会社設立時は社会保険の加入は必要?提出書類や手続き方法を徹底解説!

一人社長だとしても、会社設立して事業形態が法人となれば、社会保険への加入義務があります。その状況にも関わらず手続きをしてないと、さまざまなペナルティが課せられてしまいます。会社設立時の社会保険の加入手続きに必要な書類は、各手続きごとに手続きをする場所などが異なるので、早めに手続きを済ませましょう。

一人社長だとしても、会社設立して事業形態が法人となれば、社会保険への加入義務があります。その状況にも関わらず手続きをしてないと、さまざまなペナルティが課せられてしまいます。会社設立時の社会保険の加入手続きに必要な書類は、各手続きごとに手続きをする場所などが異なるので、早めに手続きを済ませましょう。

・会社設立時は社会保険の加入は必要?
・会社設立時、社会保険へ加入する際に必要な書類は?

今回は、このような悩みや疑問を解決していきます。

社会保険は、会社を設立した際に必ず加入しなければいけません。

この記事では、会社設立時の社会保険の必要性、加入方法、未加入だとどうなるかなどについて解説していきます。

社会保険とは

社会保険とは、企業勤めの会社員や条件を満たす短時間労働者が加入する保険です。

主に会社員や公務員を対象とする健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つを社会保険と呼ぶケースが多いです。

社会保険の種類

社会保険は、以下の3つの保険を総称したものです。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

社会保険

健康保険は、病気やケガによる医療費の一部を支給してもらえる保険で、日本国民全員が国民健康保険か健康保険に加入義務があります。

年齢や所得によっても異なりますが、自己負担が1割から3割程度で済みます。

介護保険は、介護サービスを受ける際に費用の一部を支給してもらえる保険で、40歳以上の方が被保険者となります。


厚生年金は、70歳未満の会社員または公務員が加入する公的年金です。

厚生年金保険に加入することで、老後に年金を受け取れる仕組みです。

厚生年金保険は、老後の年金以外に病気やケガで障害が残った時の障害年金や、受給者が亡くなった時に遺族に支給される遺族年金などがあります。

労働保険

労働保険は、労働者災害補償保険と雇用保険を総称した言葉です。

労働者の業務災害や通勤災害など、疾病や傷害などに対して保険給付を行うことを目的としています。

労働保険に加入していれば、休業補償や後遺障害保障を手厚く受け取れます。

また、健康保険と介護保険、厚生年金に加えて、労働保険(労災保険、雇用保険)の5つを総称して「広義の社会保険」と呼ばれる場合もあります。

会社設立時に社会保険の加入は必要か

ここからは、会社設立時の社会保険の必要性、労働保険の加入が不要となるケースについて解説していきます。

会社設立時の社会保険加入は義務

結論から言うと、会社設立時に社会保険の加入は必須です。

会社を設立すると、事業形態が法人に該当します。

たとえ従業員が一人もいなくても、社会保険の加入手続きは必須です。

なお、正社員以外については、社会保険に加入する場合、1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数が正社員の4分の3以上の場合に加入義務が発生します。

さらに、2022年10月より段階的に一部のパートやアルバイトの方の社会保険の加入が義務化されました。

従業員数101人~500人の企業で働くパート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。

法人の従業員数で加入が不要となるケース

会社設立時に、従業員を一人も雇用していない場合、労働保険の加入は不要です。

ただし、一人でも従業員を雇用している場合は加入が必須なので、会社設立時は事前に加入用件や手続きの方法を確認しておく必要があります。

会社設立時の社会保険加入方法

ここからは、会社設立時の社会保険加入方法を紹介します。

それぞれの加入手続きや必要書類についても解説していきますので、参考にしてください。

健康保険・厚生年金保険の加入手続きと必要書類

健康保険・厚生年金保険に加入する際に必要となる書類は、以下の通りです。

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書

健康保険・厚生年金保険新規適用届は、法人設立時に健康保険・雇用保険年金に初めて加入する際に必要です。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届は、法人を設立してから従業員を採用した際に被保険者として資格を取得するための書類です。

