二次相続の効果的な相続税対策を徹底解説!一次相続との違いや注意点も紹介!
二次相続の節税対策を行うと、一次相続とあわせて相続税の納税額を抑えられます。この記事では、二次相続の節税対策をするべき理由や、注意点を解説しました。生前贈与や配偶者の資産額を増やしすぎないなど具体的な方法も紹介しています。
「相続税の対策は二次相続を含めて考えましょう!」とよく聞きますが、具体的な方法や一次相続との違いを理解していない人も多いのではないでしょうか?
相続税には複雑なルールも多く、効果的な節税対策を知らない方も多いでしょう。
そこで本記事では、二次相続対策をするべき理由と効果的な方法を5つ解説しました。生前贈与を活用したり配偶者の資産を増やしすぎたりしないなど、今すぐに取り組める対策を紹介しています。
両親が亡くなったあとも手元に多くの資産を残したい方は、ぜひ最後まで記事を読んでください。
二次相続とは
両親が亡くなると相続が発生しますが、一人目が亡くなった際に行う、一度目の相続を「一次相続」、次にもう一人が亡くなった際に行う、二度目の相続を「二次相続」と呼びます。
例えば、令和3年に父親が亡くなり、令和5年に母親が亡くなった場合は、父親が亡くなった時に発生する相続が一次相続、母親が亡くなった時に発生する相続が二次相続となります。
一次相続との違い
法定相続人の人数が少なくなることが相続時の大きな違いです。法定相続人とは、民法で定められた被相続人(亡くなった人)の資産を相続できる人で、一般的には、被相続人の兄弟や両親、子供が該当します。
二次相続では納税額を減額できる配偶者の税額軽減の特例が適用できないため、納める相続税は多くなりやすいです。
二次相続対策をするべき理由
二次相続対策をするべき理由を、3つ解説します。
相続人一人分の基礎控除額が低下する
二次相続では法定相続人の人数が少なくなるので、基礎控除額は低下します。基礎控除額とは相続税を計算する際に使用する非課税枠で、基礎控除額が多くなると支払う相続税を抑えられます。
家族が父親と母親、子供二人で構成されている場合、両親のどちらかが亡くなった際の一次相続の基礎控除額は以下のとおりです。
3,000万円+(600万円×3)=4,800万円(配偶者+子供2人)
二次相続の際の基礎控除額は、以下のとおりです。(子供2人)
3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
法定相続人が少ないと納税額が増えるため、適切な対策を行いましょう。
配偶者控除が利用できない
二次相続の時点では配偶者も亡くなるため、配偶者控除は利用できません。配偶者控除とは、夫婦どちらかの資産を相続するときに利用できる控除です。
配偶者控除を利用すると、配偶者が残した資産のうち、「1億6,000万円まで」、または、「配偶者の法定相続分」のどちらか金額が高いほうまでは非課税となります。
例えば、一次相続で配偶者が1億5千万円の資産を相続する場合は、配偶者控除を利用できるため納税額は0円です。また、配偶者が一次相続で、被相続人の相続財産が4億円ある場合、法定相続分である2億円までは非課税で相続することが可能です。
一方、二次相続では配偶者控除を利用できないため、支払う相続税は一次相続よりも多くなります。配偶者控除が利用できないと納める相続税の総額も多くなるため、十分注意してください。
小規模宅地等の特例を利用できない可能性がある
二次相続では、小規模宅地等の特例を利用できない可能性があります。小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たすと、相続した土地の評価額(相続税計算の根拠となる金額)を最大80%減額できる制度です。
例えば、相続する土地の評価額が2億円であれば、小規模宅地等の特例を利用すると80%減額した4,000万円となります。配偶者が土地を相続する場合は、小規模宅地等の特例を利用するための要件が少なく、被相続人と同居をしていれば利用可能です。
一方、二次相続で子供が土地を相続する場合は、利用要件が厳しくなります。そのため、二次相続では居住用の不動産にかかる相続税が多額となる可能性もあるため、不動産にかかる相続税について十分に理解しておく必要があります。
小規模宅地等の特例で減額できる割合や適用条件は、国税庁のWebサイトで確認できます。
参考:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
二次相続の効果的な相続税対策
相続税を抑えるための効果的な対策を、5つ解説します。
対策①生前贈与をする
相続税を抑えるために、生前贈与を活用してください。生前贈与とは、存命中に資産を兄弟や子供に渡す行為です。
資産を兄弟や子供に渡すと贈与になりますが、贈与税には一年間で110万円の基礎控除額があるため、一定金額以下なら非課税となります。生前贈与を行うと被相続人の資産額を減らせるため、二次相続で支払う相続税を減額できます。
贈与税の税率や計算方法を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
贈与税とは?税率や計算方法、非課税になる場合も紹介【最新版】
詳細はこちら
対策②配偶者の資産を増やさない
二次相続では配偶者の資産を子供が相続するため、資産が増えると支払う相続税も多くなります。
配偶者の相続税の対象となる資産を増やしすぎないためにも、具体的に以下の手段をとることができます。
- 実家のリフォームをする
- 一次相続で子供に資産を相続させる
リフォームを検討している場合は、相続前に行うと相続税対策につながります。
キッチンやトイレ、お風呂などの水回りの修繕やバリアフリー対応、傷んだ壁や床のリフォームをすることにより、税金に影響してくる建物の評価額が上がることはないとされているためです。
そのため、相続財産となる現金資産を用いてリフォームをすることで、相続税の負担を減らすことができます。
また、一次相続の時点で子供に多く資産を相続させると、二次相続での納税額を減額できる可能性もあります。二次相続とのバランスを考えて配偶者の資産を増やしすぎないことも、節税対策に有効な手段です。
対策③生命保険の活用
相続税を抑えるために、生命保険を活用しましょう。生命保険を活用した節税対策のメリットは、以下のとおりです。
- 保険金に非課税枠がある
- 子どもを契約者として資産を贈与できる
- 保険金は受取人固有の財産となる
- 相続を放棄しても保険金を受け取れる
- 代償分割に活用できる
生命保険を相続税対策に活用すると、納税額を減額できる可能性があります。多くの資産を受け取るために、ぜひ活用してください。
具体的な活用方法については、以下の記事で詳しく説明しているのでご確認ください。
生命保険は相続税がかかる?計算方法から課税・非課税の判断ポイントを解説!
