起業時にお金を借りる方法4選と借金以外の資金調達方法を解説
起業する時にはまとまった資金が必要となることが多いですが、自己資金のみで捻出することは難しい場合も多いでしょう。 そのような場合、金融機関からの借り入れ(融資)で資金調達をするケースがほとんどです。本記事では、起業時に向いている融資の種類や借り入れ以外の資金調達方法について解説します。
起業にはいくら必要?
起業にかかる費用は、事業の種類や形態によって異なります。
事業所を用意する必要がなく、基本的にパソコンやスマートフォンが1台あれば始められるような、SNS運用代行やアフィリエイト、コンサルティングサービスなどの場合は、数万円単位から起業することが可能です。
一方、飲食店や美容室など、実店舗を構えるビジネスでは、テナントを借りるために仲介手数料や敷金、保証金、家賃、内外装工事の費用などが必要になります。専門性の高い設備を導入したり、店舗や事業所を新たに建てる場合には、数千万円かかるケースもあるでしょう。
また、会社設立をせず、個人事業主として起業する場合には、開業手続きに費用が発生しないため、実質的に0円で開業することが可能です。
現実的には、開業にあたって設備投資や運転資金の確保が不可欠となるため、事業所や店舗を構える必要がない場合でも、30万円程度は用意しておくべきでしょう。
法人として起業する場合、法人登記にかかる登録免許税や定款認証手数料、印紙代がかかるため、比較的簡単に設立可能な合同会社であっても最低でも10万円程度は必要となります。
株式会社として設立する場合には、ある程度の信頼を得るためにもまとまった金額の資本金も必要となり、資金調達を考えているならば100万円程度はあると理想的です。
会社設立にかかる費用は?資本金は1円でも設立できる
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起業時にお金を借りる手段
起業時の資金については、自己資金以外には金融機関などの融資によって調達するケースがほとんどです。
実際、日本政策金融公庫が公表している新規開業実態調査によると、開業時の資金調達額の平均は1,180万円であるのに対し、「金融機関等からの借り入れ(融資)」が平均768万円と全体の65.1%を占めています。
売上実績がない起業時は、金融機関によっては融資の審査を通過しにくいケースもあるため、創業時でも融資を受けやすいような制度を選択する必要があるでしょう。
そうはいっても「起業時にどこからお金が借りればよいのかわからない」と感じる方も多いはずです。そこで以下では、起業時に利用できるお金の借り入れ手段を4つ紹介します。
日本政策金融公庫の創業融資
日本政策金融公庫の創業融資は、新規事業を開始する際の代表的な融資手段です。
この創業融資では、無担保・無保証での融資が可能な場合があるだけでなく、返済期間も最大20年と長い期間で設定できるため、起業者でも活用しやすい制度となっています。
資金調達が難しいと感じている場合は、まずこの制度を検討するのがおすすめです。
申し込み要件としては、新たに事業を開始する、または事業開始後7年以内であることのみとされており、他の事業関係の融資で設けられている自己資金に関する要件は明示されていません。
ただし、基本的に創業資金のうち最低でも10%以上を自己資金として所有していなければ融資を受けることが難しいとされています。
条件次第では、自己資金がなくても融資が受けられる可能性もありますが、確実に融資を受けるためにも最低限の自己資金を準備しておくとよいでしょう。
日本政策金融公庫の新創業融資制度は廃止?ほかの融資制度は?
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地方自治体・金融機関・信用保証協会による制度融資
制度融資とは、地方自治体と金融機関と信用保証協会の3つの機関が連携して実行する融資のことです。
保証協会が信用保証をしてくれることで、万が一返済ができなくなった時に弁済してくれるため、通常の融資よりも金融機関からの融資を受けやすい仕組みとなっています。
また、地方自治体が貸付原資の一部を負担していることで、長期・低金利での融資を実現しています。
制度融資を受けるためには審査に通過する必要がありますが、一般的な金融機関の融資審査と比較すると審査のハードルは低いです。
そのため、金融機関からの融資が受けられない場合には、制度融資を検討するとよいでしょう。
地銀や信用金庫からの融資
地方銀行や信用金庫は、地域に根ざした金融機関であり、地元の企業や個人事業主の支援に力を入れています。
そのため、大手銀行とは異なり、地域の発展に貢献できる会社であると判断されれば、創業時でも積極的に融資を行ってもらえるでしょう。
特に、信用金庫は営利よりも地域振興を優先する傾向にあり、銀行に比べて審査も通過しやすいです。
また、地銀や信用金庫は、比較的借入時の金利も低く、数千万〜億単位で資金のサポートをしてもらえる可能性もあります。
創業時にまとまったお金が必要となる場合には、地銀や信用金庫の融資制度を検討してみてください。
ビジネスローン・カードローン
ビジネスローンやカードローンは、比較的スピーディーに資金を調達できる手段です。
すぐに融資が受けられる点以外にも、審査が通りやすい、無担保・保証人なしで借入できるという利点があります。
しかし、基本的には業績が堅調である企業の一時的な資金サポートを目的としているものが多く、実績のない起業時の融資審査は通りにくかったり、そもそも融資の対応をしていない場合もあるため注意が必要です。
開業資金の調達を目的としてビジネスローンやカードローンに申し込む場合、審査の通過率を上げるために有担保にすることがおすすめです。
担保を入れることで、担保の時価評価額と同程度の融資まで受けられる可能性もあります。
ただし、ビジネスローン・カードローンについては、金利が最大15%程度と非常に高いため、返済の負担を考慮するとなるべく他の選択肢を優先した方がよいでしょう。
資金調達手段としてのビジネスローンのメリットは?融資との違いや利用時の注意点を解説
