税務調査とは?調査時期や期間、流れを解説

税務調査とは、納税者が確定申告で提出した書類の内容について、税務署などの機関が誤りの有無を調査するものです。特に初めて税務調査を受ける方は、突然の調査に戸惑うことが多いでしょう。本記事では、税務調査の種類、流れ、対象となりやすい企業の特徴について詳しく解説します。
税務調査とは?
税務調査は、企業や個人事業主が適正な申告を行っているかを確認するために実施されます。税務署は、申告された内容と実際の取引状況に誤りや不正がないかを調査し、必要に応じて修正申告や追徴課税を求めることがあります。
税務調査の種類
税務調査には大きく分けて「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。
1. 任意調査
一般的に行われる税務調査で、税務署や国税局が企業や個人事業主を対象に行います。基本的に事前通知があり、納税者と調査官が協力して調査を進める形になります。
- 資本金1億円未満の法人・個人事業者:税務署の調査部門が担当
- 資本金1億円以上の法人:国税局調査部が担当
調査官の質問に対し、虚偽の申告や黙秘をすると罰則の対象となるため、正確な情報を提供することが重要です。
2. 強制調査
強制調査は、重大な脱税の疑いがある場合にのみ実施されます。国税局の査察部(通称:マルサ)が担当し、裁判所の令状に基づいて行われます。
- 悪質な隠蔽工作が疑われる場合
- 1億円以上の脱税額が見込まれる場合
- 企業や個人が意図的に税務当局を欺こうとしている場合
強制調査では、納税者の同意を得ることなく証拠資料を押収することが可能です。最終的に脱税が認定されると、刑事罰が科されることもあります。
税務調査の流れと期間
一般的な税務調査の流れを把握しておくと、調査時に落ち着いて対応することができます。
1. 事前通知(任意調査の場合)
任意調査の場合、税務署から事前に調査の日程調整の連絡があります。これに対して適切な対応を行い、必要な書類を準備します。
2. 調査当日
調査当日の流れは以下のようになります。
- 事業概要の説明
まず、法人代表者や個人事業主が調査官に対して事業の概要を説明します。この段階では雑談に近い形で進むことが多く、調査官が会社の全体像を把握するためのヒアリングを行います。 - 帳簿や領収書の確認
- 売上や経費に関する仕訳帳
- 領収書や請求書
- 銀行口座の取引履歴
- 従業員給与の支払い記録 など
- 調査結果の確認と指摘
- 調査官が誤りや不備を指摘する
- 修正申告が必要な場合は、その内容を説明
- 追加の納税額が確定した場合、納付書が渡される
3. 調査期間
税務調査は、法人の規模によって異なりますが、一般的には2~3日で完了します。
- 個人事業主:1日~2日で終了することが多い
- 中小企業:2~3日が一般的
- 大企業:規模によっては1週間以上かかることも
税務調査の対象になりやすい会社
すべての企業が同じ頻度で税務調査を受けるわけではなく、特定の条件を満たす企業や個人事業主が重点的に調査される傾向があります。
1. 設立から3年が経過した会社
新設企業は利益が少ないため、調査対象になることは少ないですが、3年ほど経過すると利益が増え、経理ミスが発生しやすくなるため、調査対象になりやすくなります。
2. 大きな利益を上げている会社
税務署は、より多くの税収を確保するために、利益が大きい企業を重点的に調査します。また、売上が増加しているのに利益が減少している企業も、利益の隠蔽を疑われやすいです。
3. 勘定科目に大きな変動がある会社
税務署は、決算書の推移を分析し、異常な変動がある企業に対して調査を行うことが多いです。
- 売上や利益の大幅な増減
- 原価率の急増(架空仕入れの疑い)
- 異常な経費の増加(架空経費の計上の可能性)
- 買掛金や未払金、借入金の急増
例えば、売上が大幅に増えているにもかかわらず、利益率が低い場合、「架空仕入れや経費の過大計上があるのでは?」と疑われる可能性があります。
4. 事業所得で数年間赤字が続いている会社
事業所得が赤字の場合、給与所得から差し引くことが可能なため、長期間赤字が続くと調査対象になりやすくなります。
- 本当に事業を営んでいるのか?
- 適切に経費を計上しているか?
- 他の収入源があるのではないか?
特に、赤字が長期間続いているにもかかわらず生活が成り立っている場合、別の収入があるのでは?と疑われやすいため注意が必要です。
まとめ
税務調査は突然の通知に戸惑うことが多いですが、事前に流れや対象となりやすいポイントを理解しておけば、スムーズに対応できます。
- 税務調査には「任意調査」と「強制調査」がある
- 一般的な税務調査は2~3日で完了する
- 特に3年以上経過した会社、大きな利益を上げている会社、決算書の変動が大きい会社は調査対象になりやすい
- 日頃から正しい経理処理を行い、必要な証拠書類を整理しておくことが重要
適切な準備をしておけば、税務調査も怖いものではありません。日々の経理業務を適正に行い、スムーズに対応できる体制を整えましょう。
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