遺産分割協議書とは？税理士に依頼した方がよいケースや探し方を解説！

遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合い、誰がどの財産をどれだけ相続するかを決め、書面に残したものです。遺産分割協議書があると、相続人同士のトラブルを防げるだけでなく、税理士に相続税の申告を依頼するときにも役立ちます。

この記事では、遺産分割協議書について解説します。作成を依頼すべきケースや、依頼先を選ぶポイントについてもわかる内容になっています。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、故人の遺産を相続人同士で話し合い、どのように分けるかを決めた書類です。遺言書がない場合に作成することが多いですが、遺言書がある場合でも、相続人全員の合意があれば作成できます。

遺産分割協議書は、相続手続きの際に必要となる書類です。遺産分割協議書がないと、相続登記や相続税の申告ができないケースがあります。また、相続人同士のトラブルを防ぐためにも、作成しておくことが大切です。

遺産分割協議書の作成が必要な場合

遺産分割協議書を作成する必要があるのは、以下の2つの場合です。

遺言書がなく法定相続分とは違う割合で遺産分割を行う場合

遺言書がない場合は、相続人は法定相続分に基づいて遺産を分割します。しかし、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは違う割合で遺産分割が可能です。その場合、遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺言書に記載されていない財産が発覚した場合

遺言書に記載されていない財産は、遺言書に記載されている財産とは別に相続されます。遺産分割協議書を作成して、遺言書に記載されていない財産の相続割合を決める必要があります。

遺産分割協議書作成に関する税理士業務・費用相場

遺産分割協議書の作成は、相続の申告と同時に税理士に依頼することが多いでしょう。ここでは、税理士業務の内容や費用相場について解説します。

税理士に依頼できる業務

税理士に依頼できる業務は、以下です。

• 遺産分割協議書の作成
• 相続税の申告
• 相続人調査

通常、税理士は税金のアドバイスや申告書の作成業務が主です。遺産分割協議書の作成だけの依頼はできませんが、相続税の申告を一緒に依頼する場合は、遺産分割協議書の作成が依頼可能です。

また、以下の内容は税理士に依頼できないため注意しましょう。

• 不動産の登記
• 遺産分割協議のアドバイス
• 車の名義変更手続き

税理士に依頼した方がよいケース

税理士に依頼した方がよいケースは、以下が考えられます。

• 相続人が複数いる
• 遺産に不動産や株式などの資産がある
• 相続税の申告が必要

相続人が複数いる場合は、相続人全員の意見をまとめるのが難しくなります。税理士に依頼すれば、相続人の意見を整理し、遺産分割協議書の内容を作成してくれるので、スムーズに遺産分割を進めることが可能です。

遺産に不動産や株式などの資産がある場合は、相続税の申告が必要になる場合があります。税理士に依頼すれば、遺産分割協議書の内容を踏まえて、相続税の申告をサポートしてくれます。

被相続人が確定申告をしていた場合、準確定申告が必要なケースが多いです。相続税の申告と一緒に、準確定申告も依頼するといいでしょう。

準確定申告について詳しくは、以下の記事で確認できます。

準確定申告とは?手続きの手順や必要書類・期限・注意点を徹底解説【総まとめ】

準確定申告は、家族が亡くなった場合等に必要な手続きです。手続きのやり方が通常と異なるうえ、申請しないと脱税を疑われたり、追加加算税がかかったりするので、早めに準備しておくべきです。本記事では、手続きの手順や必要書類・期限・注意点を解説します。

税理士に依頼した際の費用相場

税理士に依頼した際の費用相場は、遺産総額の0.5〜1.0％が相場です。たとえば、遺産総額が8,000万円の場合は約40〜80万円でしょう。

税理士に依頼する際は、複数の税理士に見積もりを取ることをおすすめします。

遺産分割協議書の作成を依頼できるその他の専門家

遺産分割協議書の作成は、税理士以外に弁護士や司法書士に依頼するのが一般的ですが、行政書士や銀行にも依頼することができます。

弁護士

弁護士は、法律の専門家です。遺産分割協議書の作成においては、法律の専門知識を活かして、相続人同士のトラブルを防ぐためのアドバイスやサポートを行ってくれます。また、遺産分割の調停や審判などの手続きもサポートすることができます。

