相続税と年金受給権の関係を解説!年金の取り扱いや手続きの注意点もご紹介!

年金形式で受け取った死亡給付金は相続税の対象です。公的年金(遺族年金・未支給年金)、寡婦年金などは相続税の課税対象にはなりません。この記事では、相続税と年金の課税関係や相続税の課税対象となる年金受給権、相続手続きにおける注意点などを詳しく解説していきます。

年金形式で受け取った死亡給付金は相続税の対象です。公的年金(遺族年金・未支給年金)、寡婦年金などは相続税の課税対象にはなりません。この記事では、相続税と年金の課税関係や相続税の課税対象となる年金受給権、相続手続きにおける注意点などを詳しく解説していきます。

相続税と年金の課税関係について

年金の受給者が死亡したことにより年金受給権を取得した場合、その年金保険の被保険者や保険料の負担者、そして年金受給権の取得者によって課税関係が異なります。

例えば、父が亡くなったことによって相続が発生し、その財産の中に父が被保険者である年金受給権があった場合の課税関係は、次のようになります。

 

被保険者 保険料の負担者 年金受給権の取得者 税金の種類
母または子 相続税
贈与税
所得税

 

被保険者(父)と保険料の負担者(父)が同一である場合、母または子が取得した年金受給権(未支給年金)は、相続により取得したものとみなされ、相続税の課税対象になります。

ただし、年金受給権は「みなし相続財産」として扱われるため、実際の相続税の計算では一部控除が適用される場合があります。

被保険者(父)や年金受給権の取得者が保険料負担者ではない場合、子が取得した年金受給権は母から子への贈与とみなされ、贈与税の対象です。

被保険者(父)が保険料を負担しておらず、保険料を負担している人と年金受給権の取得者(母)が同一の場合は、一括受取では一時所得として、年金形式では雑所得として所得税が課されます。

相続税の課税対象となる年金受給権

相続税の課税対象となる年金は「個人年金」と「企業年金」です。

以下では、被保険者と保険料の負担者(契約者)が同一の場合に、個人年金・企業年金に課税される相続税について説明します。

個人年金

個人年金とは、老後に必要な生活資金に対して公的年金に上乗せして補完することを目的に自身で加入する保険(私的保険)です。契約時に定めた年齢まで保険料を積み立て、定めた年齢に達すると一定期間、もしくは生涯にわたって保険料に応じた年金が支給されます。

個人年金は、受給期間によって次の3つに分類することができます。

  • 確定年金:年金受取人の生死にかかわらず一定期間(5年、10年、15年、20年等)にわたり受け取ることができる年金
  • 有期年金:被保険者が生存している場合に限り、支給開始時から一定期間にわたって支給される年金
  • 終身年金:被保険者が生存している場合に限り、一生涯にわたって支給される年金

通常、有期年金や終身年金は、被保険者が生存している場合のみ年金が支給されますが、なかには年金の受取に保証期間が設けられており、被保険者の生死にかかわらず年金の受取が可能となるものもあります。

個人年金については、被保険者が年金受給前・受給中に死亡した場合には、遺族が代わって死亡保険金や未支給の年金を受け取ることがありますが、死亡保険金や未支給年金は相続税法上「みなし相続財産」に該当し、相続税が発生します。

個人年金だけでなく企業年金にも共通しますが、相続税の評価方法については、被保険者が死亡したタイミングが年金を受給する前か受給している途中かによって異なります。

個人年金を受給する前に死亡した場合

被保険者が個人年金の受給が開始する前に死亡した場合、遺族などの年金受取人に死亡保険金が支払われますが、この死亡保険金は被相続人の死亡をきっかけに受け取る「みなし相続財産」に該当し、相続税が発生します。

ただし、年金受取人が相続人に該当する場合、相続税の計算時に死亡保険金に「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が適用でき、相続税の負担を軽減することができます。

