確定申告の書き方は?第一表と第二表を中心に項目ごとに紹介!
確定申告書の書き方は、書類の種類や申告を行う人に応じて異なります。確定申告書の作成から提出するまで、意外と手間および時間がかかるけれども書類の提出をしなかった場合や申告期限に間に合わないときなどペナルティもあるため注意しなければなりません。この記事では、確定申告書の書き方について解説します。
確定申告書の書き方は、書類の種類や申告を行う人に応じて異なります。
確定申告書の作成から提出までには手間や時間がかかりますが、書類の提出をしなかった場合や申告期限に間に合わないときにはペナルティもあるため注意しなければなりません。
この記事では、確定申告書の書き方について解説します。
確定申告書には4種類ある
確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税金を計算します。確定申告は、会社員や個人事業主など、所得の種類や金額によって申告が必要です。
確定申告書は、所得の種類や申告内容に応じて4種類の様式があります。それぞれ「第一表」「第二表」「第三表」「第四表」と呼ばれ、どの様式を使うかは所得の種類などによって決まります。
確定申告書 第一表
確定申告書第一表は、所得の金額や所得控除などを記入する書類です。
確定申告を行う場合は、会社員や個人事業主など所得の種類や金額に関わらず、提出する必要があります。所得だけでなく、医療費控除や生命保険料控除などの所得控除も記入します。
確定申告書 第二表
確定申告書第二表には、所得の内訳や各種控除の金額などを記入します。
たとえば、扶養控除です。第一表の扶養控除には16歳以上の子どもや両親など、扶養している人数に応じた控除金額のみを記載します。
扶養控除に該当する方の氏名や生年月日などは、第二表に記載します。
扶養控除について詳しくは、以下の記事で確認できます。
確定申告で扶養控除を受けるには?控除額は年齢で異なる【保存版】
詳細はこちら
確定申告書 第三表
確定申告書第三表は、分離課税の対象である所得を申告する際に使用します。具体的には、以下の所得です。
- 譲渡所得:土地や建物、株式等の譲渡
- 配当所得:上場株式等の配当
- 雑所得:FXや先物取引
- 山林所得
- 退職所得
分離課税とは、他の所得と区分して税金を計算することです。FXの確定申告について詳しくは、以下の記事で確認できます。
FXは確定申告が必要?やり方やかかる税金・必要書類を解説!
FX取引で一定以上の利益が得られた場合、確定申告をして税金を納めなければなりません。この記事では申告が必要になるケースや、確定申告の手順、実際に支払うべき税金の計算方法を解説します。FXにおける手数料やその他の費用は控除が認められる場合があり、控除が可能なケースについても知っておくようにしましょう。
確定申告書 第四表
確定申告書第四表は、損失が発生した場合に使用する申告書です。
青色申告で翌期に損失を繰り越す場合などに利用するため、提出を忘れないようにしましょう。
参考:国税庁「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」
確定申告書 第一表の書き方
確定申告書は難しいイメージがありますが、ポイントを押さえればスムーズに記入できます。
ここでは、確定申告書第一表の各項目の書き方と注意点をわかりやすく解説します。
「収入金額等」の書き方
「収入金額等」には、1年間の収入を所得別に記入します。給与所得や事業所得、不動産所得など、所得の種類によって記入する場所が異なります。
たとえばあなたが会社員で、給与の他に副業でイラスト制作の収入がある場合、給与収入は「給与所得」の欄に、イラスト制作の収入は「雑所得」の欄に記入します。
それぞれの収入に応じて必要な情報を記入することで、正確な税額を計算できます。
「所得金額等」の書き方
「所得金額等」には、所得の金額を記入します。
収入と所得は異なるため間違えないように注意しましょう。たとえば、収入が500万円で、経費が100万円だった場合の所得は400万円です。
「所得から差し引かれる金額」の書き方
「所得から差し引かれる金額」には、所得控除の金額を記入します。所得控除とは、一定の条件を満たす場合に所得から差し引くことができる金額のことです。
たとえば、医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除などがあります。
それぞれの控除には適用条件や控除額の上限があるため、注意が必要です。
「税金の計算」の書き方
「税金の計算」の項目は、所得金額の合計から各種控除金額の合計を差し引いたものを一番上にある欄に記載します。
その下にある課税される所得金額は、1,000円から194万9,000円までは5%、195万円から329万9,000円までは10%といった具合に課税される所得金額に応じて税率が変わります。
これは国税庁のホームページに掲載されている所得税の速算表を使うと、簡単に税率および控除額を知ることができます。
課税される所得金額を記載した後は、その金額に速算表で調べた所得税率をかけて記入します。
「その他」の書き方
「その他」の項目は、公的年金などに関わる雑所得以外の所得があるときには公的年金等以外の合計所得金額を記載し、配偶者に所得がある場合は前年度の合計所得額を配偶者の合計所得金額に記載します。
ケースバイケースで記入するか否かが変わりますが、これらすべてに該当するものがない場合は空欄のままで構いません。
また、還付される税金や納める税金の振込先口座などを記入します。 還付される税金を受け取る場合、振込先口座の記入を忘れないようにしましょう。
確定申告書 第二表の書き方
確定申告書 第二表には、住所・屋号・氏名や所得控除など、所得税の計算に欠かせない情報を記載します。ここでは、第二表の書き方について解説します。
