範囲が異なるため、依頼する前にどのようなサポートが必要かを事前に洗い出しておくとよいでしょう。
以下では、それぞれの業務を税理士に依頼した場合に受けられるサポートについて説明します。
会社設立手続きのサポート
会社を設立する際には、以下のようなさまざまな設立手続きが必要になります。
- 法人の設立登記、定款の認証
- 法人印の作成、法人口座の開設
- 税務署と都道府県・市区町村への会社設立関係、その他税務関連届出の作成
- 許認可申請
- 社会保険や雇用保険などの労務関係の手続き
- 役員報酬、決算期の決定
これらのなかでも主に税理士がサポートしてくれるのは、税務署や都道府県税事務所・市区町村役場などの機関に提出する税務書類の作成です。
個人と同様に、法人も所得に対して税金を納める義務があり、所得に応じて法人税や法人住民税・法人事業税が課されます。そのため、会社設立時には税務署で法人税等の手続き、都道府県税事務所・市区町村役場で法人住民税・法人事業税の手続きを行う必要があるのです。
それぞれの手続きでは主に以下の書類の提出をします。
税務署で法人税等の手続きをする際に提出する書類
- 法人設立届出書:会社設立から2ヵ月以内
- 青色申告の承認申請書:会社設立から3ヵ月以内
- 源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書:提出した日の翌月に支払う給与から適用
- 給与支払事務所等の開設届出書:会社設立から1ヵ月以内(従業員を雇う場合)
都道府県税事務所・市町村役場での法人住民税・法人事業税の手続き時に提出する書類
- 法人設立届出書
- 定款の写し
- 登記事項証明書
会社設立時の手続きに必要な書類のなかでも、税理士は税務関係書類の作成を代行してくれるため、手続きの負担が軽減されるでしょう。
なお、法人の設立登記や許認可の申請は司法書士の独占業務、社会保険や雇用保険などの労務関係の手続きは社労士の独占業務であるため、税理士は行うことができません。しかし、大手の税理士事務所を中心に他の士業と連携している税理士事務所もあり、会社設立の手続きを一貫してサポートしてもらえる可能性もあります。
会社設立の流れとは?費用や必要書類を徹底解説【総まとめ】
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経理業務の代行
顧問契約内、または追加のオプションメニューとして、記帳をはじめとする経理業務を代行してもらえます。
経理は日々の売上や支出、資産や負債などを記録・管理し、スタートアップの財務状況を把握するために必要な業務ですが、取引数が多いような業種や特殊な取引が多い業種では、専門的な知識が必要となる場合もあり、多大な時間や労力がかかるでしょう。
そのため、会計・税務の専門家である税理士に経理業務を依頼することで、業務の負担を大幅に軽減することができるだけでなく、会計処理の間違いや漏れによるトラブルも防止できます。
税務関係書類の作成
スタートアップの会社設立時に必要な税務関係の書類作成以外にも、税理士には毎年行う必要がある年末調整や決算・税務申告に必要な書類の作成を代行してもらえます。
これらの書類は法律や規定に基づいて正確に作成しなければなりません。もし書類の内容に不備や誤りがあれば、税務調査で指摘を受け、追加納税やペナルティが課されてしまう可能性があるでしょう。
税理士はこれらの書類を正確に作成するだけでなく、法を遵守した範囲で最大限税金負担が軽くなるように控除や特例を活用しながら節税も行ってくれます。
また、税理士が関与していることによって税務署からの信頼度も向上するため、税務調査の対象となるリスクも低減させられるでしょう。
節税対策のアドバイス
資金繰りが課題となりやすいスタートアップにとって、可能な限り手元に資金を残すためにも節税対策は非常に重要です。
税理士は、税法や税制に関する豊富な知識を駆使して、依頼者の税金を効果的に軽減できるようアドバイスしてくれます。また、節税対策に強い税理士であれば、常に企業の経営状況や財務状況から納税額を予測し、企業の業種や経営方針、事業特性なども考慮したうえで適切な節税対策を提案してくれるでしょう。
特に、顧問契約を結んでいる場合には、税理士が企業のお金の流れを詳細に把握できるようになるため、より効果的に節税対策を講じられると期待できます。
