青色申告と白色申告の違いは?メリットとデメリットをわかりやすく解説

青色申告と白色申告は、対象になる所得の種類や税制上のメリットなどが違います。この記事では、青色申告と白色申告の違いについてわかりやすく解説します。

青色申告と白色申告は、対象になる所得の種類や税制上のメリットなどが違います。この記事では、青色申告と白色申告の違いについてわかりやすく解説します。

※本稿での青色申告特別控除65万円は「電子申告を行っている」場合を想定しています。電子申告を行わず書面により提出する場合は55万円となります。

確定申告を行う場合、事業所得を申告するときには青色申告と白色申告のいずれかの方法で行うことができるわけですが、この2つにはどのような違いがあるのかご存じでしょうか。
二つの違いを理解することは正しい確定申告ができるようになることや節税の効果も期待ができることなどに繋がります。

例えば、白色申告では経費として認められるものが少ないけれども青色申告ではその範囲が広くなり納める税金を減らせるメリットに繋げることができるわけです。こちらでは、青色申告と白色申告それぞれの特徴を踏まえながら両者の違いがどこにあるのか、それぞれのメリットとデメリットには何があるのかを中心に解説します。また、白色申告にはない最大65万円の青色申告特別控除にも触れているので参考にされることをおすすめします。

青色申告と白色申告の5つの違い

事業所得や不動産所得を持つ人は確定申告を行い、所得税などの税金を納める義務があります。確定申告を行うときには、青色申告と白色申告の2つがあるわけですがこの二つの違いを理解しておかないと余計に税金を納めてしまうこともある、申告しなければならない部分の申告漏れが生じることもあるなど注意が必要です。

青色申告と白色申告には主に以下の5つの違いがあります。

  • 対象になる所得の種類の違い
  • 提出書類の違い
  • 記帳方法の違い
  • 申請方法の違い
  • 税制上のメリットの違い

ここでは青色申告と白色申告の違いについて解説します。

対象になる所得の種類の違い

個人の所得は10種類ありますが、青色申告の対象となる所得は「不動産所得」「事業所得」「山林所得」です。副業の雑所得は青色申告は適用されません。

参考:国税庁「青色申告制度

提出書類の違い

青色申告と白色申告では確定申告で必要な提出書類が違います。青色申告では「所得税青色申告決算書」を提出しますが、白色申告では「収支内訳書」を作成して提出します。

どちらも所得金額を計算する書類ですが、書き方が異なるため間違えないように注意しましょう。

記帳方法の違い

青色申告の場合は、複式簿記で帳簿をつける義務付けがありますが、日々の取引の記録をベースに仕訳帳および総勘定元帳を作成して、確定申告の際に総勘定元帳を使って損益計算書および貸借対照表を作る、確定申告書の様式Bを使い青色申告決算書および控除を証明できる書類を添えて提出します。

一方、白色申告の場合は青色申告とは異なり簡易帳簿をつければ良いことになっているため経理のことがよくわからない人でも比較的容易に帳簿をつけることができます。提出する書類についても白色申告では確定申告書の様式Bに必要事項を計算しながら記入する、これに収支内訳書および控除を証明する書類を添えて提出する形になります。

申請方法の違い

青色申告を適用するには事前に管轄の税務署へ「青色申告承認申請書」の提出が必要です。この申請書の提出がないと、複式簿記で記帳していても青色申告で申告できません。

青色申告承認申請書には提出期限があり、基本的には事業開始等の日から2月以内に提出が必要です。

参考:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続

税制上のメリットの違い

青色申告は白色申告に比べて、以下の税制上のメリットがあります。

  • 最大65万円の青色申告特別控除
  • 家族への給料が全額経費にできる青色専従者給与
  • 赤字を3年間繰り越すことができる純損失の繰越控除
  • 30万円未満の固定資産を全額経費にできる少額減価償却の特例
  • 貸倒引当金が計上できる

