一般口座の株取引|確定申告のやり方・注意点を解説【最新】
一般口座での株取引における確定申告の必要性、やり方、および注意点を解説します。特定口座との違い、譲渡益の税率と計算方法、確定申告が必要なケースと不要なケース、利益や損失が出た場合の具体的な申告手順、譲渡損失の繰越控除制度についても紹介し、投資家が税務上のリスクを避け、税負担を軽減するための参考となる情報を提供します。
一般口座を選択して株取引を行っているのであれば、自分で1年間の株取引を振り返り、確定申告を行う必要があります。売買損益計算は1銘柄ずつ行わなければならないので、証券会社から発行された取引報告書をとりまとめて確定申告書の作成を行うケースが多いです。具体的な流れややり方を知らないと、確定申告の際にミスをしてしまう可能性があります。
正しい方法で申告することができていなければ、修正や追徴課税の対象になる可能性もあるので注意が必要です。ここでは、一般口座で株取引をしている人が実施すべき確定申告のやり方や注意点を分かりやすく紹介しているので、確定申告を行う際には解説を参考にしてみることがおすすめだと言えます。
一般口座と確定申告
一般口座と特定口座の違い
一般口座と特定口座は、株式投資を行う際に選択できる二つの口座タイプです。特定口座は、証券会社が利益や損失の計算、税金の計算を代行してくれるサービスを提供しています。特に、源泉徴収ありの特定口座を選択した場合、証券会社が取引ごとに税金を清算してくれるため、原則として確定申告の必要がありません。
一方、一般口座を利用する場合、投資家自身で売買損益の計算を行い、確定申告をする必要があります。これは、証券会社から提供される取引報告書を基に、1年間の取引を振り返り、自身で収支計算を行って確定申告書を作成することを意味します。一般口座では、特定口座と異なり、証券会社が税金計算のサポートを提供しないため、確定申告の際にはより詳細な準備が必要となります。
一般口座とは
一般口座は、投資家が自ら税務申告を行う必要がある口座です。株式取引において、利益が発生した場合、その利益に対して投資家自身が税金の計算を行い、確定申告を通じて税金を納める必要があります。この口座では、取引ごとに発生した利益や損失を自分で管理し、年間の取引を振り返って確定申告書を作成することが求められます。特に、証券会社から提供される取引報告書を基に、売買損益を計算する作業が必要となります。
特定口座とは
特定口座は、証券会社が利益や損失の計算、税金の計算を代行してくれる便利な口座です。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の二つのタイプがあり、源泉徴収ありの場合、証券会社が取引ごとに税金を徴収し、投資家は原則として確定申告を行う必要がありません。これに対して、源泉徴収なしの場合は、年間の取引損益を証券会社が計算し、その結果に基づいて投資家が自ら確定申告を行う必要があります。
特定口座とは?源泉徴収あり・なしで確定申告の必要性は変わるのか解説
特定口座とはどのような口座なのでしょうか。本記事では、確定申告の有無や損益通算、特定口座特有の特定口座年間取引報告書など、特定口座と確定申告の関係を中心に解説します。
一般口座と特定口座のメリット・デメリット
一般口座と特定口座の選択には、それぞれメリットとデメリットが存在します。特定口座は、税務処理の手間を省くことができる一方で、一般口座を利用することで、より詳細な税務管理が可能になります。一般口座を利用する主なメリットは、投資家が自身の税務状況を細かく管理できる点にあります。しかし、これには確定申告の手間が伴います。特定口座を利用する場合のメリットは、確定申告の手間を省ける点にありますが、税務上の柔軟性は一般口座に比べて劣る可能性があります。
株式等の譲渡益にかかる税率と計算方法
株の取引には2種類の税金がかかる
株取引には2種類の税金がかかってくることを知っておく必要があります。売却して得た譲渡益と配当金に対して、所得税及び復興特別所得税、住民税がかかることを理解しておきましょう。所得税及び復興特別所得税は15.315%、住民税は5%であり、合計で20.315%の税金が課せられることになります。
株取引で発生する税金は他の所得と分けて税金を計算する必要があるので要注意です。申告分離課税となっているので、自動的に税金の清算が行われる特別口座でなければ確定申告を実施することによってこれらの税金を納める必要があります。別の所得とは計算内容などが違うことを知らない人もいるので、こういった違いがあることを理解しておくことが大事です。
