法人口座の開設方法を徹底解説!手続きの手順や必要書類・金融機関の選び方は?
本記事は、法人口座の開設を検討している方に向けて、口座開設のメリットや申込方法を解説しました。法人口座を開設できる金融機関の特徴や必要書類、審査についても紹介しています。法人を設立して新しく口座を開設したい方は、ぜひ記事を読んでください。
法人口座は、企業間取引や従業員への給与支払いに使う口座です。法人口座を開設すると通帳の取引履歴を見るだけで事業資金の流れを把握でき、社会的な信用も得られます。
本記事では、法人口座の開設手続きの手順や、金融機関ごとのメリット・デメリットを解説しました。事前に用意する書類も紹介したので、法人口座を開設したい方は最後まで記事を読んでください。
法人口座の概要
まずは法人口座の概要を解説します。一般口座との違いや、口座を開設するメリットを確認してください。
法人口座と一般口座の違い
法人口座と一般口座の大きな違いは、口座名義人の情報です。法人口座の名義は株式会社や合同会社など、企業名をつけられます。一般口座の名義は、個人名の他に個人事業主の屋号を登録できます。
個人口座は誰でも開設できますが、法人口座は法務局で法人登記を申請しないと開設できません。
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法人口座を開設するメリット
以下の5つが、法人口座を開設するメリットです。
- 社会的信用が得られる
- 融資を受けやすくなる
- 企業間取引をしやすくなる
- 法人用のクレジットカードを作りやすくなる
- プライベートと会社の資金を分けて管理できる
法人口座の開設には、金融機関での審査が必要です。会社や代表者の印鑑証明書や事業報告書などの提出が必要なので、法人口座を所有していると社会的な信用を得られます。
また法人口座限定で融資をする金融機関もあるので、法人口座を開設すると資金調達をしやすくなります。
法人口座を開設するとプライベートと会社の資金を完全に切り分けられるので、経理作業の時間も短縮可能です。
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法人口座の開設手続きの手順・方法
法人口座の開設手続きの手順や方法を解説します。
金融機関を選び、申し込む
法人口座を開設する金融機関を選び、窓口やWebサイトから申し込みましょう。金融機関ごとの特徴やメリットやデメリットは、のちほど解説します。金融機関の窓口で申し込む際は、書類の記入漏れや有効期限などの不備がないように確認してください。
法人口座の開設は法人の代表者が行いますが、委任状があれば代理人の申し込みも可能です。Webサイトでの申込みは書類のアップロードが必要なので、事前に準備しましょう。
法人口座の開設に必要な書類を用意する
法人口座の開設時は、法人設立時に登記した会社情報や印鑑証明書、本人確認書類が必要です。口座開設時に必要な書類は、のちほど解説します。
金融機関ごとに必要書類は異なるので、Webサイトや窓口にあるパンフレットで確認してください。
金融機関による審査を受ける
金融機関で申込みが済んだら、審査を受けましょう。書類での審査以外にも、事業内容の確認や株式情報を提示する場合もあります。法人口座開設時に審査がある理由は、口座の不正利用を防ぐためです。
一般的に地方銀行やネット銀行よりも、都市銀行の審査は厳しくなっています。審査完了までは2週間〜1ヶ月かかるので、早めに口座を申し込んでください。
法人口座開設の手続きを行う
金融機関での審査が完了したら、口座開設の手続きを行います。メールやハガキで連絡が来るので、内容を確認してください。メールやハガキに記載してある内容に従って、口座開設の手続きを進めましょう。
金融機関のWebサイトでは手続き方法を案内しているので、口座開設前に確認すると安心です。
法人口座の開設に必要な書類
法人口座の開設に必要な書類は、以下のとおりです。
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 会社の定款
- 会社の実印・印鑑証明書
- 代表者の実印・印鑑証明書
- 代表者の身分証明書
- 会社の運営実態が分かる資料
金融機関ごとに提出書類は異なりますが、一般的に必要なものを解説します。
商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)とは、商法や会社法などの法律で定められた事項を記載した書類です。具体的には、社名(商号)や本店の所在地、役員の氏名や法人の目的を記載しています。
商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は法務局から取得でき、直接窓口に行く他に郵送やオンラインでも申請できます。法務局の窓口対応時間は、平日9時〜17時までです。オンライン申請は21時まで受け付けているので、日中の業務が忙しい場合はWebサイトでの申請をおすすめします。
会社の定款
