準確定申告とは?手続きの手順や必要書類・期限・注意点を徹底解説【総まとめ】
準確定申告は、家族が亡くなった場合等に必要な手続きです。手続きのやり方が通常と異なるうえ、申請しないと脱税を疑われたり、追加加算税がかかったりするので、早めに準備しておくべきです。本記事では、手続きの手順や必要書類・期限・注意点を解説します。
準確定申告とは?
準確定申告についてまず詳しく紹介しましょう。準確定申告とは家族が亡くなった際にその遺族が行う納税申告です。なくなった人が自営業であったり、不動産による家賃収入があったりした場合に準確定申告は必要です。
基本的に死亡した人が生前に確定申告をしていたようであれば、死亡した後に遺族が引き続き準確定申告をする必要性があります。
この準確定申告をしないと税務署から税務調査されたり、延滞税や加算税がかかったりといったデメリットもあります。
特に準確定申告の特徴であるのが所得控除等は死亡日までの計算になるということです。この点は誤解されやすいので気をつけましょう。準確定申告は相続人全員で行う必要性があるほか、必要となる書類も多数あります。
参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
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準確定申告の押さえておくべき5つのポイント
準確定申告をおこなう際に押さえておくべき5つのポイントを順番に解説します。
準確定申告の申告時期は相続があることを確認してから4か月以内
この準確定申告には申請期限があります。これは「相続があるとわかってから4ヶ月以内」です。
つまり、故人が亡くなってから基本的に4ヶ月にしないといけません。もちろん、海外出張等をしていて家族が死んだことを知らなければその限りではありません。
準確定申告は相続人全員で行わなければいけない
相続人が複数いるならば、その全員で準確定申告をしないといけません。もしも個別にそれぞれの相続人が行う場合には他の相続人に対して通知などをする必要性がありますが、このようなケースは稀ですし余計な手間がかかることから、個別の準確定申告は稀です。
準確定申告による所得控除等は死亡日までの計算
準確定申告による所得控除の、死亡日までになります。
例えば、生命保険料・健康保険料・地震保険料などを故人が支払っていた場合、死亡日時点までの支払いが控除の対象です。他に医療費も控除対象となります。
故人と相続人の整形が同じ場合、相続人の確定申告に故人の医療費を含めることが可能になります。そのほかにも、故人の所得金額48万円以下ならば扶養控除・配偶者控除を受けることも可能です。
準確定申告は亡くなった人の住所の管轄税務署にe-Taxではなく書類を提出
準確定申告で注意しておかないといけないのが提出先です。提出先は亡くなった人が住んでいた住所を管轄する税務署です。自分が住んでいるところの税務署ではないことに留意しておきましょう。また、準確定申告は郵送で行うことも出来ますから、税務署が遠くても問題はありません。
この際、e-Taxは使えません。基本的に手渡しか郵送になります。通常の確定申告と同じように考えてe-Taxを用いるとトラブルになることもあるので注意しておかないといけません。
還付金や所得控除の扱い
準確定申告時に医療費控除の対象となるのは死亡日までに被相続人が収めた医療費の総額です。死亡後に相続人が医療費として支払った額は対象外となります。
このため、未納医療費があるならば事前に支払っておく、といった配慮が必要になってきます。
そのほか、社会保険料・生命保険料・地震保険料控除も医療費控除と同様の扱いになります。つまり故人の死亡日までに支払を済ませた保険料総額が対象になるので注意しておかないといけません。
配偶者控除や扶養控除等も適用されますが、これは死亡日の状況に鑑みて行われます。
ちなみに、相続した税金についてもコロナ特例により分割納付や納付延期等が可能です。もしも分割納付などをしたいならば税務署に相談しましょう。
準確定申告が必要なケース・不要なケース
本章では、準確定申告が必要なケース・不要なケースについて順番に解説します。
準確定申告が必要なケース
- 給与収入が2000万円を超えた場合
- 給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えた場合
- 2ヵ所以上から給与をもらっていた場合
- 公的年金等による収入が400万円を超えた場合
- 公的年金等による収入が400万円以下であっても、公的年金等による雑所得以外の所得金額が20万円を超えた場合
- 生命保険などの満期金や一時金を受け取っていた場合
- 土地や建物などを売却した場合
- 事業所得、不動産所得がある場合
準確定申告が必要なのは故人に事業所得や不動産所得などの所得が20万円以上あった場合です。
故人が例年確定申告をしていた場合には、基本的に準確定申告をする必要性があるとみなして良いでしょう。給与所得があり源泉徴収されている場合も同様です。
準確定申告が不要なケース
- 亡くなった方が会社員やアルバイトなど給与所得者で一つの勤務先から給与を受け取っていただけの場合
- 亡くなった方が年金受給者で、その年の1月1日から相続開始時までの受給額が400万円以下であり、かつ年金以外の所得の合計額が20万円以下の場合
準確定申告は必要のない場合があります。例えば、亡くなった人が会社員・アルバイトである場合です。
そのほかにも、収入が一定以下ならば(所得が20万円以下など)不要になります。自身が相続放棄をした場合にもこの準確定申告はしなくて良くなります。
準確定申告が必要ないけどしたほうがいいケース
- 給与所得あるいは年金所得者で源泉徴収されている所得税がある場合
- おおよそ10万円超の高額の医療費を支払っていた場合(あくまで死亡の日までに払ったものが対象です。死亡後に相続人が支払ったものは対象外)
- 配偶者控除、扶養控除、雑損控除、寄附金控除など各種控除がある場合(配偶者控除や扶養控除については死亡の日の現況で判断)
上記のように準確定申告をしなくてよいケースがあります。
しかし、それでも各種控除を受けたい場合には準確定申告をすべきです。また、また、源泉徴収されている所得税があったり、高額医療費を支払っていたりした場合も準確定申告をしておくと良いでしょう。
確定申告が必要な人とは?不要な人・した方がいい人、会社員の場合も解説【総まとめ】
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準確定申告の手続きの手順と必要な書類とは?
