専業主婦・パート主婦は確定申告が必要?知っておくべき年収の壁を紹介
専業主婦に確定申告は必要ない、と考えている人は少なくありません。専業主婦でも年金や不動産所得など、金額によっては確定申告が必要な場合があります。また、確定申告すると税金が戻ってくる可能性があります。この記事では、専業主婦の確定申告について解説します。年収の壁についてもわかる内容になっています。
専業主婦に確定申告は必要ない、と考えている人は少なくありません。専業主婦でも年金や不動産所得など、金額によっては確定申告が必要な場合があります。この記事では、専業主婦の確定申告について解説します。年収の壁についてもわかる内容になっています。
専業主婦・パート主婦は確定申告が必要?
専業主婦は一般的に所得がないため、確定申告は必要ありません。また、パート主婦であっても1社からの給与収入のみであれば確定申告は不要です。しかし、専業主婦やパート主婦であっても確定申告が必要なことがあります。
確定申告とは?
確定申告とは、1月1日から12月31日までの期間の所得を計算し、その所得に基づいて税金を計算して国に報告し、納税する手続きです。確定申告書の提出期限は、翌年の3月15日までです。
確定申告で計算された税金が、給与などから徴収されていた税金よりも少ない場合は還付されます。一方、給与などから徴収された税金よりも、確定申告で計算された税金が多い場合は差額を納付します。
働き方・収入で違ってくる確定申告の方法
専業主婦やパート主婦は確定申告が不要なケースが多いですが、働き方や収入の金額によっては確定申告が必要です。具体的には以下のケースが考えられます。
- 年間48万円を超える雑所得がある専業主婦
- 2社目の給与所得が20万円超のパート主婦
- 給与所得以外に20万円を超える雑所得があるパート主婦
専業主婦やパート主婦の副業の確定申告については、こちらの記事で詳しく確認できます。
副業で確定申告が必要なのはいくらから?ばれないためには?
給料を会社からもらっている人は税金関係は全て会社がやってくれますが、副業などで副収入を得ているなら自分で税金の処理もする必要があります。 副業の所得が20万円を超える場合、確定申告が必要です。 会社に副業がばれないためには、住民税を自分で納付するなどの方法が考えられます。 確定申告の必要書類や手順も解説するので、適切に確定申告を行うために参考にしてください。
専業主婦・パート主婦の夫が確定申告すべきな場合
専業主婦やパート主婦の夫も、働き方や収入金額によっては確定申告が必要です。具体的には以下のケースが考えられます。
- 給与所得以外に20万円を超える雑所得がある
- 副業の不動産所得が20万円を超える
- 妻の配偶者特別控除の金額が間違っていた
配偶者特別控除の金額は、妻の所得によって変動します。妻の確定申告などで妻が扶養から外れる場合、夫は確定申告が必要です。扶養のままになっていると、後日税務署から問い合わせがあるかもしれないため注意しましょう。
専業主婦・パート主婦が無職でも確定申告をすべきケース
専業主婦やパート主婦が無職でも確定申告が必要なケースはさまざまです。ここではよくある以下3つのケースを解説します。
- 不動産所得がある場合
- 投資による収入のある場合
- 年の途中でパート先を退職した場合
不動産所得がある場合
不動産所得とは、アパートの収入や土地の賃貸料などです。専業主婦が無職であっても、不動産所得が48万円を超える場合は確定申告が必要です。不動産所得は以下の方法で計算されます。
- 不動産の総収入金額 - 必要経費 = 不動産所得
収入から固定資産税などの必要経費を引いた不動産所得が、48万円を超えるか確認が必要です。
投資による収入のある場合
無職の専業主婦であっても、株式投資などから得た所得が48万円を超えると確定申告が必要です。しかし「源泉徴収ありの特定口座」であれば、所得が48万円を超えても確定申告は不要です。また、NISAを利用している場合なども確定申告は必要ありません。
株式投資で損失が発生した場合、源泉徴収ありの特定口座であっても確定申告した方がいいケースもあります。詳しくは以下の記事で確認できます。
株の損失は確定申告で節税! 確定申告のやり方も解説します
この記事では株式投資で損失が出た場合に、確定申告をして節税する方法を解説しました。e-Taxを使用した確定申告の手順や、株式投資の利益と損失を損益通算する方法を紹介しています。株式投資の損失を確定申告する場合の注意点も説明したので、ぜひ記事を読んでください。
年の途中でパート先を退職した場合
年の途中で退職して専業主婦になった場合、前の職場で年末調整を受けていない可能性があります。年末調整を受けていない場合、確定申告することで、給料から引かれていた税金が戻ってくる可能性があります。
年の途中で専業主婦になった場合、退職した会社から受け取る源泉徴収票を基に確定申告すると良いでしょう。
専業主婦・パート主婦が扶養家族内で働く方法
扶養の範囲内で働きたいと考える専業主婦やパート主婦の方は珍しくありません。扶養と一言で言っても税金の扶養と社会保険の扶養は金額が異なります。ここでは年収の壁について解説します。
収入を年収103万円以内に収める
年収103万円は税制上の扶養です。年収103万円以内であれば、夫は配偶者控除が適用できます。また年収103万円以内であれば所得税は発生しませんが、住民税はかかる恐れがあるため注意しましょう。
年収が150万円を超える場合
配偶者特別控除は、配偶者が年収103万円を超えても配偶者の所得金額に応じて所得控除が受けられる制度です。年収150万円以内であれば、配偶者控除と同じ38万円の控除が受けられます。
しかし年収150万円を超えると、配偶者特別控除の金額は段階的に減っていきます。配偶者特別控除の金額が減ると夫の所得が増え、夫の所得税や住民税が増える恐れがあります。
年収が201万円を超える場合
年収が201万円を超えると配偶者特別控除が受けられません。配偶者控除38万円がある場合に比べて、夫の所得税率が10%の場合は約7.6万円、夫の税金が増えます。
一方、年収が201万円を超える場合は配偶者特別控除を気にする必要がないため、収入を気にすることなく働けます。
年収106万円・130万円の壁とは?