相続税が課税される場合には、相続する人の数や条件によっても相続税の金額が大きく変わります。この記事では、生命保険の相続税の課税・非課税の判断ポイントや相続税の計算方法、相続税に関する注意点、相続税対策のポイントなどを紹介していきます。
対策④一次相続で子供に実家を相続させる
一次相続で子供に実家を相続させると、効果的な節税対策となります。実家の相続には小規模宅地等の特例を利用できるため、相続税の減額が期待できます。
二次相続に比べて一次相続では小規模宅地等の特例を利用する適用条件が少ないため、制度を利用しやすいでしょう。また、二次相続の時点で実家は子供の資産なので、相続税の対象からは除外されます。
対策⑤相次相続控除による優待規定を利用する
支払う相続税を抑えるために、相次相続控除による優待規定を利用してください。相次相続控除とは、10年以内に続けて相続が発生した場合に納税額を減額できる制度です。
「前回の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10パーセントの割合で逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除する」ものとされています。
ただし、適用するためには、被相続人が前回の相続で相続税を課されていることが条件となるため、両親が10年以内に2人とも亡くなった場合に、一度目の相続で相続人であった配偶者が税額軽減の特例を適用して、相続税の負担が0円であれば適用できないため注意が必要です。
相続税の節税対策を徹底解説!効果的な方法や注意すべきポイントは?
相続税の節税対策は、「基礎控除額内の暦年贈与をする」「贈与税のかからない特例制度を使う」「不動産の評価額を下げる」「小規模宅地の特例を適用する」「不動産を賃貸する」「生命保険に加入する」「相続時精算課税制度で贈与をする」などの方法があります。この記事では、相続税の節税に効果的な方法や注意すべきポイントを紹介していきます。
二次相続に関する注意点
二次相続に関する注意点を、2つ解説します。
配偶者の住居や生活費に関する配慮
節税対策だけを考えて相続の手続きを進めてしまうと、配偶者の生活費は必要以上に少なくなってしまう可能性があります。自宅を子供に相続しても配偶者の部屋を確保する、多めに生活費を用意するなど、配偶者の住居や生活費に関する配慮を行いましょう。
また、配偶者が長生きすることで、生活費や実家のリフォーム費用、介護施設の入居費などで資産が減る可能性もあるでしょう。二次相続対策のために子供へ多く相続すると、配偶者の生活費が少なくなるため、事前の話し合いが必要です。
遺産争いにならないような対策が必要
相続時に遺産争いが起きないよう、日頃から家族で話し合うことも大切です。遺産争いが起きてしまうと、相続に関する話し合いができず、適切な節税対策はできません。
相続時のトラブルを防ぐために、日頃から資産に関する相談を行いましょう。
相続税の申告は税理士に依頼すべき?報酬相場・選び方・メリット・注意点を解説!
この記事では、相続税の相談ができる場所を4個所紹介しました。相続税の相談は、税務署や国税庁の電話相談センターを活用するだけでなく、税理士への依頼も可能です。税理士に依頼するメリットや報酬の目安も解説したので、ぜひ記事を読んでください。
二次相続に関する相続税対策については専門家に相談しよう
本記事では、二次相続での相続税対策を解説しました。生前贈与や生命保険を活用すると、二次相続で支払う相続税を効果的に減額できます。
ただし、節税対策は配偶者の資産額や家族構成で前提条件が変わるので、家族ごとに最適解は異なります。幅広いパターンでのシミュレーションには時間や知識が必要なため、相続税対策は専門家へ相談することをおすすめします。
【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司
会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。
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