クラウドファンディングの税金|確定申告と種類を徹底解説
クラウドファンディングを利用する際、忘れてはならないのが税金と確定申告です。クラウドファンディングにはいくつかのタイプがあり、それぞれかかる税金も変わります。プロジェクトを始める前に、各タイプに必要な税金の情報を理解しておくことが大切です。今回は、クラウドファンディングで得た収益に関する税金と、それに伴う確定申告の流れを説明します。
クラウドファンディングの種類
投資型
融資型クラウドファンディング
クラウドファンディングはいくつかありますが、そのなかに融資型クラウドファンディングと言われるものがあります。これは、資金を必要としている事業者に資金を運用したい投資家をあわせるサービスのことです。クラウドファンディング事業者はファンドをつくり投資家から資金を集め、お金が必要な人はこの資金を得ることになります。
融資を受けた側は金利を含めた融資金額をクラウドファンディング事業者に返済し、投資家は元本と利息から手数料を引いた金額を受け取れます。
株式型クラウドファンディング
クラウドファンディングには、株式型クラウドファンディングと言われるものがあり、これは企業が資金調達するさいに一般的に行う方法の一つです。
この手法は株式投資型ともいわれ、将来上場や企業売却がみこまれる上場前のベンチャー企業などの未公開株式を企業側が投資家に提供することで、企業側が資金を得られる仕組みとなっています。この方法は、投資した企業が成功すれば大きな売却益を期待できる投資サービスと言えます。
ファンド型クラウドファンディング
クラウドファンディングにはファンド型クラウドファンディングといわれるものがあり、これは個人投資家がある特定の事業などに投資を行うことで、企業側が資金を調達することが出来るシステムのことを言います。
ファンド型クラウドファンディングの特徴は、他の投資方法のように金銭的なリターンだけでなく、投資した事業の商品やサービスなどを受け取ることが出来るという特徴があります。
非投資型
購入型クラウドファンディング
投資を行いリターンを得るクラウドファンディングもありますが、金銭的なリターンを主目的とせず、そのかわりに、商品やサービスをリターンとして受け取れる非投資型の購入型クラウドファンディングと言われるものがあります。購入型は非投資型であり、投資型のサービスとは性質が違うことが特徴です。
寄附型クラウドファンディング
クラウドファンディングにはいろいろありますが、そのなかでも寄付型クラウドファンディングは非投資的なクラウドファンディングで、投資というよりも「寄付」的な性格が強いことが特徴です。そのため、社会や公共のために公共の利益や社会的な問題を解決する活動を行っている「NPO・非営利団体・自治体・学校法人」などが資金調達のために利用していることが特徴的です。
寄付型クラウドファンディングは、国際協力、子供に対する支援、福祉に関すること、災害支援などで行われることが多く、それぞれ具体的に見ていくと次のようなプロジェクトがあります。
- 1.「国際協力」に関しては、「国際的な人道支援・教育支援・平和活動」などのプロジェクトが多いです。
- 2.「子供に対する支援」の代表例には、「シングルマザーの子供たちに対しての生活・教育支援等など」があげられます。
- 3.「福祉に関すること」には、「生活に困っている人たち絵の支援・障害者に対する支援・高齢視者への支援」などが含まれています。
- 4.「災害支援」には、「災害が起こった時の緊急支援・災害からの復旧復興活動・普段からの防災活動等」といった活動が多いです。
上記のような「生活に困っている子供たちのためのプロジェクト」「地震や台風などの自然災害にあって被害を受けた人たちへの応援」「発展途上国の病院や医療に関すること」「発展途上や恵まれない子供たちのために学校を作る」などのプロジェクトでは、金銭的なリターンなどは多くの場合ありません。
しかし、社会、公共、恵まれない子供たちや、恵まれない人たちに対して力になれ、個人では行うことの難しい社会福祉的な活動を行い、社会福祉に関わることが出来るのが特徴です。
最近ではこのような問題を解決するために、今までの資金調達の方法よりもより柔軟で迅速な資金調達の方法として寄付型クラウドファンディングを使うことが多くなってきています。
クラウドファンディングで確定申告すべき人・ケース
クラウドファンディングで確定申告すべき人・ケースとして以下の2つを紹介します。
資金調達者
