納税は国民の三大義務の一つであり、確定申告は1年間の所得にかかる税額を申告するための手続きです。確定申告を行ったあとには、申告した税額を自分で納付しなければいけません。
では、確定申告後に行う納税方法にはどんなものかがあるのかということですが、全部で6種類あります。特定の方法が義務付けられているわけではないのでどうやって納税するのかは、本人の選択次第です。そこで6種類の納税方法の中から、自分にあったやり方を選べるようにそれぞれについて詳しい解説をしていきます。それぞれの特徴をよく理解すれば、確定申告をするときにあわてずに済むでしょう。
確定申告の納税方法とは?
振替納税制度で納付
振替納税制度を利用した納税は、簡単に金融機関の預貯金口座から税金を自動的に引き落とす方法です。光熱費などを、口座からの自動引落にするのと同じです。振替納税制度を利用するときには、納期限までにe-tax又は書面により必要事項を記入した預貯金口座振替依頼書を、税務署又は金融機関に提出します。
書類は、税務署でもらうか、国税庁のホームページからダウンロードできます。またパソコン・スマートフォンを使えるならばe-Taxから手続きが可能です。一度手続きをすれば、よく年以降は何もする必要はありません。
振替納税制度を利用するときの注意点は、自動引落には口座に十分な残高が必要なことです。もし、自動引落ができなかった場合には、法定納期限の翌日から延滞税が発生します。確定申告をした人の名義になっている預貯金口座が振替口座として使用できます。
e-Taxで納付
e-taxでの納付いわゆるダイレクト納付というのは、簡単に言えば納付手続きをネット上の電子申告システムを使って行うことです。確定申告や納税など、これまで書面を提出してやっていたことがe-taxであれば電子的に手続きができます。e-taxを利用するつもりであれば、事前にe-taxの利用開始手続きが必要です。
また、税金を支払うための預貯金口座が、この納付手続きに対応しているのかを確認する必要があります。対応しているのであれば、ダイレクト納付利用届出書を税務署に提出します。メッセージボックスに、手続きが完了したというメッセージが届いていれば準備は完了です。あとはe-taxで確定申告をすると、納付を今直ぐ行うか、後日に行うのかという選択肢が出ます。口座の残高などを確認し、納期限内に納付をします。
クレジットカードで納付
クレジットカードを保有しているのであれば、普段の買い物をするようにカード払いができます。現金での納付とは違って、国税庁長官が指定した納付受託者に立て替えをしてもらい、後からクレジットカード会社を通じて請求が来るという形です。パソコン・スマートフォンで手続きができるので、日中は忙しい人でも納付し忘れる可能性が少なくなります。
ただ、クレジットカードで納付をする場合には、手数料を支払うことがデメリットです。手数料は、納税額によって変動します。では、具体的な納税方法ですが、手続きをするのは国税クレジットカードお支払いサイトです。納付情報・クレジットカード情報を入力して内容に間違いがないのかを確認して、情報を送信したら終了です。なお、このやり方では領収書がもらえないので、必要なら別の納税方法を選びましょう。
コンビニで納付
納付金額が30万円以下であれば、コンビニでの納付が可能です。事前に確定申告書作成コーナー・国税庁HPのコンビニ納付用QRコード作成専用画面・e-tax・のいずれかで、QRコードの作成をしておきます。QRコードはパソコンから印刷するか、スマートフォン・タブレットに保存したもので大丈夫です。
そして対応しているコンビニに行き、情報端末にQRコードを読み取らせます。そうすると、バーコードが印刷された紙がでてくるので、レジまで持っていき支払いをすれば終わりです。ここで支払いに使えるのは現金だけで、クレジットカードや電子マネーでの支払いはできません。また、納付してから納税証明書が発行できるまでには、3週間程度の猶予が必要です。
金融機関や税務署の窓口で現金に納付書を添えて納付する
金融機関又は所轄の税務署の窓口で、納付書に現金を添えて納付するというのは最もシンプルな方法です。事前になにかの手続きをする必要はなく、手数料も発生しません。ただし住んでいる地域によっては遠くまで出かけなければいけないので、移動をするのに相当な時間と交通費がかかります。
また窓口が開いていないと、納付ができないので仕事で忙しい人だと難しいです。もし納付期日までに窓口での納付ができなければ、延滞税を支払うことになります。
インターネットバンキングやATMで納付
金融機関でインターネットバンキングあるいはATM利用するときには、登録方式あるいは入力方式という2種類の納税方法があります。登録方式はe-taxで確定申告をした後に、納付区分番号を取得しインターネットバンキングの画面を使って続きを行います。入力方式では、インターネットバンキングでの納付手続きで、必要となる納付目的コードを利用者が作成をするという点が違いです。
この納税方法では、ペイジーというサービスを利用しています。インターネットバンキングが使えないときには、ATMの画面からコードを入力していけば手続きができます。利用のためには事前の準備が必要ですが、多くの金融機関が対応していますから手順さえ理解していれば簡単です。
確定申告の納税の期限はいつ?