年収106万円、130万円の壁は社会保険料の扶養です。これまでは見込み年収が130万円以内であれば、夫の扶養に入れました。しかし一定の条件を満たすと年収106万円を超えると社会保険の加入義務が発生します。
また130万円の年収には不動産収入も含まれます。専業主婦であっても、社会保険の扶養になれない可能性があります。
- 厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 2カ月を超える雇用見込みがある
- 学生ではない
2024年10月以降は、従業員数が51人以上の企業が対象となるため注意しましょう。
参考:日本年金機構「適用事業所と被保険者」
専業主婦・パート主婦が確定申告する際の注意点
専業主婦やパート主婦が確定申告する際は、以下の点に注意しましょう。
- 「医療費控除」を受けられるケース
- ふるさと納税をしても控除されない
- すべての所得を申告する
- 「生命保険料控除証明書」「国民年金控除証明書」を用意する
「医療費控除」を受けられるケース
医療費控除は10万円以内の場合は受けられないと言われていますが、専業主婦やパート主婦の場合、10万円を超えていなくても控除が受けられる可能性があります。
医療費控除とは1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が、一定の金額を超えると受けられる控除です。
- ① 10万円
- ② 総所得金額の5%
医療費控除は①か②のどちらか少ない金額を超えている場合に適用されます。
扶養の範囲内である専業主婦やパート主婦の方は、10万円よりも総所得金額の5%の方が少なくなる可能性があります。確定申告する際は医療費控除を検討しましょう。
参考:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
ふるさと納税をしても控除されない
専業主婦やパート主婦がふるさと納税すると、自己負担額が2,000円を超える恐れがあります。ふるさと納税は人気な節税対策ですが、控除される税金が少ない場合はメリットが少なくなるため注意しましょう。
専業主婦の方がふるさと納税するときは、夫の名義でするとよさそうです。
ふるさと納税には確定申告しなくても控除が受けられるワンストップ特例制度があります。しかし、確定申告するときはワンストップ特例制度は利用できません。
ふるさと納税している専業主婦が確定申告するときは「寄附金控除証明書」の保存と、寄附金控除を忘れないようにしましょう。
すべての所得を申告する
確定申告するときは、すべての所得を申告する必要があります。給与所得だけ、不動産所得だけなど、特定の所得だけを申告することはできません。少額であればバレないことはありません。
申告漏れが発生した場合、加算税や延滞税などの罰則が課される恐れがあるため注意しましょう。詳しくは以下の記事で確認できます。
確定申告を忘れた場合はどうなる?覚えておくべきペナルティ5選と対処法を解説
もし確定申告を忘れてしまったら、放っておくわけにはいきません。忘れたことに気付いたら、すぐに手を打つことが重要です。 本記事では、確定申告の締め切りを過ぎてしまった場合にどんなペナルティがあるのか、確定申告を忘れてしまったときにどう対応すれば良いのかについて説明します。さらに、締め切りまでに確定申告を完了できそうにない場合の対策もお話しします。
「生命保険料控除証明書」「国民年金控除証明書」を用意する
確定申告は所得の申告だけでなく、控除の申告もできます。控除するには、生命保険料控除証明書や国民年金控除証明書などの書類が必要なため用意しましょう。
紛失してしまった場合などは再発行できますが、再発行には時間がかかります。確定申告の申告期限までに間に合わない恐れもあるため、事前の確認が大切です。
専業主婦・パート主婦の確定申告の流れを理解しよう
専業主婦やパート主婦は、働き方や収入金額によって確定申告が必要です。給料以外に不動産収入などがある場合、年間所得の把握が大切です。
確定申告は税金を納めるだけではありません。特に、年の途中で退職して専業主婦になった方は、確定申告で税金が戻ってくる可能性があります。源泉徴収票や生命保険料控除証明書など、必要な書類の準備を忘れないようにしましょう。
【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司
会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。
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