生前贈与の非課税枠は110万円?2500万円?ほかの節税方法はある?

生前贈与は、将来の相続税対策として有効です。非課税枠には100万円や2500万円など様々なものがありますが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか? 本記事では、非課税で贈与できる6つの方法と、その利用時の注意点について詳しく解説します。 大切な資産を賢く相続するために、ぜひご一読ください。

生前贈与は、将来の相続税対策として有効です。非課税枠には100万円や2500万円など様々なものがありますが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか?

本記事では、非課税で贈与できる6つの方法と、その利用時の注意点について詳しく解説します。

大切な資産を賢く相続するために、ぜひご一読ください。

非課税制度がある生前贈与の6つの方法

生前贈与は、資産を子や孫に相続する有効な手段です。特定の条件を満たすことで、贈与税の負担を軽減しながら、資産を次世代に渡すことが可能になります。

個人の所有する財産が多いほど、生前贈与を活用することで将来的な相続税の負担を大幅に削減することができます。

ここでは、非課税制度を活用した生前贈与の6つの方法を紹介します。

暦年贈与による基礎控除額110万円以内の非課税贈与

暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間における贈与が基礎控除額である110万円以内である場合、贈与税が課されないという仕組みを活用した贈与方法です。

この基礎控除額は、贈与を受けた人の金額が基準となっているため、1人が3人に対して110万円ずつ、合計で330万円を贈与しても課税されません。

そのため、暦年贈与は長期的かつ複数人へ財産を引き継ぐ場合に適しており、例えば、毎年110万円ずつを3人に贈与することで、10年間で3,300万円の財産を非課税で移動させることができます。

ただし、暦年贈与には、生前贈与加算という制度があり、相続人が被相続人から生前に受けた贈与のうち、死亡前7年以内に受けたものについては、被相続人の相続財産に加算する必要があり、相続税の課税対象となるため注意が必要です。
なお、孫に贈与した財産については、孫が代襲相続人になる場合を除き、生前贈与加算の対象外となります。

病気などで死期が近いとわかっており、短期間で資産を移動させたい場合には、暦年贈与ではなく、相続時精算課税制度を適用する方が良いでしょう。

相続時精算課税制度を利用した2,500万円までの非課税贈与

相続時精算課税制度は、60歳以上の祖父母が18歳以上の子や孫に対して、一人当たり最大2,500万円まで非課税で贈与できる制度です。

相続時精算課税制度では、2,500万円以上の贈与に対しては、超過した金額に対して20%の贈与税が課されますが、一般的な贈与に関しては、2,500万円以上の金額に関しては45〜55%の税率で贈与税が課されるため、贈与税を抑えることができます。

ただし、相続時精算課税制度では贈与税がかかりませんが、贈与者の死亡時に制度を活用して贈与を受けた財産を相続財産に加算する必要があり、相続税の課税対象となるため注意が必要です。

しかし、令和5年度税制改正により、暦年贈与と同様に、年間110万円までの贈与に対しては基礎控除が設けられ、基礎控除分については相続財産への加算が不要となりました。

短期間の贈与や贈与する財産が少ない場合には、暦年贈与ではなく相続時精算課税制度を選択するとよいケースが多くなっています。

また、相続時精算課税制度は一度選択すると暦年贈与に変更することは不可能であり、それぞれの状況によってどちらを選択した方が良いかは異なるため、暦年贈与と相続時精算課税制度を選択する場合には、専門家に相談することをおすすめします。

相続時精算課税制度とは?改正での変更点・メリットを詳しく解説!

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おしどり贈与による2,000万円までの非課税贈与

おしどり贈与は、夫婦間で行われる贈与に対して適用される特例です。居住用不動産やその購入資金として基礎控除のほかに最大2,000万円までの贈与が非課税となります。

おしどり贈与を利用する場合には以下の要件を満たす必要があります。

  • 婚姻期間が20年以上であること
  • 贈与された財産が居住用の不動産またはその取得資金であること
  • 贈与を受けた翌年3月15日まで贈与を受けた人がその不動産(土地・建物)に居住しており、その後も居住する見込みであること
  • 贈与を受けた翌年の3月15日までに一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出すること

おしどり贈与は、夫婦間の財産の額に偏りがある場合に効果的ですが、配偶者の税額軽減の特例があることや二次相続時の課税対象となる財産が多くなってしまうことを踏まえると、必ずしも相続税が節税できるわけではありません。