クラウドファンディングでお金を集める際、どのようにそのお金を使うかによって税金の支払いが必要になることがあります。集めたお金が一定の金額を超えた場合、税金を申告し支払う必要が出てきますが、どれだけの金額からかは、そのお金が何のために使われるかによって変わります。
例えば、人からプロジェクトへの支援としてお金をもらった場合、これは贈与と見なされます。支援金が110万円を超えると、贈与税がかかるため、税金の申告と支払いが必要になります。
また、お金を集めて事業を始め、その事業から利益が出た場合は、その利益に対して所得税を支払う必要があります。つまり、クラウドファンディングで得た資金をどのように使うかによって、税金の扱いが変わるので、しっかりと管理することが大切です。
資金提供者
クラウドファンディングでお金を出した人は、基本的にその時点で税金を払う必要はありません。そのため、普通は税金の申告も必要ないのですが、特定の状況では税金がかかることがあり、その場合は申告したほうが良いこともあります。
例えば、あなたが出資したプロジェクトから利益の分配を受けた場合、その受け取った利益には税金がかかる可能性があります。
また、クラウドファンディングにお金を出したことで、何かしらの損失があった場合、その損失は税金の計算で考慮されることがあります。このように、出資したお金が経費や寄付金として税金の控除対象になる場合もあるので、確定申告を通じて税金を節約できるかもしれません。
つまり、クラウドファンディングでお金を出す場合、通常は税金の心配は少ないですが、受け取った利益があったり、税金の控除を受けられたりする状況があれば、申告することで税金を節約できる可能性があります。
クラウドファンディングにかかる税金の種類
クラウドファンディングにかかる税金の種類を紹介します。
投資型クラウドファンディング
クラウドファンディングにはいくつかの種類があり、生じる税金の種類などに違いがあるので注意が必要です。クラウドファンディングには、大きくわけると一般的に「投資タイプ」と言われるものと「非投資タイプ」と言われるものの2種類に分かれます。両者のタイプの違いは、資金提供のリターンが「お金で帰って来るのか」、「サービスや物などお金以外の物で帰って来るのか」のちがいです。
ファンド型のクラウドファンディングの場合はリターンがお金で戻ってくるタイプに分けられます。このため、出資者に出資を行った分に応じて分配金を支払うファンド型の場合は、ファンド型クラウドファンディングによって得られた分配金は、所得税法上では、新株発行に関する会計処理が適用されるので法人であれば損益計算書に収益として計上し、法人税が課税され、個人の場合であれば雑所得と考えられるため総合課税となります。
また一般的にファンド型は、資金を調達したときには税金がかかることはありませんが、投資などによって利益が得られた場合には、この利益に対して税金が発生してくるので注意が必要です。
購入型クラウドファンディング
クラウドファンディングには「投資型」と「非投資型」の2タイプのクラウドファンディングがあり、購入型クラウドファンディングは非投資型のタイプになります。資金を提供してリターンを得るタイプの投資型ではなく、資金を出資して商品などを受け取るタイプの投資です。
このため、税金などについても商品を購入したときのような考えが適用されることになるので、資金を提供した人は、商品などを購入したとみなされるため税金が発生することはなく、提供者が個人事業主であった場合は、出資した金額は事業所得の経費となります。
また、このクラウドファンディングで資金を得た人は、商品を販売したことになるので、個人事業主なら事業所得の収入となり確定申告する必要があるので注意が必要です。
寄付型クラウドファンディング
融資型のクラウドファンディングで集めた資金に対しても、税金がかかることがあります。融資型のクラウドファンディングの場合は、税金がかかってくるときは、出資を受ける側やお金を出す側が個人か法人かによって、どんな税金が課せられるか違ってくるので注意が必要です。
個人が出資を受けた場合、個人が個人からのお金を得たのであればそのお金(寄付金)は一般的に贈与とされるために贈与税がかかり、法人から資金を得たときは一時所得扱いされるため所得税がかかってきます。
また、法人が出資を受けとるときは、一般的に寄付金が贈与とみなされることになり、受贈益扱いとみなされるため法人税がかかるので、法人から出資をうけたときは法人を納めないといけません。
クラウドファンディングの確定申告の方法