ただし、税理士によっては、節税対策に関する知識に乏しかったり、税務調査のリスクを恐れて積極的に提案をしてくれない可能性もあるため注意が必要です。
資金調達のサポート
税理士試験に科目がないことから、税理士の中には資金調達に精通していない税理士が多くいます。しかし、税理士によっては、税務書類の作成や税務代行、税務相談などの独占業務の関連業務として資金調達の支援に対応しているケースもあります。
資金調達に強い税理士に相談することで、融資や補助金・助成金の活用、私募債の発行、ベンチャーキャピタル、クラウドファンディングなど、さまざまな資金調達方法の中から最適な方法を提案してもらえます。
資金調達の方法として最もポピュラーな方法である、金融機関の融資を受ける場合には、評価されやすい決算書や事業計画書の作成、面談対策などの支援が受けられるため、融資の審査に通過できる確率が格段に上がるでしょう。
資金調達にはどんな種類がある?それぞれのメリット・デメリットを解説
資金調達は創業時だけでなく、継続的に事業を運営したり発展させるためにも必要です。 資金調達にはさまざまな方法がありますが、各自の状況に応じてどの方法が適しているか判断するのが難しい場合も多いでしょう。 本記事では、資金調達の種類や適している活用場面について詳しく解説します。資金調達を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
税務調査の立会い
税務調査の対象となった場合、まずは調査に先立って必要な書類の確認や税務調査官が行う質問を想定した当日のシミュレーションをしてもらえます。
そして、税務調査当日には立会いをしてもらうことができ、税務調査官の質問や指摘に対する回答や税務調査間との交渉においてサポートが受けられます。税理士が立ち会うことで、調査への対応が円滑に進むだけでなく、不当な指摘を受けるリスクを軽減させられるでしょう。
万一、税務調査後に修正申告・追徴課税の対象となった場合には、申告書類の修正や調査結果に対する異議申し立てを行ってもらうことができます。
経営コンサルティング
税理士は、顧問先に対して3つの独占業務を中心にサービスを提供していることが大半です。
しかし、税理士報酬規定が撤廃されたことによって、価格競争に陥ってしまったことから、近年では差別化を図るべくコンサルティング業務を提供している税理士事務所が増加しています。
税理士のコンサルティング業務には主に以下のようなものが含まれます。
- 経営戦略の立案支援
- 財務分析・リスク管理
- 事業再生・事業承継支援
- バックオフィスの効率化支援
- 株式公開の準備
経営コンサルティングにはさまざまな領域がありますが、税理士がコンサルティングを提供する場合は「数字のプロ」として税理士の知識が応用できる範囲が一般的です。
スタートアップが税理士に依頼するおすすめのタイミング
ここでは、実際にスタートアップが税理士に依頼する場合、どのタイミングで税理士に依頼するのがよいか、おすすめのタイミングを2つ紹介します。
会社設立時
スタートアップが税理士をつける場合、一番おすすめのタイミングは会社設立時です。
先述したように、税理士は税務関係書類の作成を中心に会社設立手続きをサポートをしてくれます。加えて、会社設立前から税理士に依頼することで、企業形態や資本金、資金繰り計画など幅広く相談することが可能です。特に、資金に余裕がないことが多いスタートアップにとって、創業時に資金面でサポートを受けられることは大きなメリットとなるでしょう。
また、会社設立時には役員報酬の金額や決算月についても決定しなければいけません。役員報酬の金額や決算のタイミングによっては、税金負担が数十万円から数百万円にわたって変動する可能性もある上、頻繁に変更できるものではないため、慎重に決定する必要があるでしょう。税理士に相談すれば、税制面で有利となるよう、これらの決定に際してアドバイスをくれると考えられます。
創業時には経理の業務フローや管理体制が整っていないことがほとんどです。会社設立後もそのまま同じ税理士に依頼することで、経理面でのサポートをスムーズに受けられます。
創業から間もない時期であれば税理士費用を捻出することが難しいという場合もあるとは思いますが、長期的に考えると費用以上の効果を得られる可能性が高いため、特に1期目からまとまった売上が見込まれる場合には、税理士への依頼を検討するとよいでしょう。