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起業時にお金を借りる以外の資金調達方法
お金を借りる以外にも、資金調達の方法はいくつかあります。
借り入れによる資金調達が最も多いですが、近年ではクラウドファンディングやベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を活用するケースも増加しています。
以下では、起業時にお金を借りる以外の資金調達方法を3つ紹介します。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じてアイデアやプロジェクトの魅力を広く伝え、多くの人々からの支援を集めることで資金調達する方法です。
従来の資金調達方法と比較して、手軽かつ迅速に資金調達が行えるだけでなく、自身のビジネスアイデアをインターネット上で公開して出資者を募るため、多くの人の認知やリアルなフィードバックが得られるというメリットがあります。
一方、目標金額に達しないと資金調達できない場合があるというデメリットも存在します。
そのため、クラウドファンディングを実施する前に、必要な支援者数や資金額、成功率などを事前に試算し、プロジェクトの計画を立てておくとよいでしょう。
ベンチャーキャピタル(VC)の出資
ベンチャーキャピタル(VC)は、成長が期待されるビジネスに対して出資や経営支援を行う企業です。
主に、出資先企業のIPO(新規株式公開)時に株式を売却することで利益(売却額と出資額の差分)を生み出しています。
そのため、ベンチャーキャピタルの出資を受けるには、将来的に高い成長が期待できる革新的な技術やユニークなビジネスモデルがあり、上場する可能性がなければ難しいです。
起業時にベンチャーキャピタルの出資を受ける場合には、おおよそ300〜500万円の資金が提供されます。この資金については返済不要ですが、代わりに株式を交付しなければなりません。
また、ベンチャーキャピタルは出資先企業に対して経営支援を提供しています。事業を成長させるためにも有力なアドバイスをもらえる反面、経営においてベンチャーキャピタル側の方針を考慮しなければならない可能性もあるため注意が必要です。
補助金・助成金の利用
補助金や助成金は、政府や地方自治体が提供する資金支援策であり、返済の必要がない点が大きなメリットです。
しかし、申請には厳格な条件があり、受給人数にも限りがある場合もあるため、事前に要件を確認し、しっかりとした準備を行うことが求められます。
補助金や助成金については、受給可能な金額が数十万円から最大でも数百万円となっていることがほとんどであるため、少額の資金が必要な場合に向いているでしょう。
起業時に活用できる補助金・助成金の代表例としては、中小企業庁が設けている「創業促進補助金」や、各都道府県がそれぞれ募集している「起業支援金制度」や「創業補助金・助成金」が挙げられます。
資金調達にはどんな種類がある?それぞれのメリット・デメリットを解説
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起業時にお金を借りるときのポイント
起業前や起業時には売上実績や税務申告などの実績がなく、信頼性を担保することが困難であるため、融資を受けることが難しい場合もあります。
しかし、いくつかのポイントを押さえておくことで、融資の審査を通過する確率を向上させることが可能です。
以下では、起業時のお金を借りるときのポイントを3つ紹介します。
緻密な事業計画書を作成する
融資には、提出書類と面談による審査があり、書類が審査に通過するかに大きく関わるといわれています。
なかでも事業計画書は、事業の信頼性や収益性を評価するためにも、審査において最も重視される書類です。
そのため、ただ単に事業の強みや競合との差別化ポイントをアピールするだけではなく、具体的な市場分析や資金計画、リスク管理の対策を詳細に記載することが求められます。
ただし、資金繰りや売上・経費予測などについては専門的な知識がないと難しい場合があるでしょう。
そのような場合は専門家である税理士や弁護士などに相談すると的確なアドバイスを受けられるでしょう。
自己資金を用意する
一般的に、融資の審査を通過するには、必要資金の20〜30%の自己資金を有していなければ難しいといわれています。
そのため、融資を受けやすくするためにもあらかじめ自己資金を用意しておくとよいでしょう。
自己資金としてみとめられるものには、預貯金以外にも有価証券や不動産、車などの資産や退職金、返済義務のない贈与を受けたお金なども含まれます。
ただし、有価証券や不動産などの資産は、現物資産として申告する必要があり、評価額については購入時の価格ではなく時価評価した金額となるため注意が必要です。
融資に強い税理士に相談する
融資に強い税理士に相談することで、融資の申請手続きに必要な書類の作成から面談のサポート、金融機関との交渉まで行ってもらうことが可能です。
融資支援が豊富な税理士は、審査において重視されるポイントを押さえた上でのサポートをしてくれるため、審査に通過する確率が格段に上がるでしょう。
実際、自分で融資申請をした場合の一般的な審査の通過率は30〜40%程度といわれていますが、税理士が関与した場合の融資の審査通過率は9割程度となっています。
そのため、確実に融資を受けたいと考える場合には、税理士に依頼することを強く推奨します。
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まとめ
起業時の資金調達は、準備と計画が重要です。自己資金の準備や、適切な融資手段の選定、そして専門家からのアドバイスを活用することで、起業を成功させるための資金を確保することができます。
事前にしっかりと準備を整え、資金計画を練り上げることで、ビジネスを安定してスタートさせることができるでしょう。
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