青色申告は税制上のメリットがあり、同じ収支でも白色申告に比べて税金が減る可能性があります。

青色申告のメリット

最大65万円の青色申告特別控除

青色申告のメリットの一つに、65万円の特別控除が挙げられます。控除は収入が差し引くことができる仕組みの総称で、65万円の特別控除とは収入から65万円を差し引いて税金の計算ができるメリットを持つものです。

青色申告では、事業所得と不動産所得でこの控除が認められていますが、不動産所得の場合は要件が厳しくなっているのが特徴です。例えば、アパート経営であれば10部屋以上、貸家では5棟以上所有して事業を営んでいるなどの条件があります。

家族への給料が全額経費にできる青色専従者給与

事業を営んでいる人の中には、家族に給料を支払いながら行っているケースがあるわけですが、家族に支払う給料は専従者給与と呼ぶものです。

白色申告の場合、専従者給与として差し引くことができるのは配偶者の86万円、その他の家族の50万円など上限が決まっているのが特徴です。

これに対して、青色申告は妥当性を持つ金額の場合であれば上限が設けられてないので、専従者給与が多い場合には納める税金を減らせるメリットがあるわけです。

ただし、青色申告で専従者給与を控除する際には申告を行う年度の3月15日までに、所轄の税務署に対して青色事業専従者給与に関する届出書を提出しておく必要がある、これを提出しないと控除を受けることができないので注意が必要です。

赤字を3年間繰り越すことができる純損失の繰越控除

利益のマイナスが生じると何かと不利になるなどのイメージを持つ人も多いかと思われますが、青色申告の場合には赤字を3年間繰り越せるようになっています。1年ごとに税金の計算をしていると多くの利益が出たときと赤字の年が交互に生じることがあり、利益が多く出たときには過去の赤字と相殺して税金を減らし、赤字の年には繰り越すといったやり方で行えば負担も少なく経営を円滑にできます。

ちなみに、1年目と2年目にそれぞれ100万円赤字になり(累計200万円)、3年目に200万円の黒字になったとき、青色申告で3年間の赤字を繰り越す場合は3年目の事業所得をゼロにできるメリットがあるわけです。この仕組みは白色申告ではできないので、青色申告のメリットの一つとして覚えておきましょう。

30万円未満の固定資産を全額経費にできる少額減価償却の特例

30万円未満の固定資産を全額経費にすることができる少額減価償却の特例も青色申告のメリットの一つです。事業に必要となる資産を購入したい場合には、一括で減価償却ができるのは10万円以下の資産に限られています。

仮に、パソコンをはじめ車やオートバイなど、事業に必要な資産を購入するとなると、10万円以下で収めることはできませんので通常10万円を超えた場合には耐用年数に応じた期間で減価償却することで経費化します。

しかし、このとき青色申告を行っていると30万円未満のものまで一括で減価償却ができるようになります。この仕組みを使うことで、納める税金を減らせるメリットに繋げることができるわけです。

貸倒引当金が計上できる

引当金の中で金銭を受け取る権利に相当する金銭債権に対して設定される貸借対照表の表示科目を貸倒引当金と呼びますが、青色申告ではこの金額を計上できるメリットがあります。
貸倒引当金の繰入額の計算方法には2種類があるのですが、白色申告のときには個別評価による計算が必須であり、計算そのものが複雑になりがちです。

しかし、青色申告で行うときには個別評価による貸倒引当金の繰り入れだけでなく、売掛金や貸付金などの合計額を求め、その金額の5.5%を上限にして一括評価する、最終的には貸倒引当金の形で費用にできるようになっています。
貸倒引当金の計上がシンプルにできる点も青色申告のメリットの一つといえるのではないでしょうか。

青色申告のデメリット

青色申告承認申請書の提出が必要

青色申告をする場合には、その年の3月15日までに所轄となる税務署に対して青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。
年度の途中で個人事業を開始した場合には、開業から2か月以内に行っておかないと青色申告を利用することができません。これは青色申告のデメリットの一つになりますが、申請書を提出して受理されれば青色申告で確定申告は可能です。

