確定申告の必要書類・添付書類を徹底チェック!申告期間前に準備すべきものは?
確定申告では様々な書類を用意する必要があり、必要書類は個々のケースや確定申告の種類によって異なります。確定申告をスムーズに行うには、確定申告の必要書類を早めに確認するのが安心です。今回は確定申告の必要書類について、パターン別に詳しく解説します。
確定申告の必要書類は申告内容によって異なります。必要書類の確認が遅くなると、確定申告が期日ギリギリになり慌ててしまう、書類の用意が間に合わない等の恐れが大きいです。また、必要書類の添付漏れを起こしてしまった場合、税務署から指摘を受けるリスクも高まります。
確定申告をスムーズに行うため、必要書類を早めに確認しておくのが安心です。本記事では確定申告の必要書類について、パターン別に詳しく解説します。
確定申告の必要書類
はじめに、確定申告をする人すべてに共通する必要書類を紹介します。
確定申告書
確定申告書はその年の収入や各種所得控除、所得額および所得額を基に計算した所得税の額を記載する書類です。国税庁が運営しているe-tax上で電子申告する場合は紙の申告書を手元に用意する必要はありませんが、書面で申告する場合は以下のような方法で入手できます。
- 国税庁の公式サイトで様式をダウンロード、印刷
- 税務署や確定申告会場の窓口
- 市区町村の担当窓口
- 確定申告の相談会場
- 会計ソフトで作成
以前はAとBの2種類がありましたが、2022年分の確定申告から確定申告書Aが廃止され、現在は確定申告書Bの様式に一本化され、現在はA,Bというタイトルの表記もなくなりました。
マイナンバー確認書類
マイナンバー確認書類も確定申告で必ず用意するべき必要書類です。確定申告書に記載するだけでなく、窓口での提示またはコピーの添付も必要となります。また、電子申告をする場合にも、税務署で利用者識別番号を取得せずとも、マイナンバーカード(通知カードや住民票は除く)を利用して簡易的に申告することができます。
マイナンバーカード(個人番号カード)を所有している場合、マイナンバーカード1点のみで問題ありません。マイナンバーカードを持っていない場合、以下いずれかの必要書類も用意しましょう。
- 番号確認書類:個人番号の通知カードまたはマイナンバーが記載された住民票
- 本人確認書類:運転免許証、公的医療保険の被保険者証、パスポート等
確定申告の内容に応じて提出が必要な書類
続いて、内容別の必要書類を紹介します。
所得を証明できる書類
所得を証明できる書類として用意するべきものは所得の種類によって異なります。主な例は以下の通りです。
- 青色申告決算書:事業所得や不動産所得のある人が青色申告で確定申告をする場合に必要です
- 収支内訳書:白色申告の場合に必要となります
- 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書:株式の売却等があった場合に必要です
- 特定口座年間取引報告書:株取引を特定口座で行っている場合に用います。ただし、添付等は原則として不要です
なお、給与所得者に対して勤務先から配布される源泉徴収票には、確定申告に必要な給与の支払金額や源泉徴収税額、各種所得控除の金額が記載されています。そのため、給与所得者が確定申告を行う場合は源泉徴収票の用意も必要です。ただし、確定申告の際に提出する必要はありません。
所得に関する必要書類はケースによって異なり、上記以外の書類が必要となる可能性もあります。自身の条件ではどのような書類が必要になるか事前に確認しましょう。
銀行口座が確認できるもの
確定申告により所得税の還付を受ける場合、確定申告書に還付金の振込先の記載が必要です。そのため、銀行口座が確認できるものも必要書類のひとつとなります。また、納税となった場合に、口座引落としも選択することができるため、口座が確認できるものを用意しておくと便利でしょう。
なお、口座情報を確認できる書類は申告書の作成時にのみ必要となります。通帳のコピー等を添付する必要はありません。
各種所得控除を受けるために必要な書類
控除を受けるための必要書類は、適用を受ける制度の種類によって異なります。
- 医療費控除:医療費控除の明細書 ※医療機関から届いた「医療費通知」がある場合、医療費通知を添付すれば明細書の添付は省略可能
- 住宅ローン控除:住宅の登記事項証明書、請負契約書や売買契約書の写し等 ※個人での確定申告が不要な方は1年目のみ
- 雑損控除:自然災害や盗難被害に関しての支出を証明する書類 ※具体的な必要書類は内容によって異なります
- 寄附金控除:寄付先が発行する寄附の証明書や受領書
- 社会保険料控除:社会保険料控除証明書
- 生命保険料控除や地震保険料控除:保険会社等が発行する支払額などの証明書 ※会社によりますが、毎年10月から11月にかけて発送されるのが一般的です
なお、適用を受ける控除や用意する書類によって、添付と提示のどちらが必要であるかが異なります。必要書類の扱いについて、詳しくは国税庁公式サイト「申告書に添付・提示する書類」をご確認ください。
また、e-Taxを利用する場合は一部の必要書類の添付を省略できます。必要書類の省略制度についてはe-Tax公式サイト「所得税及び復興特別所得税についてよくある質問」をご覧ください。