おしどり贈与の制度を活用するべきかどうかの判断は非常に難しいため、専門家に相談するとよいでしょう。

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住宅取得等資金の1,000万円までの非課税贈与

住宅取得等資金の贈与は、父母や祖父母が子や孫の住宅購入のための資金を贈与する場合に適用される特例です。

条件を満たすと、最大1,000万円までが非課税となります。これにより、子や孫がマイホームを購入する際の資金援助を非課税で行うことができます。

ただし、贈与のタイミングを誤ると非課税の対象とならないため注意が必要です。贈与をした年の翌年の贈与税の申告期限(3月15日)までに、贈与を受けたものが住宅を取得していない場合には、通常の贈与とみなされ、贈与税が課されます。

また、この特例を適用して贈与をした場合、贈与税の発生の有無にかかわらず贈与税の申告が必要となります。

教育資金の1,500万円までの非課税贈与

教育資金の一括贈与は、祖父母が孫に対して学費や教材費などの教育費や生活費などの教育資金を贈与する場合に適用される特例です。

最大1,500万円までが非課税で贈与でき、教育関連費用に充てることができます。これにより、孫の将来の教育費を事前に準備することが可能です。

ただし、多額の教育資金を一括で贈与しても、即時に教育費として充てられない金額については贈与税の対象となるため注意が必要です。

この制度の適用期限は2026年3月末までとなっています。

結婚・子育て資金の1,000万円までの非課税贈与

結婚・子育て資金の一括贈与は、祖父母が孫に対して結婚や子育てにかかる資金を贈与する場合に適用される特例で、以下の条件を満たす方が利用できます。

  • 受贈者が18歳以上50歳未満
  • 受贈者の前年の所得が1,000万円
  • 贈与資金を口座から引き出した場合は領収書を金融機関に提出

これらの条件を満たせば受贈者1人あたり1,000万円までが非課税(※)となり、将来の家族計画を支援するための資金援助を行うことができます。

※1,000万円のうち結婚のための費用は300万円が限度額

生前贈与以外の内容を含めた相続税対策については下記の記事で紹介しています。

相続税の節税対策を徹底解説!効果的な方法や注意すべきポイントは?

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生前贈与の注意点

生前贈与にはいくつかの注意点があります。

これらを理解しておくことで、贈与をスムーズに行い、贈与税のトラブルを避けることができます。

贈与しすぎて自分の生活が苦しくならないようにする

生前贈与を計画する際には、自分自身の生活を考慮することが重要です。

過度な贈与は、自分の生活費や医療費が不足するリスクを伴います。贈与を行う前に、自分の将来の生活費を十分に確保し、無理のない範囲で贈与することが大切です。

定期贈与にならないために毎年同額の贈与は避ける

毎年同じ金額を贈与すると、定期贈与とみなされ、非課税の恩恵を受けられなくなる場合があります。

定期贈与は、契約が継続的に存在する贈与とみなされ、一括で贈与税が課されることがあります。

贈与額を変えたり、贈与の間隔を調整することで、定期贈与とみなされないようにする工夫が必要です。

税務署への申告が必要な非課税制度もある

非課税で贈与を行う場合でも、税務署への申告が必要な制度があります。

例えば、相続時精算課税制度や住宅取得等資金の贈与などは、非課税の範囲内であっても申告が必要です。

申告を怠ると、後でペナルティが課される可能性があるため、制度利用時には必ず申告を行いましょう。

生前贈与についてよくある質問

生前贈与については、よくある疑問や誤解が存在します。ここでは、代表的な質問とその回答を紹介します。

生前贈与で現金手渡しは問題ありませんか?

生前贈与を現金で手渡しすること自体には問題ありませんが、証拠を残すことが重要です。

贈与契約書を作成し、贈与の事実を明確にしておくことで、将来のトラブルを避けることができます。

また、銀行振込などの形で贈与を行い、取引記録を残す方法も有効です。

生前贈与で100万円をもらったら確定申告は必要ですか?

年間110万円以下の贈与については非課税となるため、100万円の贈与を受けた場合、確定申告は不要です。

ただし、複数の人からの贈与を合算して110万円を超える場合や、特例を利用している場合は、申告が必要となる場合があります。

生前贈与について気になることがあれば税理士に相談しよう

生前贈与は、正しい知識と計画が必要です。非課税制度の活用や税務署への申告など、専門的な知識が求められるため、疑問や不安がある場合は、税理士に相談することが重要です。

税理士に依頼することで、最新の税法に基づいた適切なアドバイスを提供し、最適な贈与計画をサポートしてもらえます。

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