外国税額控除の確定申告について徹底解説!計算方法や必要な書類は?

この記事では、海外に納税した際に使用する外国税額控除を解説しました。外国税額控除は二重課税を防ぐための制度で、課税対象になるものや必要書類など細かいルールが決められています。確定申告時に必要な書類や記載方法を説明したので、ぜひ記事を読んでください。

この記事では、海外に納税した際に使用する外国税額控除を解説しました。外国税額控除は二重課税を防ぐための制度で、課税対象になるものや必要書類など細かいルールが決められています。確定申告時に必要な書類や記載方法を説明したので、ぜひ記事を読んでください。

日本で働きながら海外の企業からも収入を得ている方や海外の株式やETF、不動産などに投資している方は、二重に課税されている可能性があります。日本は二重課税を防ぐ仕組みが整備されており、制度を活用すると納税額を抑えることが可能です。

本記事では外国税額控除の制度の目的や控除額の計算方法、確定申告書への記載方法や必要書類を詳しく解説しました。日本だけでなく海外からも収入を得ている方は、ぜひ最後まで記事を読んでください。

外国税額控除とは

外国税額控除は、二重課税を防ぐ目的で作られました。具体的には、海外企業から得た収入や海外で行った株式投資の配当所得や譲渡所得、不動産所得などが対象です。

制度の目的や確定申告のときに控除を受けられる人、控除額の計算方法や適用時期を解説します。

外国税額控除の制度の目的

日本は全世界所得課税の考え方を採用しており、日本に居住する個人や法人が海外の企業と仕事をする際は、日本で得た収入と外国で得た収入を合算して納税額が決まります。

例えば日本の企業との仕事で300万円の収入を獲得し、海外企業との仕事で200万円の収入を得た場合、合計500万円の収入をもとに日本の納税額を計算します。いっぽう、海外企業から獲得した200万円の収入には外国の納税額も含まれており、二重に課税されてしまいます。

このように2つの国から課税される二重課税を防ぐ目的で作られた制度です。

外国税額控除を受けられる人

確定申告時に控除を受けられる人は、以下のとおりです。

  • 日本に居住している個人や法人
  • 日本で所得税や法人税を支払っている
  • 海外の企業から収入を得ている
  • 海外の株式やETFに投資している
  • 海外の不動産に投資している

外国税額控除を受けられる人は、日本に居住しており確定申告書を提出する個人や法人です。確定申告書に必要事項を入力すると、外国税額控除を受けられます。

外国税額控除の計算方法

所得税の確定申告を例に控除の計算方法を解説します。所得税額の計算方法は、以下のとおりです。

  • 1年間の収入を計算する
  • 収入から経費を差し引き所得を計算する
  • 所得から所得控除を差し引き課税所得を計算する
  • 課税所得に所得税率を掛けてから控除を差し引き所得税額を計算する

所得税額が計算できたら、以下の計算式を使い控除の限度額を計算します。

「所得税額×1年間の外国所得総額÷国内・外国の所得合計=外国税額控除の限度額」

課税金額が限度額よりも多い場合は、復興特別所得税からも控除を受けられます。

外国税額控除の適用時期

外国へ納税する日時の事業年度で、外国税額控除は適用されます。例えばアメリカの確定申告の提出期限は、個人源泉税は4月15日が一般的です。

2024年4月15日に外国税を納税する場合は、2023年1月1日〜2023年12月31日までの収入をまとめて確定申告時に納税額を計算します。

外国税額控除の対象

制度の対象になるものとならないものを解説します。

対象となるもの

日本に居住する個人や法人が外国で得た収入は、外国税額控除の対象となります。具体的には、以下のとおりです。

  • 給与所得に対する外国税
  • 事業所得に対する外国税
  • 株式やETFなどの配当所得や譲渡所得に対する外国税
  • 不動産所得に対する外国税
  • 譲渡所得に対する外国税
  • 退職所得に対する外国税