クラウドファンディングの確定申告の方法について、クラウドファンディングの種類別に解説します。
投資型クラウドファンディングの確定申告の方法
投資型クラウドファンディングは、資金提供者がプロジェクトなどに対してお金を出資し、リターンとして利益(お金)を受け取るタイプのクラウドファンディングです。この資金提供者はお金を提供した時点では税金が課税されることはなく所得税も払う必要がなく無課税です。
しかし、出資してからリターン分のお金を受け取った時は、雑所得扱いを受けることになり所得税を払う必要が生じてきてしまい、原則確定申告が必要です。
ただし、分配金にかかってくる所得税に関しては、受け取ったときには源泉徴収されているので、確定申告での納税は発生せず、税金の還付でお金が戻ってくることもあるので要注意です。
また、資金を得た人に関しては、資金を得た時点での税金の発生などはありませんが、その資金をもとに事業などをおこない利益が出たときに事業所得などとして所得税が発生してくるので確定申告などを忘れずに行う必要があります。
資金提供者だけでなく、資金を得た人も注意しておかなければなりません。
購入型クラウドファンディングの確定申告の方法
購入型クラウドファンディングでは、資金の出資者に対してリターンとしてお金をわたすのではなく、商品やサービスなどを提供する点が特徴です。お金を出して物やサービスなどを受け取るために、このような名前で呼ばれています。購入型では、資金を出して商品やサービスなどを手に入れるので税金に関する取扱いに関しては、一般的な商品の購入などと同じように考えます。
個人が資金を出しただけでは税金は発生しませんが、資金提供者が資金を出して購入した商品を事業に関して使用するときは事業の経費となるので注意が必要です。また、お金を得た人は商品やサービスの販売をしたと考えられるので、個人事業主ならば事業所得に、それ以外なら雑所得として扱われることになり確定申告の必要があります。
寄付型クラウドファンディングの確定申告の方法
クラウドファンディングのなかには寄付型クラウドファンディングと言われるタイプのものがあります。多くのクラウドファンディングでは、資金を出資した見返りとして「お金によるリターン」や「商品やサービスなどによるリターン」がありますが、この「寄付型」の場合は資金を出資した人に対して、このような見返りがない場合や、あってもとても小さい場合のクラウドファンディングのことをいいます。
寄付型クラウドファンディングの場合は、資金を提供している人はお金を提供しているだけなので所得税などの税金はかかりませんが、法人に資金を提供した場合には、確定申告を行うことによって寄付金控除を受けることが出来ることがあるため忘れずに申告することが必要です。
また、資金を得た側(資金を調達した人)に関しては、無償でお金を得たので収入を得たとみなされることになり税金を納める必要が出てきます。このときどこから資金を得たのかが重要になり、個人から調達したのか法人から調達したのかで納める税金に違いが出てきてしまうので注意が必要です。
個人から得た資金は贈与とみなされるため贈与税がかかり、法人から調達した資金は一時所得とみなされ所得税がかかることになります。
資金調達者におけるクラウドファンディングの節税方法
資金調達者におけるクラウドファンディングの節税方法を3つ紹介します。
贈与税の基礎控除の利用
寄付型クラウドファンディングでは、人から人への寄付は「贈与」とみなされます。これにより、通常の所得税はかかりませんが、一定の額以上の寄付には贈与税が適用されることがあります。ただし、贈与税には「基礎控除」という制度があり、これを利用することで税金を減らすことが可能です。そのため、寄付をした時はこの控除を忘れずに受け取るようにしましょう。
もし、寄付型クラウドファンディングで企業(法人)と個人の両方から資金をもらった場合、その資金は種類によって税金の扱いが異なります。企業からの資金は「一時所得」として申告し、個人からの寄付は「贈与」として分けて申告する必要があります。このように、資金の出所に応じて正確に申告することで、適切な税金の処理が行えます。
青色申告承認申請書の提出
購入型クラウドファンディングからの収入に対する所得税は、青色申告を利用することでかなりの額を控除することができます。もし自分が事業を運営しているなら、この税金の優遇措置を受けるために必要な手続きをしておくことが大切です。