譲渡益に適用される税率
株式やその他の金融商品から得られる譲渡益には、所得税と住民税が課税されます。これらの税金は、合わせて一定の税率が適用され、その率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。この税率は、株式等の譲渡益に対して一律に適用され、投資家が得た利益に対して納めるべき税金の割合を示しています。
譲渡益の計算方法
譲渡益の計算は、売却した株式等の譲渡価額から、その株式等を取得する際にかかった費用(取得費)や売却時にかかった費用(譲渡費用)を差し引いた金額として算出されます。具体的には、以下の式に従って計算されます。
譲渡益=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)
ここで、取得費には株式を購入した際の価格や手数料が含まれ、譲渡費用には売却時の手数料や必要経費が含まれます。この計算により、実際に投資活動から得られた純利益(譲渡益)が明らかになり、この金額に対して上述の税率が適用されることになります。
確定申告の必要なケースと不要なケース
確定申告が必要となるケース
一般口座で株式取引を行い、その年の間に譲渡益が発生した場合、確定申告が必要になります。特に、以下のような状況では確定申告を行う必要があります。
譲渡益が発生した場合
株式等の売却により利益が出た場合、その利益に対して所得税が課税されます。この利益は「譲渡所得」として申告する必要があります。
配当所得がある場合
株式投資から得られる配当に対しても税金が課せられます。特定口座で源泉徴収ありで運用していない場合、これらの所得を確定申告に含める必要があります。
複数の収入源がある場合
給与所得の他に、株式投資などからの所得がある場合、総合課税の対象となり、確定申告が必要です。
確定申告が必要となるケース
一方で、確定申告が不要となるケースもあります。
特定口座で源泉徴収ありを選択している場合
特定口座を利用し、源泉徴収ありのオプションを選択している場合、証券会社が税金を計算し、徴収してくれるため、確定申告は不要です。
年間の譲渡損失が発生した場合
年間を通じて株式取引などから損失が出た場合、その損失を翌年以降に繰り越すことができますが、確定申告を行わなければなりません。ただし、損失のみで譲渡益がない場合は、確定申告を行う必要がありません。
所得が一定額以下の場合
給与所得者で年間の所得が20万円以下の場合や、公的年金受給者で年間の所得が40万円以下の場合など、所得が一定額以下の場合は確定申告が不要となることがあります。
確定申告は、個々の投資家の状況に応じて必要となる場合があります。一般口座を利用している投資家は、自身の取引状況を正確に把握し、必要に応じて確定申告を行うことが重要です。また、確定申告を行うことで税金の還付を受けられるケースもあるため、適切な申告が投資の効率を高めることにつながります。
確定申告が必要な人とは?不要な人・した方がいい人、会社員の場合も解説【総まとめ】
確定申告の時期が近づくと自分は確定申告が必要な人かどうか、した方がいいのか悩み始めることがあるでしょう。この記事では確定申告が必要な人や不要が人、した方がいい場合と会社員の場合についても解説します。
一般口座で利益が出た場合の確定申告のやり方
確定申告書B第一表の記入
一般口座で株取引を行って利益が出て確定申告を行うときには、申請書B第一表の作成から行います。左欄の収入金額等の項目の給与には1年間の収入金額、所得金額という項目の給与には所得金額の合計、所得から差し引かれる金額という項目には該当する控除を記入してください。
申請書B第一表の右欄の税金の計算では、全体の税額と税額控除額、復興特別所得税と源泉徴収税額、計算した最終的に納める税額を記入することになります。自分で計算して記入しなければならない部分があるため、計算ミスが起こらないように注意しておくことが大事です。
これらの記入が完了すれば申告書B第一表の作成を終えることができるので、他の申告書を作成します。
確定申告書B第二表の記入
申告書B第二表では、所得の内訳の欄を記入するところから始めます。源泉徴収票の支払額と源泉徴収税額からの転記も行ってください。所得から差し引かれる金額に関する事項では、該当する控除について書いていきます。申告書B第二表の左欄に記入した額と同じものを書く部分もあるので、正しく転記しましょう。
