確定申告と住民税の申告は違う?計算方法や支払い方法を解説

確定申告と住民税の申告はその仕組みがそれぞれ異なっている部分があります。申告の必要性や金額の計算方法について詳しく解説していきます。

確定申告と住民税の申告は違う?

確定申告と住民税申告は混同されがちですが、実際にはそれぞれ異なるものであるため、その違いについて知っておくことが重要となります。確定申告とは所得税を正確に申告納税するために行うものであり、確定申告書という書類を税務署に提出する仕組みになっています。所得の中には税務署が把握していないものもあるので、この申告書によって確定するのが特徴です。1年間の所得金額と所得控除をもとにして所得税の金額を求めます。源泉徴収などによって本来よりも多くの税を支払っていた場合は一部返還されることになります。
住民税の申告とは市区町村に対して市民税、県民税申告書を提出することを言います。既に確定申告をしている場合にはそのデータが市区町村へ送付されているので申告が不要になります。これが確定申告と住民税を混同してしまう1つの要因です。納税額も市区町村が計算してくれるので、その通りに納税すれば問題はありません。しかしながら所得税と住民税の計算方法には違いがあり、確定申告の際に記入方法を間違えてしまうと控除などが受けられなくなる恐れがあります。

住民税の申告が必要な人

  • 年末調整を受けている人のうち、勤務先(給与支払者)より給与支払報告書の提出がない場合
  • 年末調整を受けている人のうち、給与所得以外にも所得があった場合
  • 地代、家賃、配当、農業、年金などの所得があった場合
  • 20万円以下の給与収入以外の所得がある人
  • 配偶者控除を受けるために年間103万円以下に給与収入を抑えているが、年間98万円以上の給与収入がある人
  • 退職などで年末調整をしていない給与所得者
  • 課税・非課税証明が必要となる場合
  • 年金受給者の確定申告不要制度を利用した公的年金受給者のうち、年金以外の所得があった場合

申告が必要となるかについては年末調整を受けているかどうかによって大きく変わります。年末調整を受けている人のうち、勤務先から給与支払報告書の提出がない場合や給与所得以外に20万円以下の所得があった場合には税の申告が必要となります。具体的には地代や家賃、配当、農業、年金などの所得がある方が対象です。
中には配偶者控除を受けるために年間の給与収入を103万円いかに抑えている人もいますが、そういった方でも年間で98万円以上の給与収入がある場合は税申告の対象となります。退職などをした際に、年末調整をしていない場合や年金受給者で確定申告不要精度を利用していて年金以外の収入がある場合も申告をする必要があります。

住民税の申告が不要な人

  • 確定申告を行なっている場合
  • 年末調整を受けた人のうち、勤務先より給与支払報告書が提出されている場合
  • 1年間の所得がなかった場合、あるいは所得が一定額以下の場合

確定申告を行っている場合や年末調整を受けていて、なおかつ勤務先から給与支払報告書が提出されている場合には申告が不要となります。また、1年間の給与所得が一切なかった場合や給与収入が98万円以下だった場合も申告をする必要がありません。年間103万円以上の給与所得があるという方の場合には確定申告をする必要があり、そちらに必要な事項を書き込むことになるので、他の税を別途で申告する必要性がないといえるでしょう。

住民税の計算方法とは?

住民税には均等割額と所得割額があります。均等割額とは各自治体によって決められている固定金額のことであり、市町村民税部分については3,500円に統一されています。ただし、都道府県民税の均等割については各地自体ごとに少しずつ異なっていて1,500円から2,500円までと幅があります。所得割額は基本的に一律で10%となっていて、均等割額と合算して税額を決定します。
例えば前年の所得が300万円で都道府県民税部分が1,500円であるというケースを想定すると、まず300万円の10%である30万円が所得割額となり、そこに市町村民税の3,500円と都道府県民税の1,500円を合わせることになります。つまり、30万5000円がこの場合の合計金額です。手計算で求めることによってミスが出てしまうことを防ぐために専用の計算ソフトを使用するケースも珍しくありません。
税額の多くを占めるのは所得割額であるため、所得が大幅に変動すると税額も大きく変わります。所得はその年ではなく、前年の分が参照される仕組みになっています。均等割額はその時点で住んでいる都道府県で設定された金額を適用する仕組みになっているので、チェックしておく必要があります。

住民税の支払い方法

ここからは支払い方法について解説していきます。金額が分かった後はどのように支払うかを知ることが重要となります。一般的なサラリーマンとそれ以外の方々では支払い方が異なっているので、注意しておきましょう。

特別徴収

住民税には特別徴収という支払い方があります。これは6月から翌年の5月まで12回に分けて給料から天引きされる仕組みが特徴であり、一般的なサラリーマンはこの方法で自動的支払っています。個人個人で支払わなくて良いので手間はそれほどかかりませんが、転職や求職などによって勤務先からの給料がストップした場合にはこの特別徴収もストップするので、自分で支払いにいかなければならなくなります。特別徴収では給与明細でその金額を確認できます。

普通徴収

一般的な会社員以外の方は普通徴収によって支払うことになります。具体的には個人事業主や年金生活者などがこの支払い方法の対象となっています。毎年5月ごろになると市町村から納税通知書と納付書が郵送されてきます。その納付書を使って銀行やコンビニで税額分を支払います。自治体によってはインターネット上から納付できる場合もあります。普通徴収では4期に分けて支払うことになりますが、一括での支払いにも対応しています。

住民税が非課税になる場合

住民税はいくつかのケースにおいて非課税になります。その1つが生活保護を受けているというケースです。生活保護を受けているということは、日常生活を送る上で十分な収入が得られていないことが認められているので非課税となります。未成年者や障がい者、寡婦、寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下のばあいにも住民税を支払う必要がありません。また、前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額を下回っている場合にも非課税となります。

非課税でも住民税の申告をした方がいい場合

  • 国民健康保険料の減免を受ける場合
  • 臨時福祉給付金の受給を受ける場合
  • 各区市町村の定める優遇措置を受ける場合

様々な理由で非課税の場合には、通常申告をする必要はありませんが非課税でも申告した方が良い場合があります。例えば国民健康保険料の減免を受ける場合や臨時福祉給付金の受給を受ける場合には、その条件を満たしていることを示すために様々な税に関する申告が必要となります。
また、各市区町村の定める優遇措置を利用する場合にも正確な申告を行い、要件を満たすことが重要となっています。ただし、市区町村ごとに優遇措置の条件が異なっていることには注意が必要です。申告をした方が良いかの判断が難しい場合には、自分の住んでいる市区町村のホームページを確認しておきましょう。非課税でも申告をした方がお得になるケースは決して珍しくありません。

まとめ

住民税を申告しなければならないかどうかは人それぞれ異なっており、自身の状況を確認しておくことが非常に重要となります。また、非課税であったとしても申告した方が特になるケースもあります。確定申告や住民税の申告には手間がかかるので億劫だと感じる方も多いかもしれませんが、社会生活を送る上で非常に重要なことといえるでしょう。
昨今ではパソコンで簡単に計算できるようになったので、個人で申告するハードルは下がっています。申告の方法や計算などがどうしてもややこしいという場合には専門家に相談することも有効です。ルールを守ることはもちろん、申告するか否かで還付などが変わることにも気を付けておくことが重要となります。

【監修者】代表 / 大勝 健司

【監修者】代表 / 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。百貨店、不動産ディベロッパーを中心にホテル、飲食業、製造業など幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税金計算や固定資産業務を中心に、決算短信、四半期報告書、有価証券報告書、事業報告などの外部公表資料の作成を担当。 また税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般に携わる。

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