所得控除については以下の記事で詳しく解説しています。
所得控除とは? 15種類ある控除の対象者をわかりやすく解説
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個人事業主・フリーランスが確定申告で提出が必要な書類
個人事業主やフリーランスの確定申告における必要書類について、青色申告の場合と白色申告の場合に分けて紹介します。
青色申告の場合の必要書類
まずは青色申告の場合の必要書類です。確定申告の際に必ず提出や添付・提示が必要となる書類として以下の4つが挙げられます。
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- 各種所得控除関係の書類
- マイナンバー確認書類
必要書類の中でも最も特徴的なのが青色申告決算書です。事業収入や必要経費などの内訳を詳しく記載する書類で、青色申告の事業者は提出が必須となります。ページ数は4ページです。
また、決算書には以下の4種類があります。
- 一般用:決算書の標準的な様式です。他3つの様式を使うパターンに該当しない場合、一般用を使います
- 不動産所得用:アパート経営などの不動産賃貸業による所得がある場合に使う様式です
- 農業所得用:農業所得がある場合に使います
- 現金主義用:事業の内容に関係なく、現金主義で会計処理を行う場合に用いる様式です
白色申告の場合の必要書類
続いて白色申告の場合の必要書類を紹介します。すべてのケースで必要となる書類は以下の4つです。
- 確定申告書
- 収支内訳書
- 各種所得控除関係の書類
- マイナンバー確認書類
白色申告ならではの必要書類が収支内訳書です。名前の通り、収入や経費といった収支の内訳を記載する書類ですが、青色申告決算書よりも簡易的な内容となります。ページ数は2ページで、青色申告決算書よりも少ないです。
収支内訳書は一般用・不動産所得用・農業所得用の3種類で、使い分けの仕方は青色申告決算書と同様です。
青色申告決算書と収支内訳書以外、確定申告の必要書類に大きな違いはありません。
収支内訳書とは?書き方、白色申告との関係をか解説【保存版】
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確定申告の申告期間前の事前準備
スムーズな確定申告を実現するには事前準備が欠かせません。必要書類の準備だけでなく、他にも事前にやっておくべき作業があります。この章では確定申告に向けてやっておくべき事前準備を2つ紹介します。
領収書や各種証明書等の保管
領収書や各種証明書など、確定申告で使う書類はしっかり保管しましょう。スムーズな確定申告のためには、単に保管するだけでなく、種類や期間、支出の大きさなど一定のルールで分けて整理した上で保管するのが理想です。
これらの書類に不足があると正しい確定申告ができません。確定申告の直前に慌てることがないよう、必要書類を漏れなく保管する必要があります。
なお、領収書は必要書類の一種ではありますが、原則として提出や提示は必要ありません。確定申告書等を作成する際に用いる根拠資料の位置付けとなります。
また、申告内容が誤っている疑いがある場合は、入力内容を確認するため、申告期限から5年間は税務署から書類の提示・提出を求められることがあるため、申告が完了したとしても書類は保管しておきましょう。
定期的な記帳
確定申告の期日前に慌てることがないよう、定期的な記帳をするのがおすすめです。
取引の規模や所得額にもよりますが、確定申告の期間1年分の記帳をまとめて行うのはリスクが高いでしょう。時間が足りなくなる恐れや、焦りからミスや漏れが発生する恐れが大きくなります。そのため、確定申告の申告期間に入る前に記帳を進めておくのが理想です。申告期間に入ったらすぐに申告書の作成ができるよう、遅くても年明けには記帳をある程度済ませておくことをおすすめします。
仕訳帳や総勘定元帳といった帳簿を提出する必要はありません。前項で紹介した領収書と同様に、根拠資料という位置付けといえます。
なお、確定申告の際に用いた書類は一定期間の保存が必要です。必要書類を処分してしまった場合、税務調査の際に指摘を受け、追徴課税を課される恐れがあります。
保存期間は5年または7年で、書類によって異なります。保存期間の詳細は国税庁公式サイトの「記帳や帳簿等保存・青色申告」をご覧ください。
確定申告をする際は必要書類や添付書類の事前準備が大切!
確定申告をスムーズに行うには、必要書類を早めに確認し、申告期間に入る前に事前準備を済ませるのが理想です。必要書類の確認をしなければ書類の不備や漏れが、事前準備をしなければ申告期間に慌ててしまう恐れがあります。
今回は確定申告の必要書類や事前にやっておくべき準備について解説しました。今回紹介した内容を押さえ、スムーズかつ正確な確定申告を行いましょう。
【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司
会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。
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