会社設立から1〜2年後
資金不足などを理由に会社設立時に税理士への依頼を断念した場合には、設立後1〜2年後のタイミングで依頼するとよいでしょう。
売上が伸びて経理業務が複雑化した時期や、初年度の決算や税務申告の時期が特におすすめです。
さらに厳密にいうと、課税売上高が1,000万円を超えるタイミングがおすすめです。
課税売上が1,000万円を超えると消費税の申告が必要となり、2023年10月から施行されたインボイス制度もあいまって会計業務が一層複雑化します。また、売上が増えるほど、会計業務の負担が大きくなるだけでなく、効果的な節税対策も重要となるため、このタイミングで税理士への依頼を検討することが望ましいです。
ただし、確定申告直前は税理士が繁忙期に入るため、費用が通常の2倍近くになることがあり、依頼が遅れると税理士の負担も増し、節税効果が十分に発揮されない可能性もあります。そのため、決算申告前に税理士に依頼する場合には、時間に余裕を持って早めに依頼することが重要です。
スタートアップが税理士に依頼するときの費用相場
スタートアップが税理士に依頼するか迷っている場合、税理士費用が懸念となっていることが多いでしょう。
ここでは、スタートアップが税理士に依頼したときにかかる税理士費用の相場を紹介します。税理士への相談を検討されている方は、相場を参考にしながら各税理士事務所の料金体系をチェックするとよいでしょう。
会社設立時のサポート
税理士に会社設立に関する書類作成や税務相談などのサポートを依頼する場合、一般的には3万円〜5万円程度の税理士費用がかかります。
なお、司法書士や社労士と提携している税理士に会社設立支援を依頼する場合、法人の設立登記や定款認証、労務関係の手続きも代行してもらうことができます。その場合には、司法書士や社労士にも追加で3万円〜5万円程度の費用がかかることが一般的です。
なかには、創業時に顧問契約を締結することによって会社設立の手続きにかかる費用が無料となるケースもあるので、各税理士事務所の料金体系について詳しく確認してみるとよいでしょう。
顧問料
顧問契約を結べば、給与計算や記帳代行、税務相談など、毎月発生する業務に対して税理士のサポートが得られます。
一般的に、税理士の顧問料は売上や事業規模に応じて設定されています。取引数や取引内容に応じて会計処理が煩雑化するためです。
顧問料の相場については以下の通りとなっています。
年間売上高(年商) | 顧問料(月額) |
---|---|
〜 1,000万円 | 1.5万円 〜 2.5万円 |
1,000万円 〜 3,000万円 | 2万円 〜 3万円 |
3,000万円 〜 5,000万円 | 2.5万円 〜 3.5万円 |
5,000万円 〜 7,000万円 | 3万円 〜 4万円 |
7,000万円 〜 1億円 | 3.5万円 〜 4.5万円 |
1億円 〜 5億円 | 4.5万円 〜 6万円 |
税理士事務所によって、顧問料の範囲内で対応してくれる業務が異なるため、事前にお問い合わせや無料相談を活用しながら、複数の見積もりを取ることをおすすめします。
その他の費用
顧問契約を結んでいる場合にも、決算申告や消費税申告、記帳代行、資金調達のサポートなどには別途税理士費用が発生するケースが多いです。
ただし、スポットで業務を依頼する場合と比較すると、料金設定はやや低めに設定されています。
それぞれの業務を依頼した場合に発生する費用の相場は以下の通りです。
依頼する業務 | 顧問料(月額) |
---|---|
決算申告 | スポット契約:15〜25万円
顧問契約:顧問料の4〜6ヶ月分 |
消費税申告 | 3万円〜5万円 |
記帳代行 | 0.8万円〜3万円 |
年末調整 | スポット契約:基本料金1〜3万円+従業員1人当たり3,000円
顧問契約:スポット契約時の半額 |
資金調達支援 | スポット契約:着手金3〜5万円+融資額の2〜5%の成功報酬
顧問契約:融資額の2〜5%の成功報酬のみ |
税務調査の立会い | 1日3〜5万円 × 調査日数 |
なかには、顧問料内で消費税の申告や記帳業務、税務調査の立会いを行ってくれる税理士もいるので、依頼する前にお問い合わせや無料相談などでサービス範囲を確認しておくとよいでしょう。
税理士に相談や依頼する時の費用相場はどれくらい?依頼するメリットは?