税金は、決まった期限までに納税しなければいけません。では、その期日ですが支払う税金によって異なります。所得税と復興特別所得税と贈与税の場合には、3月15日までに納付することになっています。
予定納税については、第1期が7月31日までで第2期が11月30日までとなっています。
予定納税というのは、前年度の所得税の支払額が15万円以上ある場合にその支払額の3分の2を第一期及び第二期に納付(概算納付)するため、確定申告をすることによって最終的な納税額が確定します。
法人税は事業年度終了の翌日から2ヶ月以内で、相続税は相続の発生を知った日の翌日から10ヶ月以内が支払いの期日になります。最後に源泉所得税は、源泉徴収を行わなければいけない支払いをした月の翌月10日です。もし、その支払いの期日が土日・祝日であれば、その翌日に変更されます。
これらの期日というのは、あくまでも基本的な日程です。災害や感染症など社会的に影響のある出来事が起きた場合には、税務署や銀行の窓口での納付が難しい状況がなるので特別に延長されることがあります。その年度の支払期日がいつになるのかは、国税庁HPを確認したり税務署に問い合わせたほうが良いでしょう。
期日までに納税できない場合は?
延滞税がかかる
税金は支払期日までに納付をしなければいけないのですが、支払期日までに納付できない場合には延滞税が課せられます。ただし、納付できないという状況にもいろいろなパターンがあります。延滞税は法的な手続きをせずに納付期限を守らなかった人が対象です。うっかりして納付の手続きを怠ったり、引き落としをする預貯金口座の残高が足りないといった理由だと、延滞税がかかるので注意しましょう。
延滞税は法定納期限の翌日から課せられることになっており、納税しないといつまでも増え続けるものです。延滞税の税率は、法定納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでと2ヶ月を経過した日の翌日で変わります。
延滞税は2ヶ月までは「年7.3%」か「延滞税特例基準割合+1%」の低い割合の方、2ヶ月を経過した日の翌日以後は「年14.6%」か「延滞税特例基準割合+7.3%」の低い割合の方です。
延滞税特例基準割合というのは、「租税特別措置法第93条第2項の規定により財務大臣が告示する割合」となっており毎年変動します。延滞税がどのくらいの割合になるのかはその時によって変わりますが、2ヶ月を経過した途端に税率が上昇することとなっています。不注意で納税が遅れているならば、すぐに手続きを済ませましょう。
納税できない場合は延納の届出を提出
何らかの事情で、支払期日までに納税ができないというときには延納を利用することで期日の延長が可能です。所得税及び復興税で確定申告をするときの延納は、納付期日までに納付しなければいけない税額の2分の1以上を納付しておけば認められます。その際には、確定申告書に確定申告により納める税金、延納届け出額、申告期限までに納付する金額の記入が必要です。
期日の延長をした場合は、後で払う税金に加えて利子税の支払いをすることになります。支払期日だけを見て喜ぶのではなく、税金の支払い負担が重くなることは理解しておいたほうが良いです。確定申告及び納付の期限(3月15日までの支払期日)が、原則5月31日までに延長されます。
まとめ
6種類の納税方法については、それぞれに手続きの仕方が大きく異なることがわかります。事前の準備が必要な方法もあれば、ネットや窓口で簡単に支払う方法もあります。また金銭面のことを言えば、手数料の要不要も違いです。特定の方法が正解というわけではなく、確定申告をする人に最適な納税方法を検討する事が必要です。
ただその検討も、支払期日に間に合わなければ延滞税というペナルティが課せられます。たとえ延納の届け出をして支払期日を延長したとしても、利子税の分だけ負担が増えるので早めに納税方法を決めるべきです。その際には、その支払期日についての確認をしたり、法改正による手続きの変更などを確認するために国税庁HPを確認したり、税務署への問い合わせをしておきましょう。
【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司
会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。
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