個人年金の受給中に死亡した場合

確定年金や保証期間付きの有期・終身年金を受給中に被保険者が死亡した場合、遺族などの年金受取人は被相続人に代わって年金を受給する(年金受給権)ことができます。この年金受給権も死亡保険金と同様に「みなし相続財産」として扱われ、相続税が発生します。

死亡保険金の場合と異なり、年金受給権には非課税枠が設けられておらず、未支給分の年金全額が相続税の対象となります。

企業年金

企業年金とは、企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けられる確定給付型の企業年金制度です。

公的年金に上乗せして支給されるので、企業年金に加入していれば退職後の生活費として受け取れる金額が多くなり、公的年金の支給額が足りない場合は不足分を補うことができます。

企業年金には、次のような種類があります。

  • 確定給付企業年金(規約型/基金型)
  • 確定拠出年金(企業型)
  • 厚生年金基金
  • 中小企業退職金共済制度・特定退職金共済制度

企業年金も個人年金と同様に、被保険者が年金受給前・受給中に死亡した場合には、遺族が変わって死亡退職金や未支給の年金を受け取ることがありますが、死亡退職金や未支給年金は相続税法上「みなし相続財産」として扱われ、相続税が発生します。

個人年金と同様に、相続税の評価方法については、被保険者が死亡したタイミングが年金を受給する前か受給している途中かによって異なります。

企業年金を受給する前に死亡した場合

被相続人が在職中に亡くなった場合、亡くなった被相続人に代わってその遺族などに支払われる死亡退職金は、「みなし相続財産」として扱われ、相続税の課税対象になります。

被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものについても、相続または遺贈による取得とみなされて相続税の課税対象となります。

死亡後3年以内に支給される金額が確定したものとは、次のものを指します。

  • 死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
  • 生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

出典:国税庁|相続税の課税対象になる死亡退職金

なお、亡くなった人の代わりに年金を受け取る場合、その受取人が相続人である場合は、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用され、相続税の負担を軽減することができます。

 

企業年金の受給中に死亡した場合

被相続人が企業年金の受給中に死亡した場合、遺族などの後継年金受取人に支給される未支給分の年金についても相続財産とみなされて相続税がかかります。

ただし、死亡退職金とは異なり、非課税枠が設けられていないため、未支給分の年金全額が相続税の課税対象となるため注意が必要です。

相続税の課税対象でない年金受給権

相続税の課税対象ではない年金受給権には、次の2つがあります。

  • 公的年金
  • 寡婦年金

公的年金(遺族年金・未支給年金)

公的年金には国民年金や厚生年金がありますが、これらの年金では年金受給者が亡くなった場合に、その方が生計を維持していた遺族に対して「遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金など)」が支給されます。

遺族年金は法律に基づき、「遺族の生活を保障するもの」として給付されるため、相続税の対象にはなりません。

また、公的年金では、原則偶数月の15日に2ヶ月分(前々月分・前月分)がまとめて支給されるため、公的年金の受給者が亡くなった場合には未支給分の年金(未支給年金)が発生します。

公的年金の受給者が亡くなった時期別の未支給分の年金の例については下記の通りです。

  • ①5月中に亡くなった場合:4月分と5月分の年金が未支給
  • ②6月1日から6月14日に亡くなった場合:4月分、5月分、6月分の年金が未支給
  • ③6月15日から6月30日に亡くなった場合:6月分の年金が未支給(6月15日に4月分と5月分が支給されている)

未支給年金を受け取るには遺族が年金事務所や年金相談センターに請求しなければなりませんが、未支給年金を受け取った場合にも、亡くなった方の相続財産ではなく遺族の固有の財産として扱われ、相続税の課税対象とはなりません。

ただし、未支給年金は遺族が自己の固有の権利として請求するため、受け取った場合には一時所得に該当し、所得税の課税対象となるため注意が必要です。

寡婦年金

寡婦年金は、国民年金の第一被保険者として納付済期間が10年以上ある夫が年金を受けずに死亡した場合、その夫に生計を維持されていた婚姻期間が10年以上ある妻に、60歳~65歳までの間に支給される年金です。