「住所・屋号・氏名」の書き方
「住所・屋号・氏名」には、あなたの氏名、住所、そして屋号があればそれを記入します。屋号とは、個人事業主の方が事業のために使う名前のことです。
たとえば、あなたが「山田太郎」さんという名前で、「東京都新宿区」に住んでいて、「山田商店」という屋号で事業を行っている場合は、それぞれを該当する欄に記入します。
「所得の内訳」の書き方
「所得の内訳」には、所得の内訳を記入します。
たとえば、給与所得の場合は、源泉徴収票に記載されている支払金額を、所得の内訳の収入金額に記載します。
また源泉徴収票に記載されている源泉徴収税額の金額を、所得の内訳の源泉徴収税額へ記載するのを忘れないようにしましょう。
源泉徴収票について詳しくは、以下の記事で確認できます。
源泉徴収票は確定申告にいらない?種類や各項目を解説します
詳細はこちら
「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」の書き方
「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」には総合課税と分離課税があり、第二表に記載するのは総合課税の譲渡所得と一時所得です。
土地や建物などの譲渡所得は、分離課税のため第二表には記載する必要がありません。
「特例適用条文等」の書き方
特定の条件を満たすことで税金が軽減される特例制度を利用する場合、「特例適用条文等」欄に該当する条文を記入します。
特例制度は、申告書に該当する条文を記載することで初めて適用されるため、記入漏れがないように注意が必要です。住宅ローン控除を受ける場合も記入が必要です。
利用する特例制度について事前に確認し、必要な条文を正確に記入しましょう。住宅ローン控除について詳しくは、以下の記事で確認できます。
住宅ローン控除とは?メリットや条件・確定申告の必要書類・注意点を解説【最新版】
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで家を買った人が利用できる、税金が節約できる便利な制度です。住宅ローン控除を利用することで、その負担を軽減できます。2022年に、制度にいくつかの変更が加わりました。これらの変更は2024年以降にも影響を及ぼすため、新しいポイントを理解しておくことが重要です。
「保険料控除等に関する事項」の書き方
「保険料控除等に関する事項」には、生命保険料控除や地震保険料控除など、支払った保険料に関する情報を記入します。
所得控除を受けるためには、この欄に保険料の種類と金額の記入が必要です。
たとえば、生命保険料を支払っている場合は、「生命保険料」欄に支払った金額を記入し、地震保険料を支払っている場合は、「地震保険料」欄に支払った金額を記入します。
「本人に関する事項」の書き方
「本人に関する事項」には、寡婦やひとり親、障害者に本人が該当する場合に記入します。所得控除に影響するため、該当する方は記入を忘れないようにしましょう。
「雑損控除に関する事項」の書き方
「雑損控除に関する事項」には、災害や盗難などによって損害を受けて、その損失額を控除できる制度を利用する場合に記入します。
たとえば、台風で家が損壊した場合や、空き巣に入られて現金や貴重品を盗まれた場合などです。該当する損害がある場合にのみ記入が必要ですが、正しく記入することで、税金を減らすことが可能です。
「寄附金控除に関する事項」の書き方
「寄附金控除に関する事項」には、国や地方公共団体、特定公益増進法人などへの寄附を行った場合に、寄附金額を控除できる制度を利用する場合に記入します。
たとえば、ふるさと納税や、災害復興のための寄附などです。
寄附金控除を受ける場合は、寄附先から送られてくる「寄附金受領証明書」などを参考に、寄附先の情報や寄附金額などを正しく記載しましょう。
ふるさと納税の確定申告については、以下の記事で確認できます。
ふるさと納税の確定申告とは?必要な場合、流れや書類を教えます
詳細はこちら
「配偶者や親族に関する事項」の書き方
「配偶者や親族に関する事項」には、配偶者控除や扶養控除など、配偶者や親族に関する控除を受ける場合に記入します。
控除を受けるためには、配偶者や親族の氏名や生年月日、同居状況などを正確に記載する必要があります。
配偶者控除や扶養控除を受ける場合は、配偶者や親族の住民票やマイナンバーカードなどを参考に、氏名や生年月日、同居状況などを正しく記載しましょう。
「事業専従者に関する事項」の書き方
事業専従者とは、個人事業主の事業に従事する家族のことです。
事業専従者がいる場合、「事業専従者に関する事項」にその情報を正しく記載する必要があります。
事業専従者控除を受けるためには、事業専従者の氏名や生年月日、年間給与額などを正確に記載する必要があります。
「住民税・事業税に関する事項」の書き方
住民税や事業税は、地方公共団体に納める税金です。
確定申告書には、これらの税金に関する情報も記載する必要があります。事業税は、所得や事業の規模に応じて課税されます。
確定申告書にこれらの税金に関する情報を記載することで、地方公共団体は、納税者一人ひとりの税額を計算し、納付書を送付することができます。
副業で住民税の納付方法を普通徴収にする場合、「自分で納付」に〇をしましょう。
確定申告のご相談は税理士へ!
確定申告書は、所得の種類や申告内容に応じて4種類あります。
第一表は所得金額や所得控除を記入し、第二表は扶養控除など所得の内訳や控除額を記入します。第三表は分離課税の所得、第四表は損失申告に使用します。
確定申告書の作成は、収入や控除など、さまざまな情報を正確に記入する必要があり、複雑な手続きです。税理士に相談することで、疑問点を解消し、安心して確定申告を行うことができます。
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