行政書士

行政書士は、行政手続きの専門家です。遺産分割協議書の作成においては、行政手続きに関する専門知識を活かしてサポートします。しかし、相続税の申告や不動産の名義変更などはできません。

司法書士

司法書士は、登記に関する専門家です。遺産分割協議書の作成に加え、不動産の登記を依頼することができます。

ただし、相続税の申告や遺産分割協議のアドバイスはできません。

銀行

銀行は、遺産分割協議書の作成をサポートするサービスを提供している場合があります。銀行の場合は、銀行が窓口となって税理士などの専門家へ仲介します。仲介のため、税理士などへ直接依頼するよりも費用が高くなる傾向があります。

遺産分割協議書の作成を依頼すべきケース

遺産分割協議書を作成することで、相続人間のトラブルを防ぎ、スムーズに遺産を分けることができます。ここでは、依頼すべきケースについて解説します。

相続税の申告・対策が必要な場合

相続税は、被相続人が亡くなったときに、相続財産に対して課される税金です。相続財産の金額に応じて、税率が高くなります。

相続する財産の中で、建物や土地などの不動産の評価は高額ですが、減額されることがあります。たとえば、小規模宅地等の特例です。

小規模宅地等の特例の適用を受けると、評価額を減額することができます。小規模宅地等の特例を受けるには、一定の条件を満たし、遺産分割協議書を添付する必要があります。

相続税の申告には、専門的な知識が必要です。相続税の申告を間違えると、追徴課税やペナルティの対象になる可能性があります。

そのため、相続税の申告・対策が必要な場合は、税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。

参考：国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例（小規模宅地等の特例）」

相続人の間でトラブルが生じそうな場合

相続人同士が、遺産の分割方法で意見が合わない場合は、トラブルに発展する恐れがあります。しかし、遺産分割協議書を作成することで、相続人間のトラブルを防ぐことができます。

遺産分割協議書を作成するには、相続人全員の合意が必要です。相続人同士の意見が合わない場合は、専門家に依頼して、サポートしてもらうことをおすすめします。

不動産の相続登記を依頼したい場合

遺言書が存在したり、法定相続分で相続人全員が共有相続する場合は、相続登記に遺産分割協議書は不要です。しかし、相続人が話し合いで不動産などを相続した場合は、相続登記に遺産分割協議書が必要です。

相続登記をしないと、相続人が不動産を売却したり、抵当権を設定したりすることができません。相続登記は、法務局で行うことができますが、相続登記には専門的な知識が必要です。

不動産の相続登記を依頼したい場合は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺産分割協議書作成の依頼先を選ぶ時のポイント

遺産分割協議書の作成は税理士や弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。しかし、なかには作成経験が少ない専門家がいるため、依頼する際には、以下の点に注意しましょう。

• 相続手続きに関する実績が多数あるか
• 手数料が相場であるか

相続手続きに関する実績が多数あるか

遺産分割協議書の作成は、相続手続きの専門知識と経験が求められます。相続手続きに関する実績が、多数ある専門家に依頼する方が安心です。

実績を判断する際には、ホームページや口コミなどを参考にするとよいでしょう。また、実際に相談してみるのも一つの方法です。

手数料が相場であるか

遺産分割協議書の作成費用は、専門家によって異なります。相場よりも高額な手数料を請求する専門家もいるので、注意が必要です。

手数料を比較する際には、複数の専門家に見積もりを取るとよいでしょう。また、手数料の明細をきちんと確認することも大切です。

相続税の申告や財産評価を伴う場合は税理士への依頼がおすすめ！

相続によって、親族間でトラブルになるケースは珍しくありません。トラブルを防ぐためにも、遺産分割協議書を作成し、どのように分けるか書面にしておきましょう。

遺産分割協議書を依頼できる専門家は税理士や弁護士、司法書士などですが、専門家によって依頼できる内容や報酬の金額が異なります。依頼する際は、相続に関する実績、報酬を確認して選ぶことが大切です。

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