税金の額を計算するのに基礎控除という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。控除を受けることで税金の対象となる額が減るので、それだけ税金を軽減することができますが、基礎控除の意味やどのような場合に基礎控除が受けられるのでしょうか。
税金に関することで、特に還付や所得控除に関しては知っているのと知らない場合とで、ずいぶん税金の額が変ってきます。なぜなら還付や所得控除は、自分で申告をしなければ対象とならないからです。
サラリーマンの人は会社で年末調整を行えば原則確定申告を行う必要はありませんが、年末調整で受けることができない所得控除を適用したい場合は確定申告が必要です。ここでは基礎控除とは何か、どのような控除があるのかなど控除について解説します。
基礎控除とは?
基礎控除とは15種類ある所得控除のうちの一つ
所得控除とは、所得から一定額を差し引いて税金の対象となる額を軽減できる制度です。所得控除には医療費控除や生命保険、寄付金や配偶者控除など15種類あり、基礎控除はそのうちの一つです。
配偶者控除は配偶者のいる人が適用できる場合があり、医療費控除は医療費を支払った人が適用できる場合があります。基礎控除とは原則全員を対象としていて無条件に一律の金額が差し引かれる分です。すべての人が無条件に使えるので、特に手続きも必要ありません。
そもそも所得控除は、病気やけがなどで医療費をたくさん使った人や障がいのある人、または独身者よりも配偶者や扶養家族がいる人のほうが生活費がかかるなど、リスクのあった人に対して少しでも税金を軽減するためにある制度です。その中で基礎控除だけ、原則誰もが受けることができます。
2020年以降は基礎控除が一律引き上げに
所得税の基礎控除額は一律38万円でしたが、2020年から10万円アップして一律48万円になりました。それに納税者の所得によって額が変ります。
48万円が適用するのは所得が2,400万円以下の場合で、2,400万円から2,450万円までは32万円、2,450万円から2,500万円までは16万円、そして2,500万円を超えると適用できなくなります。
税金には所得税と住民税がありますが、住民税の控除額も10万円上がり、33万円から43万円になります。
税額控除との違いは?
基礎控除は、所得の額にもよりますが所得から無条件で一定額を差し引ける額のことですが、税額控除は所得から基礎控除や医療費など様々な費用を差し引いた所得額から計算した「税金の額」から差し引く金額のことです。
税額控除には住宅ローン控除や寄付金控除、配当控除や外国税額控除などがあり、税金を二重に支払うことを防いだり、国が何かを推進するために税金から控除をするためにあります。
例えば日本に住みながら外国株や外国の不動産を購入した場合、その国の税金を支払っていたにもかかわらず再度日本で支払わなければいけないことを防いだり、寄付金に関していくらかの控除が受けられるというような場合に、税額控除が適用される場合があります。節税対策としても有効な控除です。
年収850万円からは増税
2020年からは基礎控除が10万円引き上げられ、所得から48万円の控除が受けられることになりましたが、同時に給与所得控除と公的年金等控除が10万円の引き下げとなりました。
給与所得控除については、例えば180万円から360万円までは収入額の30%に18万円を足すという金額の範囲別に計算方法があり、所得が1,000万円を超えると上限の220万円だったのが、2020年からは上限が850万円を超えると195万円の控除額となり、それぞれの額の範囲で足される額が10万円減るので、850万円以下の所得の人は基礎控除が10万円増えても給与所得控除で10万円減り変化はありません。給与収入が850万円以上の人は増税の可能性があるということです。
基礎控除と確定申告の関係とは?
確定申告書の記入方法
基礎控除額は所得者すべてが対象で一律38万円、2020年からは48万円ですが、この額は人が最低限の生活ができるという金額なので、そこまでは税金をかけないことになっています。そのため38万円以下の所得の人が源泉徴収などされている場合は、確定申告で源泉徴収税額などの還付を受けることができます。
適用できる所得控除は全て記入
サラリーマンで確定申告をしなくていい場合でも、前年度に医療費をたくさん支払ったり寄付をたくさんした場合など、所得控除で適用できるものがあればすべて記入をして提出をすることで、税金の還付を受けることができます。税金の還付については申告をしないと有効にはならないので、確定申告でしっかりと申告をすることが大切なのです。
まとめ
所得があればその所得額に応じた税金が決められますが、個人に応じて事情がありそれが国の定めた控除の種類と一致すれば、その費用を所得から差し引くことができ、税金の対象となる金額が減額されます。所得控除は医療費や保険料、扶養控除など15種類ありますが、そのうちの基礎控除はすべての人が一律で控除されるものです。
基礎控除は2020年からは38万円から48万円に上がりますが、上限が850万円以下の給与所得控除と公的年金控除も10万円引き下げられるので、プラスマイナスはゼロです。しかも850万円以上の人は増税の可能性も出てきます。
確定申告では、対象となる所得控除があればできる限り記入をして、節税対策をすることがお勧めです。
【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司
会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。
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