税理士に依頼する時の費用は依頼内容や契約形態によって大きく変わるため、「税理士を探しているけれど費用相場がわからない」という方も多いでしょう。 このような方に向けて、本記事では、税理士に依頼する時の具体的な費用相場や費用を抑えるためのポイントについて解説します。
スタートアップに向いている税理士の選び方のポイント
スタートアップが税理士に依頼することにはさまざまなメリットがあります。
しかし、どの税理士に依頼しても費用以上の効果を得られるとは限りません。税理士のなかにはスタートアップが求めるサービスを提供できない場合もあります。
税理士に依頼するには高い税理士費用が必要となるため、税理士選びは慎重に行わなければなりません。
ここでは、スタートアップに向いている税理士の選び方のポイントを3つ紹介します。
スタートアップ支援の実績が豊富な税理士を選ぶ
スタートアップが税理士を選ぶ際には、まずスタートアップ支援や会社設立支援の実績が豊富な税理士かどうかを確認するとよいでしょう。
一般的に、税理士は税務相談や税務代行、税務書類の作成を中心に行っており、創業支援には対応していない税理士が多いです。
そのため、会社設立時に税理士への依頼を考えている場合は特に、会社設立支援やスタートアップ支援に精通している税理士かどうかを見極める必要があります。
スタートアップ支援の経験が豊富か見極めるには、以下のポイントをチェックするとよいでしょう。
- スタートアップ支援や会社設立支援の実績や事例が公開されている
- スタートアップ支援のノウハウや情報を発信している
- 会社設立支援や資金繰り計画についての相談がサービスの範囲に含まれている
税理士選びに失敗すると、期待していた効果が得られないにも関わらず高い費用を捻出しなければならなくなるため、特に創業時に税理士へ依頼する場合は慎重に行うようにしましょう。
業界知識がある税理士を選ぶ
適用される税法・税制は業界や業種によって異なるため、自社の業界に精通している税理士を選ぶことがポイントです。
自社の業界や業種に特化した知識や経験を持つ税理士に依頼することで、より詳細な節税対策の提案や経営支援を期待できるでしょう。
そのため、ホームページ上に公開されている情報や無料相談を活用しながら、自社の業界・業種に精通しているかを確認するとよいです。
資金調達に強い税理士を選ぶ
資金調達に強い税理士は、あらゆる資金調達の方法を熟知しており、企業の状態を踏まえて最適な方法を提案してくれます。融資や補助金・助成金などの審査に通過する確率を向上させられるだけでなく、より有利な条件での資金調達が可能というメリットもあります。
そのため、資金繰りが重要な課題となるスタートアップにとって、資金調達にも精通している税理士は心強いパートナーとなるでしょう。
ただし、会社設立支援と同様に、資金調達に関する相談については税理士の独占業務に含まれていないため、得意としていない税理士が多いのも事実です。
そのため、税理士選びの際には、ホームページの情報や無料相談を活用して、資金調達を専門として扱っているかを確認する必要があります。
資金調達を得意としている税理士には以下のような特徴があります。
- 資金調達の方法やそれぞれの条件・リスクを説明してくれる
- 資金調達の交渉や申請の代行やサポートがサービス範囲に含まれている
- 資金調達の事例・実績が公開されている
税理士を選ぶ際には、上記のポイントを押さえながら、資金調達に強いか判断するとよいでしょう。
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まとめ
スタートアップに税理士が必要かどうかは、企業の状況や経営者のニーズによります。
税務・会計の知識が不足している場合や経理業務の負担を減らしたい場合、節税対策や資金繰りのアドバイスを求める場合には、税理士のサポートが非常に有益です。一方、コストや自社でのノウハウ蓄積を重視する場合は、慎重に検討する必要があります。
実際に税理士に依頼する場合には、費用相場やタイミングを考慮しながら、自社に最適な税理士を選ぶことが重要です。
みんなの税理士相談所は最適な税理士をご紹介
- 忙しくて決算・確定申告に手を回せていない
- 自分では出来ない節税対策を依頼したい
- 要望に合った顧問税理士を探したい
みんなの税理士相談所では、このようなお悩みや要望をお持ちの方に税理士を検索できるサービスの提供と、税理士の紹介をしております。
税金まわりのお悩みや要望は、数多くあり、ネットで調べて解決するには難しいと感じた方もいるでしょう。当サービスでは、相談内容やお住まいの地域ごとに最適な税理士に出会うことが可能です。
以下のお問い合わせフォームから具体的な内容を入力できるので、お気軽にご利用下さい。