具体的には、事業を始めたときには開業届を、そして青色申告を行うためには青色申告承認申請書を税務署に提出しましょう。青色申告をすることで、最大65万円までの特別控除が受けられます。これは、事業経費が多くかかる人にとって非常に有利な制度です。
必要経費の申告
クラウドファンディングから得た資金を使って節税をするには、事業にかかった経費をきちんと申告することが大切です。クラウドファンディングでプロジェクトを運営する際には、さまざまな費用がかかります。これらの費用は、プロジェクト運営に直接関連するものであれば、ほとんどが経費として計上可能です。
経費には、クラウドファンディングサイトが取る手数料、支援者へのリターン(お礼)を送るための費用、商品を送る際の送料、インターネットの使用料などが含まれます。これらはプロジェクトの運営に必要なものなので、税金の計算時に経費として引くことができます。
さらに、これらの費用はクラウドファンディングに限らず、事業全般に関連するものであれば、確定申告の際に経費として申告することが可能です。
しかし、事業と関係のない費用を経費として申告すると、税務署からの指摘を受けることがあり、場合によってはペナルティの対象となることもあります。ですから、事業に直接関わる費用のみを適切に計上し、正しく節税を行いましょう。
資金提供者におけるクラウドファンディングの節税方法
次に、資金提供者におけるクラウドファンディングの節税方法を2つ紹介します。
寄付型クラウドファンディングの場合は寄附金控除を受ける
寄附金控除について詳しく解説します。
寄附金控除とは?
寄付金控除とは、納税者が国・自治体・学校法人・認定NPO法人・公益社団法人・公益財団法人など、ある特定の法人などに「特定寄付金」をした人は所得控除を受けることができ、このことを寄付金控除といいます。寄付する先が「寄付型クラウドファンディング」の場合でも、寄付した先が認定NPO法人などであった場合は、寄付金控除の対象となります。
ただし、認定ではないNPO・一般社団法人・一般財団法人などは寄付金控除の対象外で、これら場合は、対象とはならないので注意しておかなければなりません。
寄付金控除額の計算方法
寄付控除額は、「年間で支払った寄付金の額(ただし、その年の総所得金額等の40%相当額まで)から2,000円を引いた額」となります。例えば、寄付型クラウドファンディングで認定NPO法人に5万円の寄付を行ったときは、「50,000-2,000=48,000円」の寄付控除を受けることが可能です。
寄附金控除を受ける方法
寄付金控除を受けるためには、寄付をした団体などに出してもらった領収書などの書類が必要となります。確定申告する際に、この書類を付けて提出することが寄付金控除を認めてもらうために必要となります。
寄付した団体が寄付金控除の対象の団体であるときは、寄付金控除が受けられますが、寄付金控除が受けられるかどうか不明な時は団体などに確認を行ってから確定申告を行った方が良いでしょう。
確定申告で還付金を受け取る
クラウドファンディングに出資して得た分配金にかかる所得税は、あらかじめ20.42%の税率で源泉徴収されています。しかし、年間の総所得から必要な控除を引いた後に、源泉徴収された税額が実際に支払うべき税額よりも多かった場合、確定申告をすることでその差額が返金される可能性があります。
つまり、もし源泉徴収された税金が、年間で支払うべき所得税額よりも多い場合、確定申告を行うことで過払い分が還付されます。確定申告をしなければ、この過払い分を取り戻すことはできません。そのため、確定申告の義務がない人でも、クラウドファンディングから得た分配金がある場合は、申告して過払い税金を還付してもらうことを検討すると良いでしょう。
クラウドファンディングの税金まとめ
資金が必要な人が必要な資金を手にすることのできる方法の一つに、クラウドファンディングがあげられます。最近は広く知られるようになってきたクラウドファンディングですが、そのなかでも「購入型」「寄付型」「投資型」といったタイプに分かれるのが特徴的です。このようにいくつかのタイプがあるため分類が複雑なうえに、かかってくる税金などがそれぞれで違っているので、特に注意しておくことが大切です。
また、税金面だけでなく、寄付型クラウドファンディングでは寄付金控除が受けることができるなど、現在のクラウドファンディングにおいての詳しい知識が必要で、確定申告などを行うときには、正確な知識に基づいた手続きが大切になってきていると言えます。
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