近年はチャットツールやWeb会議ツール、翻訳ソフトが普及しているので、海外企業と仕事をする機会は増えてきました。また海外株式などから得る配当所得も、制度の対象となります。

対象とならないもの

外国税額控除の対象とならないものは、以下のとおりです。

  • 全額または一部の還付請求できる外国税
  • 納付猶予を納税者が任意で決められる外国税
  • 複数税率の中から税率が決められる外国税の一部
  • 外国税に課される加算税や延滞税
  • 租税条約の規定で決められた外国税
  • 資本の払戻し金などに対する外国税
  • 通常の取引とは認められない取引で生じた所得に対する外国税

外国税額控除の対象とならないものは、判断が難しい場合が多いです。確定申告書の作成時は、税務署や税理士に確認してください。

外国税額控除の確定申告のやり方

事前に用意する書類や確定申告書の記載方法、提出方法や期限を確認してください。

確定申告に必要な書類

確定申告をするときに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 支払調書
  • 控除証明書
  • 所得の証明書
  • 経費の証明書
  • 外国税額控除に関する明細書
  • 外国税を課されたことを証明する書類
  • 外国税の納付書

通常の確定申告に必要な書類に加え、外国の法令で決められた税金の名称や納税額、納税予定日の明細書や納付書を用意してください。国や企業によって明細書や証明書の発行日は異なるので、早めに準備を行いましょう。

株式や不動産投資から所得を得た場合は、年間取引報告書や売買契約書、賃貸借契約書などの書類も確定申告で使用します。

確定申告時には、マイナンバーや運転免許証などの身分証明書も必要です。所得税が還付される際は、銀行の口座を用意してください。

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確定申告書の記載方法

確定申告をする際は、外国税額控除に関する明細書(居住者用)に収入や控除額などの必要事項を記載します。明細書に記入した金額をもとに、確定申告書へ収入や所得額、控除額を記入して提出してください。

確定申告時に使用する明細書は、国税庁のWebサイトからダウンロード可能です。

参考:外国税額控除に関する明細書(居住者用)

確定申告書類の提出方法・期限

確定申告書や必要書類の提出方法は、以下の3つです。

  • e-Taxで提出
  • 郵送で提出
  • 税務署で提出

確定申告書の提出期限は毎年3月15日で、所得税や復興特別所得税の納税期限も同じです。3月15日が休日の場合は、次の月曜日まで確定申告の期限は延長されます。

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外国税額控除と合わせて知りたい制度

確定申告時に活用できる、2つの制度を解説します。

みなし外国税額控除

みなし外国税額控除とは、外国税額控除と同じく二重課税を防ぐ目的で作られた制度です。制度を活用すると、実際には納付していない外国税を納付したとみなして確定申告の際に控除を申告できます。

自国に企業や工場などの投資を呼び込むために優遇税制を設けている開発途上国では、日本や諸外国の税率よりも低く設定されています。日本は全世界所得課税の考え方を採用しており、開発途上国が設定した低い税率で外国税を計算すると、日本の所得と合算したときに納税額が増えることがありました。

この課題を解決するために、低い税率で課税される国に対してみなし外国税額控除を利用できます。

外国税額控除の繰越控除

外国税額控除の繰越控除とは、控除限度額に満たない・超える部分を3年間繰り越せる制度です。国によっては収入を得た年と外国税を納付する年が一致しないこともあり、制度が作られました。

例えば、2023年度の納税額が30万円で控除限度額が40万円の場合、差額の10万円を3年間繰り越せます。2024年度に控除限度額よりも多く納税した場合は、繰り越した10万円から差し引くことが可能です。

外国税額控除を活用して二重課税を回避しよう

制度をうまく活用すると、日本と海外それぞれで課税される二重課税の回避が可能です。確定申告をすると払いすぎた税金が還付される可能性もあります。

確定申告時には、制度を活用できるかどうかを検討してください。

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。

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