被保険者となる全員分の書類を提出する必要があります。

健康保険被扶養者(異動)届は、役員や従業員に配偶者や子供などの扶養家族がいる場合に提出する書類です。

なお、扶養家族としての続柄を確認するために、従業員それぞれの戸籍謄本や住民票などが必要です。

健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書は、健康保険料・厚生年金保険料を口座振替によって納付する時に必要になります。

日本年金機構へ提出する必要がありますので、不明点があればお近くの年金事務所に相談してください。

雇用保険の加入手続きと必要書類

雇用保険の加入に必要な書類は、以下の2点です。

  • 雇用保険適用事務所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険適用事務所設置届は、労働保険の適用事業になった時に所轄の労働基準監督署または公共職業安定所に提出します。

会社を設立する際に従業員を雇う場合は、会社設立日の翌日から10日以内に提出する必要があるので、注意してください。

申請書は、ハローワークの「雇用保険適用事務所設置届」からダウンロードしてください。

なお、雇用保険適用事務所設置届を提出する際には、以下の書類の提出も求められます。

  • 営業許可証
  • 登記事項証明書

労災保険の加入手続きと必要書類

労災保険の加入に必要な書類は、以下の2点です。

  • 保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書

まずは事業を行っている地域を管轄している労働基準監督署に対して、保険関係成立届と労働保険概算保険料申告書を提出します。

その後、労働保険番号の交付を受けたら、同じく事業を行っている地域を管轄している公共職業安定所で雇用保険の加入手続きを行います。

なお、労災保険や雇用保険への加入は、保険関係が成立した日の翌日から10日以内に提出しなければいけません。

会社設立時に社会保険未加入だとどうなるか

会社設立時に社会保険未加入だと、さまざまなペナルティの対象になります。

ここでは、会社設立時に社会保険未加入だとどうなるかについて解説します。

  • 年金事務所による加入要請
  • 警告文書
  • 立入検査・強制加入
  • 罰則・罰金
  • 補助金・助成金が受給できない

年金事務所による加入要請

社会保険への加入義務があるのに未加入の場合、年金事務所による電話などで加入要請がなされます。

この時点で速やかに提出すれば、ペナルティは少なくて済みます。

年金事務所では国税庁の情報をもとに加入状況が分かり、必ずバレるので注意してください。

警告文書

年金事務所による電話などで加入要請を受けてもまだ社会保険の加入手続きをしていない場合、警告文書が届きます。

警告文書の内容は、「年金事務所に来所して加入手続きをしてください」という内容です。

この時にすぐに手続きを行い、保険料を納めれば特に大きな問題にはなりません。

立入検査・強制加入

警告文書も無視し続けているので、次に立入検査や強制加入となります。

この段階まで進んでしまうと、2年前まで遡って保険料の納付を求められることになります。

従業員が多い会社の場合、2年間の保険料を一度に支払うのはかなり大きな負担になるでしょう。

なお、立入検査では、質問に必ず答えなければいけないという義務があります。

仕事が忙しくて対応できないなどの言い訳は通用しません。

罰則・罰金

加入義務があるのにも関わらず社会保険へ加入していない場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されるなどの罰則が課せられる可能性があります。

ここまで来ると従業員からの信用も失い、人材の流出にもつながりかねませんので、早急に社会保険の加入手続きをしてください。

補助金・助成金が受給できない

社会保険への未加入の状態が続くと、雇用調整助成金や産業雇用安定助成金などの補助金・助成金を受給できなくなります。

特に、返済が原則不要な公的融資を受けられないのは、設立から間もない会社にとっては大きなリスクになるでしょう。

今後補助金や助成金の申請を検討している方は、早めに社会保険への加入手続きをしてください。

起業して会社設立をするときは社会保険の加入を忘れずにしよう!

この記事では、会社設立時の社会保険の必要性、加入方法、未加入だとどうなるかなどについて解説してきました。

法人設立時はたとえ代表者一人だとしても、加入義務があります。

健康保険や介護保険、厚生年金の手続きなので、それぞれ提出する様式も窓口も異なります。

社会保険の加入は法人化・会社設立から原則5日以内に手続きを完了しなければいけません。

手遅れとなってさまざまなペナルティが発生する前に、早めに手続きを済ませておきましょう。

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。

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