アフィリエイトやフリマ、仮想通貨などの副業で利益が出た場合には金額によっては確定申告が必要です。本業とではなく副業として活動している場合でも、所得税の申告が必要になることがあることは知っておきたいところです。しかしいくらから申告をしなくてはならないのでしょうか。また副収入を得るために必要経費が掛かっているときにはどのようにすればよいのかも、疑問に思われがちなところかも知れません。この記事では、雑所得とは何かという基本的なことから分類の方法、さらに必要経費の計算方法や確定申告書への雑所得の記入方法までをご紹介しています。加えて雑所得がある場合に合わせて知っておきたい、住民税の確定申告に関しても触れています。
雑所得とは?
- アフィリエイトでの収入
- インターネットオークションやフリマ販売(転売)の収入
- FX、株取引等による所得
- 仮想通貨で得た利益
雑所得は、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得の定義に当てはまらないものです。さらに雑所得には2つに分類可能で、その1つが公的年金に係る雑所得、もう1つが公的年金以外の雑所得です。
上記は、公的年金以外の雑所得に分類されます。もちろん単に家にある不用品を処分する目的でフリマやオークションで売る場合は、課税の対象とはなりません。しかし不用品の処分ではなく、利益を得るために転売したときには課税対象となります。
雑所得になる意外なものとは?
雑所得の申告対象となる所得について、下記のような所得があります。
- 国税通則法58条1項に規定する「還付加算金」と呼ばれるもの
- 事業所得以外の動産の貸付けによる所得
- 所有期間が5年以内の山林の伐採または譲渡による所得
- 給与所得がある方:不用品の処分目的以外の出品且つ年20万円以上の所得を得た
- 給与所得がない方:不用品の処分目的以外の出品且つ年48万円以上の所得を得た
雑所得が20万円以下でも住民税の確定申告は必要
雑所得が20万円以下の場合には、所得税の確定申告をする必要がありません。
しかし住民税については申告が必要となるため注意が必要です。雑所得が20万円を超えたため確定申告をした場合には、住民税の申告は不要となります。その理由は確定申告を行うことによって市町村へ税務署から通知されるためです。確定申告をしない場合でも、本業の他に収入があれば住民税の申告も忘れずにしましょう。
雑所得の必要経費とは?
雑所得として一般的に認められる必要経費
- 販売するための商品等の仕入や送料
- ネットショップ等のシステム利用料
- 交通費
- 業務のための借入金の利息
上記の経費は一般的に必要経費として認められています。
収入から必要経費を差し引いた金額が所得となります。どこまで必要経費にできるか曖昧な部分もあります。もちろんプライベートで使用したものを必要経費にすることはできません。
場合によっては認められる必要経費
- パソコンやスマートフォン
- 交通費
- 家賃
- 倉庫の賃料
- 取引先との飲食代やお中元・お歳暮
- お祝い金など
- 販促費・広告費
- 通信費(インターネット代)
- 賃貸物件を維持するための光熱費
- 水道代
- ガス代
- 電気代
これらの経費は、場合によっては必要経費として認められます。
プライベート分も含まれる必要経費は「家事按分」
自宅で副業をしていると、業務とプライベートで兼用しているものも多いでしょう。
例えば家賃や光熱費、通信費などは副業と私用のどちらでも使用されています。そういったプライベート用と事業用が混ざった支出があるときには、事業で使用した割合によって経費に計上することになります。
これを家事按分といいますが、注意するべきなのはその比率です。家事按分の割合を決める際には、使用時間や面積などの根拠が必要となる点には注意が必要です。
雑所得の計算方法とは?
雑所得の金額を計算するには、収入金額から必要経費を差し引きます。こうして算出した雑所得の金額が20万円に満たない場合には、所得税の確定申告はする必要はありません。
しかし20万円を越えた場合には、確定申告をする必要があります。雑所得の金額を計算したらこれをもとに、所得税がいくらかかるのかを計算することが可能です。
税額を計算する場合には、まず所得金額から様々な控除額を差し引きます。
例えば代表的な所得控除には、社会保険料や生命保険料が挙げられるでしょう。社会保険料控除は国民健康保険や国民年金など、生命保険料控除は生命保険や個人年金などです。他にも様々な所得控除がありますが、人によってこれらの有無は違います。
しかしこれらの他に、原則すべての人が対象となる基礎控除もあります。これらの額を差し引いて出すことができるのが、課税対象となる所得金額です。課税される所得金額に対する税率は、金額によって変わってきます。雑所得から所得控除を引いた額が、千円未満の場合には税金はかかりません。
例えば千円以上194万9千円以下の場合には、課税される所得金額に5%を掛けて計算します。金額によって7つの段階があるので、所得金額に応じた方法で計算する必要があります。
雑所得の確定申告書への書き方とは?
公的年金等に記載するもの
- 厚生年金
- 国民年金
- 共済年金
- 恩給(一時恩給を除く)
- 適格退職年金(自己負担部分を除く)
- 勤務していた会社から支払われる年金
確定申告書に記入する際、上記年金機構からの収入は公的年金の雑所得として申告をする必要があります。
公的年金などの雑所得を計算する場合には、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算をします。公的年金等控除額は公的年金の収入金額によっても違うほか、65歳未満と65歳以上でも変わってくるので注意が必要です。
雑所得「業務」又は「その他」に記載するもの
- 生命保険・損害保険の年金(個人加入)
- 個人加入の郵便年金(簡保等)
- 本業ではなく副業で得た副収入(アフィリエイト収入)
- 原稿料
- 講演料
- 仮想通貨で得た利益等
- 本業以外で不定期・スポットで行った仕事で得た収益
雑所得の確定申告をする際に、上記のような公的年金以外の雑所得の金額が20万円以上ある場合には、確定申告書の「業務」又は「その他」のところに記載して申告する必要があります。雑所得を計算する際には、収入金額から必要経費を差し引きます。
雑所得の確定申告に必要な書類とは?
- 確定申告書様式
- 源泉徴収票
- 私的年金等を受けている場合には支払金額などが分かるもの
- 各種控除を受けるために書類
雑所得の確定申告をする場合には上記の書類が一般的に必要となります。
まとめ
雑所得の必要経費や確定申告についてご紹介しました。雑所得は10ある所得の種類のうち、どの定義にも当てはまらない所得です。収入から必要経費を差し引いた金額が20万円以上の場合には、所得税の確定申告が必要となります。住民税の申告は雑所得が20万円に満たない場合でも、必要となるので注意が必要です。
仕入れの費用や送料などは必要経費として認められ、収入金額から必要経費を差し引いた金額を申告することになります。一般的に認められているもののほかに、場合によって必要経費として認められるものや家事按分で処理しなければならないものもあります。もし必要経費の計上に悩むときや、確定申告の仕方が分からないときには税務署に問い合わせるか、税理士に相談するのがおすすめです。
【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司
会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。
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