住宅ローン控除とは?メリットや条件・確定申告の必要書類・注意点を解説【最新版】

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで家を買った人が利用できる、税金が節約できる便利な制度です。住宅ローン控除を利用することで、その負担を軽減できます。2022年に、制度にいくつかの変更が加わりました。これらの変更は2024年以降にも影響を及ぼすため、新しいポイントを理解しておくことが重要です。

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで家を買った人が利用できる、税金が節約できる便利な制度です。住宅ローン控除を利用することで、その負担を軽減できます。2022年に、制度にいくつかの変更が加わりました。これらの変更は2024年以降にも影響を及ぼすため、新しいポイントを理解しておくことが重要です。

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除は「住宅借入金等特別控除」という正式名称であり、「住宅ローン減税」と呼ばれることもある国の制度です。一定の住宅ローンを利用してマイホームの新築建築や購入、増改築を実施したときに利用できる制度であり、特定の条件を満たしている人が然るべき手続きを行うことで適用されるものだと言えます。

自動的に適用されるものではなく、確定申告などを行うことによって納めた税金が戻ってくるという仕組みです。基本的に所得税から差し引かれるものなので、控除額は納めている所得税が上限になりますが、ローン残高の0.7~1%の控除額が所得税よりも大きくて控除しきれないときは、その年の住民税からも控除が受けられることを知っておきましょう。

なお、2022年には住宅ローン控除の改正が実施されました。本記事では、改正の内容も踏まえて、住宅ローン控除についてわかりやすく解説します。

住宅ローン控除改正によるメリット

住宅ローン控除の改正による主なメリットを紹介します。

まず、新築住宅の購入者は、従来の10年間から13年間へと控除期間が延長されます。これにより、長期にわたって税金の負担が軽減されます。ただし、中古住宅購入者にはこの延長は適用されず、10年間のままです。

また、住宅ローン控除の適用となる借入金額の上限が、購入する住宅の性能や時期に応じて4段階で設定されます。これは、性能が高い住宅を購入すればするほど、より多くの控除を受けられることを意味しています。

さらに、改正前は住宅ローン控除の適用を受けるための入居期限が2022年12月末まででしたが、これが2025年12月末まで3年間延長されました。これにより、より多くの購入者が住宅ローン控除の恩恵を受けられるようになります。

住宅ローン控除改正によるデメリット

住宅ローン控除の改正による主なデメリットを簡単に紹介します。

以前は住宅ローンの支払いに対して最大1%の控除が受けられましたが、改正後は0.7%に減少しました。これにより、13年間で受けられる控除の総額が、最大480万円から273万円に減りました。ただし、環境性能が高い住宅を購入した場合、最大455万円(2024年から2025年は409.5万円)まで控除額が増える可能性がありますが、それでも以前よりは少なくなっています。

また、 改正前は年間の合計所得が3,000万円以下の人が住宅ローン控除を利用できましたが、改正によりこの制限が2,000万円以下に引き下げられました。これにより、高所得者の一部は住宅ローン控除を受けられなくなります。

さらに、以前は所得税から控除しきれない分を住民税から控除できる上限が「前年度課税所得の7%、最大13万6,500円」でしたが、改正後は「前年度課税所得の5%、最大9万7,500円」に変更されました。

2024年から2025年にかけて「その他の住宅」に入居する場合、2023年までに新築の建築確認を受けていなければ、住宅ローン控除を受けることができなくなります。つまり、2024年以降に新築住宅を購入する際は、一定の省エネ性能基準を満たした家でなければ住宅ローン控除の対象にならないということです。

住宅ローン控除を受けることができる人の条件とは?

住宅の建築や購入を行った人であれば誰でも住宅ローン控除が受けられるわけではありません。条件を満たしている必要があるので、具体的な条件を理解しておく必要があります。具体的には以下のような人が住宅ローン控除適用の対象です。

  • 住宅ローンを借りて自宅を買った人
  • 住宅を購入後6ヶ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き入居していること
  • 控除を受ける年の合計所得が2,000万円以下

そもそも、住宅ローンを借りて自宅を買った人でなければ対象にならないので、別荘や投資用住宅の場合は適用外となります。入居した日から10~13年間控除が受けられる決まりなので、定められた入居期間にその住宅に住んでいなければ対象外です。

収入から経費や給与所得控除を引いた合計所得が2,000万円以下であることも重要な条件であり、所得金額が大きい場合は注意しておきましょう。一定期間内に特別控除や特例を受けていないことも条件となっているので、事前に該当する内容がなかったか確認しておく必要があります。

住宅ローン控除を受けることができるローンの条件とは?