複式簿記での記帳が必要

65万円の特別控除を受けるときには、帳簿は複式簿記でつけなければなりません。経理の経験を持たない人にとってこのような帳簿付けはハードルが高くなりがちです。
ただ、手書きだと計算が非常に複雑になりハードルが高く感じるかと思われますが、会計ソフトを利用すると取引記録を入力するだけで仕訳帳になり、総勘定元帳は自動的に作られるのでおすすめです。

白色申告のメリット

帳簿付けが簡単

白色申告でも帳簿をつけなければなりませんが、青色申告とは異なり単式簿記で済みますので比較的簡単に帳簿をつけることができます。また、確定申告の際には収支内訳書に売り上げ・経費などを記入する形になるので非常にシンプルです。

白色申告のデメリット

特別控除を受けることができない

青色申告では65万円の特別控除が使えますが、白色申告にはこのような控除がありません。ただ、2014年から帳簿の作成および帳簿等の保存が義務付けられていて、青色申告における10万円の特別控除の要件となる簡易帳簿と大差なく、青色承認申請書を提出すれば簡易帳簿で10万円の特別控除が使えます。

赤字を繰越せない

青色申告では可能な赤字の3年間繰り越しは、白色申告では利用できません。そのため、赤字の年が続いて黒字に転換できたとき、赤字と黒字を繰り返しているときなどは青色申告と比べると税負担が大きくなりがちです。

白色申告について詳しくは、以下の記事で確認できます。

白色申告とは?メリットや必要書類・青色申告との違いを解説【最新版】

白色申告とは?メリットや必要書類・青色申告との違いを解説【最新版】

確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。これら2つは、申告に必要な書類や受けられる税制上のメリットなどが違います。本記事では、白色申告のメリットや向いている人、必要書類や青色申告との違いを解説します。

青色申告と白色申告は結局どっちがお得なの?

青色申告が向いている人

青色申告は、白色申告と比べて帳簿付けが複雑ですが、節税効果が大きい確定申告方法です。そのため、以下の方は青色申告が向いているでしょう。

  • 事業収入が多い方
  • 将来的に事業拡大を考えている方
  • 節税したい方

青色申告を受けたい方は「青色申告承認申請書」の提出を忘れないことが大切です。

白色申告が向いている人

白色申告は、青色申告と比べて帳簿付けが簡単で、申告手続きも簡潔な確定申告方法です。そのため、以下の方は白色申告が向いているでしょう。

  • 事業収入が少ない方
  • 記帳が苦手な方
  • 副業で収入を得ている方

白色申告は青色申告に比べて税制上のメリットは少ないですが、手間がかからないため、忙しく時間がない方などが向いています。

青色申告と白色申告に関するまとめ

青色申告と白色申告の特徴および違いをメリットとデメリットを利用して説明しましたが、青色申告は帳簿付けが大変なのに対して、白色申告は比較的簡単にできることがわかったのではないでしょうか。

ただ、青色申告で行うと経費として認めて貰える範囲が広くなって来るので支払う税金も減らせる、手書きの帳簿付けはハードルが高いけれども会計ソフトを使えばそれほど大変ではありません。

また、青色申告では65万円の特別控除が適用されるため、収入が多いときなど税金の負担が減りますし、3年間の赤字の繰り越しは負担を大幅に減らせるメリットに繋がる部分です。現在白色申告を行っている人もこの機会に青色申告にチャレンジしては如何でしょうか。

【監修者】代表 / 大勝 健司

【監修者】代表 / 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。百貨店、不動産ディベロッパーを中心にホテル、飲食業、製造業など幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税金計算や固定資産業務を中心に、決算短信、四半期報告書、有価証券報告書、事業報告などの外部公表資料の作成を担当。 また税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般に携わる。

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