定款には会社の目的やルールが書いてあり、法人設立時に作成する書類です。社名(商号)や資本金、事業の目的などを記載しています。定款を紛失した場合は、法務局や公証役場で謄本の請求が可能です。
会社の実印・印鑑証明書
会社の実印や印鑑証明書も、口座開設時に用意してください。印鑑証明書は、法務局の窓口やオンライン申請で取得できます。オンライン申請は手数料が安く、郵送で印鑑証明書が届くので便利です。
参考:オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について
代表者の実印・印鑑証明書
会社の実印や印鑑証明書とあわせて、代表者の実印と印鑑証明書も用意してください。金融機関によっては発行から3〜6ヶ月以内の印鑑証明書が必要なので、事前に確認しましょう。
代表者の身分証明書
不正な取引を防ぐために、代表者の身分証明書の提出も必要です。マイナンバーカードや住民票の写し、運転免許証や在留カードなどを用意してください。あわせて、身分証明書の有効期限も確認しましょう。
会社の運営実態が分かる資料
金融機関の審査で使用するので、会社の運営実態が分かる資料を用意してください。具体的には、以下のような資料です。
- 事業計画書
- Webサイト
- 会社のパンフレット
- オフィスの賃貸契約書
- 法人設立届出書
- 事業の届出書や登録書
法人口座の審査基準は金融機関ごとに異なります。事業計画書やWebサイトなど、多くの資料を事前に準備すると安心です。
法人口座を開設する金融機関の選び方
金融機関ごとのメリット・デメリットや特徴を紹介します。法人口座の開設時は、自分の事業にあった金融機関を選んでください。
法人口座開設ができる金融機関
法人口座を開設できる金融機関は、以下のとおりです。
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫
- ゆうちょ銀行
- ネット銀行
金融機関の選び方は、事業内容や従業員数、全国に支店をもつ企業や地域密着型によっても変わります。複数の金融機関で法人口座を作り、取引内容によって使い分けると便利です。
金融機関別の特徴
法人口座を開設できる金融機関の特徴や、メリット・デメリットを解説します。
都市銀行
都市銀行で法人口座を開設するメリットは、全国各地に支店があり海外送金にも対応していることです。多くの支店を持つ企業や、海外に取引先がある企業におすすめです。
都市銀行で法人口座を開設するデメリットは、他の金融機関に比べて審査が厳しいことと、口座維持手数料が高額になりやすいことです。
地方銀行
地方銀行で法人口座を開設するメリットは、銀行が地域全体の経済状況を把握していることと、都市銀行に比べて担当者が親身に対応してくれることです。地域密着型の企業には、地方銀行をおすすめします。
地方銀行で法人口座を開設するデメリットは、他の地域に支店がないことと、高額の融資を受けるときの審査に時間がかかりやすいことです。
信用金庫
信用金庫は会員制を取っています。入会には信用金庫の営業地域に法人の事業所があることと、従業員数300人以下という条件があります。
信用金庫で法人口座を開設するメリットは、小規模の企業でも融資を受けやすいことと、都市銀行に比べて口座開設時の審査が通りやすいことです。小規模の企業や地域密着型の企業におすすめします。
信用金庫で法人口座を開設するデメリットは、従業員数が300人を超えた場合に会員から脱会する必要があることです。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行で法人口座を開設するメリットは、口座維持手数料が無料で管理でき、全国に支店があることです。銀行内にあるATMは現金を無料で引き出せるので、手数料を少しでも削減したい企業におすすめです。
ゆうちょ銀行で法人口座を開設するデメリットは、ゆうちょダイレクトを使った1日の送金限度額が低いことと、小規模企業共済制度の取引口座に使えないことです。
ネット銀行
ネット銀行で法人口座を開設するメリットは、24時間利用できることと振込や送金手数料が安いことです。IT企業など日頃からインターネットを使った取引が多い企業におすすめします。
ネット銀行で法人口座を開設するデメリットは、直接窓口で質問できないことと、都市銀行に比べて信用が低くなることです。
起業して法人口座を開設する際は事前に手順・方法を確認しよう!
本記事では、法人口座と個人口座の違いや、口座を開設できる金融機関の特徴を解説しました。起業したときに法人口座を開設すると、事業資金を管理しやすく社会的な信用も得られます。
口座開設に必要な書類を確認して、自分にあった金融機関を選んでください。
【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司
会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。
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