税理士と公認会計士の違いは?どちらに依頼するべき?ケース別に紹介
税理士は主に税務書類の作成や税務代理を行う「税務」の専門家であり、公認会計士は財務諸表の正確性・妥当性を評価する「監査」の専門家です。 本記事では、税理士と公認会計士の違い・共通点を詳しく解説し、4つのケース別にどちらに依頼すべきかを説明します。
税理士と公認会計士の違い
税理士と公認会計士はどちらも会計や税務に関する業務を行うため、同じようなイメージを持っている方も多いかと思います。しかし、それぞれの主要業務や顧客、資格試験の内容など、さまざまな点で違いがあります。
特に、大きな違いがあるのが、それぞれが独自に行うことが認められている独占業務です。
以下では、税理士・公認会計士のそれぞれの独占業務について説明します。
税理士の独占業務
税理士法第2条により、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つが税務に関する専門家である税理士の独占業務として規定されています。
それぞれの具体的な業務内容については以下の通りです。
税務代理 | 各種税金の申告の代行、納税猶予・予定納税額の減額承認・青色申告の承認などの申請の代行、税務調査の立会い |
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税務書類の作成 | 法に基づいて決算書や所得税・法人税などの申告書を作成する業務 |
税務相談 | 各種税金の計算や節税対策・決算対策、経理や資金繰りに関する相談 |
税金は国家の運営において重要な役割を担うため、上記の税金にかかわる専門的な業務については、特定の要件を満たした専門的な知識を有する税理士のみが行うべきと考えられています。
そのため、上記の3つの業務を税理士の有資格者以外が行うと、税理士法違反として罰則が与えられます。
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公認会計士の独占業務
公認会計士は、企業の財務情報が適切に管理されているかを第三者の視点から評価するための「監査業務」を独占的に行います。
監査とは、企業の財務諸表が正確であり、外部の利害関係者に信頼される情報であることを確認する業務です。具体的には、企業が作成した財務諸表の項目・金額が妥当か、会計処理が適切に行われているか、企業内部の業務プロセスや統制環境が適切に機能しているかなどを評価します。
企業の経営状態を正確に把握するために欠かせないものであり、株主や投資家の利害を保護するためにも重要な業務です。
税理士と公認会計士の共通点
税理士と公認会計士は、どちらも会計や税務の専門家であり、企業や個人の会計や財務に関する相談に対応できる点で共通しています。
両者の業務には重なる部分が多く、とりわけ中小企業では、どちらに相談しても大きな差がないことが一般的です。
税理士と公認会計士の業務の差が徐々に縮小しており、最近では両者ともに経営戦略や資産管理に関するコンサルティング業務を行うケースが増加しています。
大手の税理士法人や会計監査法人を中心に競争が激化しており、サービスの拡充によって差別化を図る動きが進んでいることが影響していると考えられます。
【ケース別】税理士と公認会計士のどちらに依頼するべき?
税理士と公認会計士には様々な違いがありますが、業務内容で共通している部分も多く、どちらに依頼すべきかわからない方も多いでしょう。
そこで、「節税」「資金調達」「経営」「M&A」の4つのケースに分け、税理士と公認会計士のどちらに依頼すべきか説明します。
節税の相談は税理士に相談するべき
節税に関する相談は、税務のプロである税理士に依頼するのが最適です。税理士は税法に精通しており、適切な節税対策を提案することができます。
実際に税理士に節税の相談をして、数十万円から数百万円の節税に成功しているケースも多く存在しています。
逆に、税理士に節税の相談をしても効果が得られなかったという場合もあるため、税理士に節税の相談をする場合には、対象となる税目(所得税、法人税、相続税など)を専門としている税理士に相談するようにしましょう。
節税対策に強い税理士の特徴は?選び方のポイントや注意点を解説!
「税金の負担が重く、節税をしたいが有効な対策がわからない」「節税の相談をしたいけれどどの税理士に相談すればよいかわからない」などのお悩みを抱えていませんか。 節税についてのお悩みを抱えている場合には税理士への相談がおすすめです。節税対策に強い税理士に相談すれば、節税のみならず経営や資金繰りの改善も期待できます。 本記事では、節税対策に強い税理士の特徴や選び方のポイント、税理士に相談する際の注意点について分かりやすく解説します。
資金調達の相談は税理士に相談するべき
資金調達の際にも、税理士に相談することをおすすめします。
資金調達を税理士に相談すれば、資金調達時に提出が求められる決算書や事業計画書などの書類の作成を代行してもらえます。
特に、決算書は金融機関の融資審査だけでなく、どの資金調達の方法でも重要視されます。税理士に書類作成を依頼し、税理士が書類の作成に関与したことを示す書類添付制度を活用することで、信頼性を向上させることが可能です。税理士が関与することで有利な条件で資金調達を進めることができるケースもあります。
また、資金調達の経験が豊富な税理士であれば、銀行からの借入、補助金・助成金の申請、ベンチャーキャピタルからの出資など、さまざまな調達方法を検討し、それぞれに最適なアドバイスをしてくれるでしょう。
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経営に関する相談は税理士と公認会計士どちらも対応できる
経営に関する相談では、税理士と公認会計士の両方が適切なアドバイスを提供できます。経営戦略の策定や経営の効率化など、幅広い分野で両者の専門知識が役立ちます。
そのため、どちらに相談するかは企業の状況に応じて判断すると良いでしょう。
例えば、経営に関する相談とともに申告や経理業務も依頼したい場合は税理士に、経理体制が社内で整備されているが企業の規模が大きくなり監査が必要な場合は公認会計士に依頼すると良いでしょう。
M&Aは税理士・公認会計士の知見両方が必要
M&A(企業の買収・合併)においては、税理士と公認会計士の両方に依頼すると良いでしょう。
税理士は主に税務面での負担やリスクを最小限に抑えるための税務デューデリジェンスや税金対策に関するアドバイス、M&A後の申告サポートを行います。
一方、公認会計士は、簿外債務や偶発債務の漏れの確認や粉飾決算の可能性を調査する財務デューデリジェンスなどの監査業務や、買収価格のベースとなる企業価値の評価(バリュエーション)を中心に行います。
それぞれが得意とする分野が異なるため、M&Aでは税理士と公認会計士の両者に依頼することで成功率を高めることができます。
まとめ
税理士と公認会計士の違いを理解し、状況に応じて適切な専門家に依頼することが、企業や個人の税務・財務を最適に管理する鍵となります。
税務に関することは税理士に、財務の信頼性や妥当性について確認する場合は公認会計士に相談するのが基本です。
さらに、M&Aのように複雑な案件では、税理士・公認会計士の両者に相談することが重要です。
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