寡婦年金も遺族年金と同様に遺族の生活の保障として給付されるものなので、相続税の課税対象にはなりません。

受給期間の違いで年金受給権を評価する

年金受給権の評価とは、生命保険や損害保険などに基づく年金受給権を相続または贈与によって取得した場合の評価方法です。

年金受給権が相続税の課税対象になる場合、課税価額は相続税法第24条または第25条に基づき、解約返戻金などを評価します。

年金受給権の評価方法は、終身年金と確定年金によってそれぞれ異なります。

  • 終身年金
  • 確定年金

終身年金

終身年金は、死亡するまで一生涯に渡り受け取り続けられる年金です。

評価する際は、次のいずれかの高い金額を相続税の課税対象にします。

  • 契約を解約すると支払われる解約返戻金の金額
  • 一時金の給付を受ける場合に給付される一時金の金額
  • 給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額×その契約の予定利率による複利年金原価率

確定年金

確定年金の評価方法も基本的には終身年金と同様ですが、あらかじめ年金を受け取れる期間が定まっているという点で終身年金と異なっているため、予定利率等をもとに算出した金額の評価方法に違いがあります。

  • 契約を解約すると支払われる解約返戻金の金額
  • 一時金の給付を受ける場合に給付される一時金の金額
  • 給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額×残存期間に応じた予定利率による複利年金原価率

相続税の手続きにおける注意点

ここからは、相続税の手続きにおける注意点を紹介します。

相続税の手続きをする際は、次の2つのポイントに注意しましょう。

  • 未支給年金は確定申告が必要になる場合もある
  • 加入済みの年金を家族で共有できる

未支給年金は確定申告が必要になる場合も

未支給年金は相続財産ではないため相続税の対象にはなりませんが、一時所得の扱いになるため、所得税や住民税の課税対象になります。

一時所得は50万円以上受け取ると確定申告が必要となるため、未支給年金を受け取った場合でも、一時所得の合計金額が50万円以下となる場合には確定申告は不要です。

ただし、未支給年金の他に一時所得があり、他の一時所得の収入と合算して50万円を上回る所得がある場合には確定申告が必要です。

【e-Tax】確定申告をネットで申請するやり方、必要なものを解説

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確定申告=税務署に直接行って作業をするものというイメージを持っていませんか?直接提出する方法でも、税務署で書類を作成する方法と、自宅で作った書類を提出するだけの方法があります。そして直接提出する方法以外にも、複数の選択肢が用意されています。自宅で作成した書類を郵送する方法もありますが、最近ではネットから提出できる仕組みもあります。 ネットから申告する方法というのが、e-Taxを利用した方法です。パソコンやスマートフォンを活用することで、自宅にいながら申告できます。税務署まで行く必要がないので、時間がかからず、自分の好きなタイミングで申告ができるというのもポイントの1つです。提出のためにどのような準備が必要か押さえて、時間をかけずに作業ができるようにしましょう。

加入済みの年金を家族で共有できる

相続人が複数人いる場合、共有状態で相続することも可能です。

ただし、この場合、相続税の申告で漏れが生じやすく、財務調査の対象になりやすいです。

名義はもちろんですが、出捐者は誰か、預金の預入や株式の購入手続きをした者は誰か、その財産の管理や運用をしていたのは誰かなどを総合的に考慮して判断することが必要になります。

詳しい年金の取り扱いは税理士に相談をしよう

この記事では、相続税と年金の課税関係や相続税の課税対象となる年金受給権、相続税の課税対象でない年金受給権、相続税の手続きにおける注意点などを詳しく解説してきました。

年金の種類や契約形態によっても相続税と年金の関係性は異なります。

知識がない状態だと、「相続税がかかるのか・かからないのか」「相続財産になるのか・ならないのか」の判断を誤ってしまい、無申告や過少申告が指摘される場合もあります。

年金受給権のみに関わらず、相続税の計算や申告について少しでも不安なら、相続税の節税も期待できるため税理士に相談することがおすすめです。

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