準確定申告の手続きの手順と必要な書類について順番に解説します。
相続人の代表を決める
状況によっては相続人が多数いることもあります。この場合、準確定申告をするに当たり、まず相続の代表を決めないといけません。代表は基本的に相続割合が最も多い長男等です。この代表人が責任を持って確定申告書の作成などを行います。
また、必要書類等も集めないといけません。それだけ責任があるといっても良いでしょう。この人が確定申告書の作成などを行うことから、自分の意向を反映させやすいといった特徴もあります。
この相続人の責任者は自動的に決まることが多いですが、代表人決めで揉めることがあることも注意点です。
責任者や相続割合が決まらなくて期限までに提出できないといったケースもかなりあります。こうした場合にはまずは税務署に一報入れておくべきでしょう。
必要な書類を入手する
準確定申告をする際に必ず必要となってくるのが確定申告書です。これは国税庁のホーページからダウンロードできます。
そのほかに、亡くなった人の給与・年金等の源泉徴収票も必要です。これ以外に、生命保険を契約している場合には控除証明書、相続人が2人以上いる場合には確定申告書の付表(これも国税庁のホーページから入手可能)、医療費控除を申請したい場合には医療費の領収証等も必要となってきます。
このように色々と書類が必要となってきますから、しっかりと準備をしていきましょう。確定申告書はダウンロードするほか、税務署に問い合わせれば郵送してくれますし、窓口でもてにはいります。生命保険の控除証明書等は保険会社に連絡して取得しましょう。
書類を作成する
準確定申告時に作成すべき書類は基本的に確定申告書だけです。
確定申告書は通常の確定申告と同じように作成出来ますが、本人ではないため色々と不明点が生じることもあります。このため、昨年の確定申告の控え等があると大変便利です。
もしも相続人が複数いるようならば申告書とともに確定申告書の付表が必要になって来ます。これには相続人全員の署名捺印が必要です。そのほか、相続分の割合も記載する必要性があります。各相続人の本人確認書類も求められます。それだけ作成に時間もかかりますから、時間に余裕をもって動き出しましょう。
例えば、忙しかったり、知識がなくて自分で作成できなかったりするならば、税理士に依頼することも可能です。特に想定納税額が多いようならば、記載ミスを避けるためにも専門家に依頼すべきです。
申告書を提出する
準確定申告に関する書類を整えたら最終チェックをして提出します。不安な場合には、提出前に税務署に問い合わせすべきです。書類に不備があった場合には再提出等も必要となってきますから、手間をなくすためにも事前に聞いておきましょう。相談だけならば最寄りの税務署にすることも可能です。
提出する際にはかならず書留にしておくべきでしょう。レターパックライト・プラスを使っても構いません。大事な書類が入っていますから、必ず何らかの形で追跡できるようにしておいて下さい。
提出日は郵便局の消印日になります。もしも期限に間に合わない・遅れそうならばその旨を税務署に一報入れて起きましょう。これによって延滞税等が割けられることもあります。
準確定申告でよくある質問
最後に、準確定申告についてよくある質問と回答をまとめました。
手続きを税理士に依頼できる?
準確定申告では、通常の確定申告に比べて提出する書類が多くなり、手続きを完了するまでの期間も4カ月と限られています。このため、申告書作成に自信がない場合は、税理士などの専門家に相談することが可能です。
税理士に準確定申告の手続きを委ねる際は、税務代理権限証書の提出が必須です。この証書がないと、税理士も代理人として認められず、手続きを代行できません。事前に準備を整え、スムーズな申告を心がけましょう。
準確定申告をしないとどうなる?
準確定申告を行う期限は、相続が始まったことを知った翌日から4ヶ月以内です。この期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税などの追加の税金がかかるおそれがあるため、期限内に申告することが大切です。
準確定申告を怠ると、本来受け取れたはずの還付金を失う可能性もあります。納税が必要な場合だけでなく、還付金を受け取る可能性がある場合にも、準確定申告を行うことが推奨されます。期限内にしっかりと申告し、権利を確実に受け取りましょう。
準確定申告のまとめ
この記事では準確定申告について解説しました。準確定申告は所得控除などの扱いも特殊であり、通常の確定申告とは異なることも多く注意する必要性があります。特に相続人が複数いる場合には代表人の決定などで揉めることもあるので気をつけましょう。連署等をしなければならず、余計な手間も発生します。特に申請期限までに確実に提出するようにしないといけません。
また、準確定申告をしないと追加加算税、延滞税などがかかります。もしも準確定申告をしたくないようであれば、相続放棄手続きをするのも一つの手です。いずれにしても準確定申告は独特な注意点もあるため、実際に行う際には税理士としっかりと相談の上で進めていくと良いでしょう。
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