住宅ローン控除を受けるためには、利用する住宅ローンも一定の条件を満たしていなければなりません。条件に合わないローンを利用している場合は、住宅ローン控除を受けられないので要注意です。具体的には、以下のような条件を満たしておく必要があります。

  • 民間の金融機関や住宅金融支援機構から借入れた住宅ローンであること
  • 勤務先からの借入の場合は金利が0.2%以上であること
  • 親族や知人からの借り入れは対象外
  • 返済期間が10年以上であること

民間の金融機関や住宅金融支援機構が提供している住宅ローンであれば適用対象となりますが、勤務先からの借入も対象になるケースがあることを知っておきましょう。金利が0.2%を超えるのであれば適用されますが、0.2%以下や無利子の場合は適用外です。親族や知人から借りる場合は、利子があったとしても住宅ローン控除の対象にならないので、他の方法でローンを組むべきだと言えます。

返済期間が10年以上であることも条件であり、繰り上げ返済で期間が短縮された場合はその時点で控除が受けられなくなるので注意が必要です。住宅ローンの借り換えを行ったとしても、当初の返済から10年以内であり、借り換え後のローンも控除適用の要件を満たしていれば、残りの期間も控除が受けられます。

住宅ローン控除を受けることができる人の住宅の条件とは?

ローンの種類が控除対象であったとしても、住宅そのものが条件に合っていなければ意味がないです。住宅にもいくつかの条件があるので、適合しているかどうか確認しておく必要があります。具体的には、以下のような条件があることを知っておきましょう。

  • 床面積が50㎡以上で店舗併用住宅などの場合は床面積の2分の1以上が居住用であることが条件
  • 中古住宅の場合は築年数が木造など耐火建築物以外で20年以下、マンションなど耐火建築物で25年以下であるかどうか確認する必要あり
  • 上記の築年数を超えている場合は新耐震基準に適合していることが証明されたものや既存住宅売買瑕疵保険に加入しているもの、入居までに耐震改修工事を完了しているものも対象

床面積は登記簿に表示されたものである必要があり、店舗の場合は店舗スペースも含めたもの、夫婦や親子で共有している場合は共有持ち分も含めた面積となります。中古住宅の場合は、建物が耐火建築物かそうでないかで築年数が決められており、その築年数以内であれば問題ないです。

ただし、築年数を超えていても安全であることが証明されているものや改修工事が行われたものは対象となるので、古い建物でも住宅ローン控除を諦める必要はないと言えます。

住宅ローン控除で戻ってくる金額はいくら?

住宅ローン控除でお金が戻ってくることは嬉しいけれど、実際にどれくらい戻ってくるのか分からないと感じている人は多いはずです。簡単な計算で試算することができるので、計算のやり方を覚えておくと良いでしょう。住宅ローン控除で戻ってくるお金は、年末ローン残高と所得税額によって計算することが可能です。

年収が600万円、年末ローン残高が2,000万円の給与所得者を例とします。年末ローン残高の0.7%が住宅ローン控除額となる場合には、2,000万円の0.7%の14万円が控除額となるでしょう。年末ローン残高や所得税によって具体的な控除額は違ってきますが、このような計算で算出できます。

住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要

ここでは、住宅ローン控除を受けるために必要な確定申告について解説します。

参考:住宅ローン控除を受ける方へ

確定申告の必要書類

  • マイナンバーがわかる書類
  • 確定申告書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算証明書
  • 源泉徴収票
  • 土地・家屋の登記事項証明書
  • 不動産売買契約書や工事請負契約書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書

住宅ローン控除を利用するためには確定申告が必要となります。必要書類には以下のようなものがあるので、事前に必要なものを確認しておくようにしてください。

マイナンバーが確認できる書類は通知カードで問題ないです。確定申告書は給与所得者もしくは雑所得や配当所得、一時所得のみの場合は確定申告書A、それ以外の人はBの書類を入手します。

証明書類は取り寄せが必要となるので早めに準備しておく必要があるでしょう。申請して発行してもらったりコピーを取得したりする必要があるので、余裕を持って準備することが大切です。