源泉徴収票の社会保険料等の金額からも転記を行う必要があります。扶養家族がいる場合は、マイナンバー情報の記載が必要なので忘れないように注意しておくべきです。最後に住民税の納付方法を選択する必要がありますが、勤務先に調べたくないという場合は自分で納付に丸をつけるようにします。ここまで記入できたのであれば、申告書B第二表の作成は完了です。
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の記入
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の2面にて、まずは株取引の内訳を記入します。次に1面で2面の合計額を譲渡による収入金額の欄と小計欄に記入してください。2面の取得費の額を1面の必要経費又は譲渡に要した費用等の欄に転記し、最後に株取引の所得金額を書いていきます。
収入金額の小計から必要経費又は譲渡に要した費用等の小計を引くことによって、株取引による所得金額を算出することが可能です。算出された値はこの計算明細書の中の差引金額と所得金額、繰越控除後の所得金額という欄に正しく記入するようにしましょう。
確定申告書B第三表の記入
確定申告書B第三表では、収入金額の上場株式等の譲渡欄に収入金額を書くことから始めます。次に所得金額の上場株式等の譲渡欄に、株取引による所得金額を書いててください。税金の計算の項目では、株取引と給与について実際に課税される所得金額をそれぞれ算出し記入を行っていく必要があります。総合課税の合計額と所得から差し引かれる金額、対応分の項目を埋めるように記入しましょう。
すべて書くことができたのであれば、対応分を合計した値を最後に書き込めば終わりです。確定申告書B第三表の作成まで終了することができたのであれば、一般口座で株取引を行った場合の確定申告で必要な申告書の記入全て終えたことになります。ここまで終了した後には、計算ミスや転記ミスがないか、整合性のとれてない部分がないかどうかチェックしておくと安心です。
一般口座で損失が出た場合の確定申告の注意点
損失が出た場合の確定申告
一般口座で株式取引を行い、その結果として損失が発生した場合、多くの投資家は確定申告の必要がないと考えがちです。しかし、損失を出した年に確定申告を行うことで、将来的に得られる利益に対して税金の負担を軽減することが可能になります。確定申告を行うことにより、損失額を記録し、その損失を後の年の利益から差し引くことができるのです。
確定申告を行う際には、損失が発生した株式の取引明細や計算方法を正確に記載し、損失額を明確にする必要があります。このプロセスを通じて、税務当局に対して損失が発生したことを正式に報告し、将来の利益に対する税金の計算において損失額を考慮してもらうことができます。
譲渡損失の繰越控除制度について
譲渡損失の繰越控除制度は、株式投資などで発生した損失を、翌年以降の同種の譲渡益から差し引くことができる制度です。この制度を利用することで、損失発生年に利益がなかった場合でも、最大3年間、損失額を繰り越し、将来発生する利益から差し引くことが可能になります。
この制度を利用するためには、損失が発生した年に確定申告を行い、損失の繰越を申請する必要があります。繰越控除を適用するためには、損失が発生した具体的な株式の取引明細や損失額、計算方法などを正確に記載し、申告することが重要です。
損失の繰越控除を適用することで、投資家は一時的な市場の変動による損失を、長期的な投資戦略の一環として活用することができます。この制度は、投資におけるリスクを管理し、税負担を軽減するための有効な手段となり得ます。
まとめ
株式投資を行う上で、税務処理は避けて通れない重要な要素です。特に一般口座を利用している場合、自身での確定申告が必須となり、その過程で正確な記録保持と計算が求められます。この記事で紹介した内容を参考に、確定申告を適切に行うことで、税務上のリスクを避け、可能な限り税負担を軽減することが可能です。
また、損失が出た場合でも、譲渡損失の繰越控除制度を活用することで、将来の税負担を軽減するチャンスがあります。このように、確定申告は単に義務を果たすだけでなく、賢く利用することで投資戦略の一環としても機能します。
一般口座で株取引を行う投資家は、確定申告の期限や手続きの詳細を事前に把握し、準備を怠らないことが重要です。不明点がある場合は、専門家に相談することも一つの手段です。適切な知識と準備をもって確定申告に臨むことで、株式投資をより有益で安心なものにすることができるでしょう。
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