貸付金に相続税は発生する?回収不能時の対策についても解説!
貸付金に相続税が発生する理由や評価方法、回収不能時の対策を解説します。貸付金の相続税でお悩みなら、税理士に相談することをおすすめします。
貸付金は債権であるため相続税が発生する
貸付金は現金や不動産と同様に、お金を返してもらえる権利(債権)を有していると認識されるため、相続時には相続財産の一部として評価されることから相続税が発生します。
例えば、親が亡くなり、親が他人に貸し付けていたお金が存在する場合、完全に回収することが不可能と判断される場合を除き、その貸付金は相続財産に含まれ、相続税の対象となります。
そのため、相続人はその貸付金の額を考慮して相続税を計算する必要があります。
相続税はいくらからかかる?計算方法や特例・控除についてわかりやすく解説!
相続税がいくらかかるかは、法定相続人の数によって変わる基礎控除額によっても 異なります。この記事では、相続税はいくらからかかるのか、基礎控除額を超えても相続税が発生しない場合と相続税の計算方法、相続税の申告が必要なケースなどを紹介していきます。
貸付金の相続税の評価方法
貸付金の相続税評価は、原則として貸付金の元本と未収利息を合わせた金額が基準です。
未収利息とは、相続開始時に貸付金が返済されたと仮定した時に、それまでに貸し付けていた期間に発生した利息のことを指します。
例えば、相続開始時までに3年にわたって500万円を金利3%で貸し付けている場合、「500万円 × 3% × 3年 = 45万円」が未収利息となります。
しかし、貸付金が長期間にわたり回収できていない場合や、債務者の財政状況が悪化している場合など、実際に回収が困難と判断される場合には、評価額が減額されることもあります。
このようなケースでは、回収可能性を慎重に見積もり、貸付金の価値を適正に評価することが求められます。
評価方法を正しく理解し、適切な申告を行うことが重要です。
貸付金の回収が難しい場合はどうする?
相続財産に貸付金が含まれていたとしても、回収困難と判断される場合があります。
回収が完全に不可能な場合や実質的に困難な場合には、それぞれ適切な対応が求められます。
以下では、回収不能時の貸付金の取り扱いについて詳しく解説します。
- 貸付金の相続財産への非参入【回収が完全に不可能な場合】
- 相続放棄の検討【回収が実質的に難しい場合】
貸付金の相続財産への非参入【回収が完全に不可能な場合】
貸付金が回収不可能な場合、その貸付金を相続財産に含めない措置を検討することができます。
これは、債務者が破産している場合や、長期間にわたり一切の返済の見込みがない場合などに適用されることが一般的です。
債務者の破産手続きの進行状況や、過去の返済状況などを示すことで、貸付金の評価額をゼロとして相続財産から除外することができますが、回収不可能と認められるハードルは非常に高いとされています。
回収不可能か判断するには高度な専門的な知識が必要とされるため、税理士などの専門家に相談することが重要です。
相続放棄の検討【回収が実質的に難しい場合】
貸付金の回収が実質的に難しい場合、相続放棄を検討することも一つの方法です。
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産や債務を一切引き継がないことを意味します。相続放棄により、相続財産に含まれる貸付金の債権も放棄することとなります。
ただし、相続放棄をすると他の財産も相続できなくなるため、慎重に検討する必要があります。
相続放棄を選択する場合は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申立てを行う必要があります。
相続放棄の手続きには法的な手続きが伴うため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
生前にできる貸付金の相続税対策(経営者が会社に貸し付けた場合)
中小企業の経営者などが会社にお金を貸し付けるケースは多く見られますが、会社に貸し付けた資金は、相続時に貸付金として評価され相続税の対象となります。
このため、生前に適切な対策を講じることが重要です。
以下では、貸付金の相続税対策として有効な方法について詳しく説明します。
- 現金・モノで返済する
- 貸付金の債権を贈与する
- 債権を放棄する
- DES(デット・エクイティ・スワップ)を行う
- 会社の清算により債権を消滅させる
現金・モノで返済する
会社に貸し付けた資金を現金やモノで返済してもらう方法があります。
現金での返済は最もシンプルで確実な方法です。会社の資金に余裕がある場合は、すぐに返済すると良いでしょう。資金を回収することで、貸付金としての評価額がゼロになるため、相続税の負担が軽減されます。
また、モノで返済する場合、会社が保有する資産を返済に充てることも可能です。
例えば、不動産や株式などを返済の形で受け取ることで、貸付金の債権を回収することができます。
この方法は、会社のキャッシュフローを保ちつつ、経営者の資産を適切に管理するために有効です。
貸付金の債権を贈与する
貸付金の債権を家族や信頼できる第三者に贈与することも一つの対策です。
贈与税の非課税枠を利用することで、貸付金の一部を贈与し、相続財産から除外することができます。年間110万円の贈与税の基礎控除を活用し、毎年少しずつ貸付金の債権を贈与する方法が最も有効です。
また、大きな金額を贈与する場合でも、贈与税の負担も考慮する必要がありますが、結果的に相続税の軽減につながることがあります。
生前贈与の非課税枠は110万円?2500万円?ほかの節税方法はある?
生前贈与は、将来の相続税対策として有効です。非課税枠には100万円や2500万円など様々なものがありますが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか? 本記事では、非課税で贈与できる6つの方法と、その利用時の注意点について詳しく解説します。 大切な資産を賢く相続するために、ぜひご一読ください。
債権を放棄する
貸付金の債権を放棄することで、相続財産から除外する方法もあります。
債権放棄は、会社に対する貸付金を返済不要とする手続きであり、これにより貸付金の評価額がゼロとなります。会社にとっても「債務免除益」という利益が生じ、経営状況の改善につながります。
ただし、債権を放棄する際には、繰越欠損金の金額以上の債務免除益が発生すると、会社側に法人税が発生する可能性があるため注意が必要です。
特に、多額の貸付金を放棄する場合は、税務上の影響を十分に考慮することが重要です。
DES(デット・エクイティ・スワップ)を行う
DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、貸付金を株式に転換する手法です。
経営者が会社に貸し付けた債権を、会社の株式に変えることで、貸付金の評価額を削減することができます。
DESは、会社の資本を増強する効果もあり、財務健全性の向上にも寄与します。
そのため、貸し付けた側と会社側の双方に効果的な手段と言えます。
会社の清算により債権を消滅させる
最終手段として、会社を清算し債権を消滅させる方法もあります。会社を解散し、清算手続きを経て貸付金を消滅させることで、相続財産から除外することができます。
この方法は、会社の事業が終了する場合や、他の対策が難しい場合に有効です。
ただし、会社清算には時間と費用がかかるため、慎重な計画が必要になります。
また、清算手続き中に他の債務や法的問題が発生する可能性もあるため、専門家の支援を受けることが重要です。
貸付金に発生する相続税でお悩みなら税理士に相談しよう
貸付金に対する相続税の問題は、評価方法や回収可能性の判断などが複雑であるため、専門知識が必要です。
特に、債務者の財政状況が悪い場合など、貸付金の回収が困難な場合には、評価額の減額が適用される可能性がありますが、その判断や手続きには高度な知識が必要とされるため、税理士に相談するのがおすすめです。
貸付金に関する相続税でお悩みの方は、早めに税理士に相談し、適切な対策を講じましょう。
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