確定申告の手続きの流れ

確定申告の手続きの流れを3つのステップに分けて解説します。

必要書類を集める

確定申告に必要な書類は多岐にわたっている上に、書類の種類によってはすぐに手に入れることができないです。不足があれば手続きが進められないので、確実に集めておく必要があります。

確定申告書を記入して提出

必要な書類が揃ったのであれば、書類を記入して提出することになります。「住宅借入金等特別控除額の計算証明書」を使用して控除額を算出し、確定申告書にも必要事項を記入しましょう。記入方法が分からない場合には、税務署窓口や市区町村の相談コーナーを頼ることができるので、相談して完成させると良いです。

記載不備や書類不備で期限に間に合わない可能性もあるので、必要に応じて相談しながら早めに提出まで済ませるべきだと言えます。

還付金が発生した場合は、指定した口座に入金される

必要書類の提出が終わり、還付金が発生した場合は、指定した口座に振り込みが行われることになります。申告してから1か月半前後で還付されるケースが多く、申告書に記入した自分の口座に振り込まれることになることを覚えておきましょう。

確定申告の申告期限は基本的に2月16日から3月15日となっており、住宅ローン控除申告は2月15日以前にも受け付けてもらえます。3月15日に近づくほど混雑する傾向があるので、申告から還付までスムーズに進めたいと考えるのであれば、早い段階で手続きを行っておくことがおすすめです。

早い段階で申告したほうが口座への振り込みが早くなりやすいので、ギリギリまで放置するのではなく、すぐに手続きを完了させておくと良いでしょう。

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住宅ローン控除の注意点

住宅ローン控除の注意点を3つ解説します。

2年目以降は確定申告が不要になる場合も

給与所得者であり、これ以外の収入がない会社員の場合は、住宅ローン控除を初めて利用する年にきちんと確定申告を行っておくと、2年目以降は会社で実施する年末調整だけで控除が受けられるケースが多いです。

年末調整の際に給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書を提出する必要がありますが、これらを提出すれば面倒な確定申告の手間を省くことができます。

年末調整が間に合わなかった場合でも焦る必要はなく、年末調整までに書類が用意できなかった場合は前年と同様に自分で確定申告を実施すれば住宅ローン控除が適用されることを知っておきましょう。

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借換えにも住宅ローン控除が利用可能

現在利用している住宅ローンを借換えた場合、住宅ローン控除が適用されなくなると勘違いする人もいますが、借換えを行っても住宅ローン控除を利用することができます。

返済期間が10年以上で住宅ローンの返済のためであることが明確になっていれば、継続して控除を受けることが可能です。

控除期間は借換え前の返済期間を含めた合計10年間となっているので、6年目で借換えを行う場合は残りの4年も控除を受けることができます。

ふるさと納税を利用している方は要注意

ふるさと納税を利用している場合は注意が必要です。これを実施すると所得税や住民税の控除が受けられますが、住宅ローン控除とふるさと納税による控除が重複する恐れがあります。

重複が起こるとふるさと納税によって控除を受けるメリットが小さくなりますし、場合によってはふるさと納税による恩恵が受けられない可能性もあるでしょう。事前に重複が起こらないか、メリットが小さくならないか確認しておくことが大切だと言えます。

住宅ローン控除のまとめ

住宅ローン控除はとてもお得な仕組みであり、条件を満たしているのであれば積極的に活用すべきだと言えます。ですが、これを行うためには必要書類を揃えたり、確定申告書を提出したりする必要があるので事前に詳しい内容を知っておくことが大事です。

何もない状態から1日で手続きを完了させられるようなものではないので、早い段階から確実に準備を進めておく必要があります。期限内に申告ができなかったり、必要書類が揃ってなかったりすると控除が受けられないので、期限を過ぎないように注意しておきましょう。

初めて利用する場合は分からないことが多いはずなので、住宅ローン控除の特徴や条件、確定申告のやり方などを確実に理解しておくようにしてください。

【監修者】代表 / 大勝 健司

【監修者】代表 / 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。百貨店、不動産ディベロッパーを中心にホテル、飲食業、製造業など幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税金計算や固定資産業務を中心に、決算短信、四半期報告書、有価証券報告書、事業報告などの外部公表資料の作成を担当。 また税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般に携わる。

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