確定申告に計上できる必要経費の項目は?認められる範囲はどこまで?

必要経費に関しては分からないことが非常に多いので、具体的にどこまで計上できるのか、認められる範囲はどこまでなのかというところに注目します。

確定申告における必要経費の項目は?

確定申告は一年に1度行うもので、個人事業主や自営業者であればほぼ必ず必要になる作業です。面倒な計算や入力作業なども多いので、後回しにしたくなるのですが、内容を詳しく理解するとスムーズに作業を行うことが出来ます。

租税公課

確定申告で難しいポイントはいくつかありますが、一番多い悩みは具体的にどこまで計上できるのかという部分です。勘違いしていると家事費となる支出を必要経費として計上している場合があるので注意しなくてはいけないポイントです。まずは租税公課というものをしっかりと理解することから始めると良いです。

荷造運賃

荷造運賃について、初心者の場合は分からないことが多いので、これを丁寧に説明していきます。荷造運賃に含まれるものは、物を運ぶ時にかかる費用のことを意味しています。荷物はそのまま宅配業者に預けることは出来ないです。中身が壊れないように緩衝材を入れたり、ダンボールに入れてガムテープでしっかりと固定する必要があります。荷造りをするときに必要なものは荷造運賃に含まれますし、運送業者に支払うお金も荷造運賃になります。

水道光熱費

水道光熱費についても正しく理解しなくてはいけないです。個人事業主の場合は働き方は様々で、自宅で仕事をする人も多いです。その場合は仕事で使うための部屋の家賃やインターネット代をはじめ、水道光熱費など計上することが可能です。自宅と会社や事務所が別の場合は難しくなります。仕事に使用するということであれば、水道光熱費の一部を計上することができます。自分のライフスタイルによって計上できるものと範囲が変わることを理解しておくと良いです。

旅費交通費

旅費交通費は目的によって計上できるか大きく変わります。基本的に事業に関する支出であれば問題なく計上することが出来ますが、研修や親睦を深めるための旅行になると旅費交通費ではなく接待交際費になることが多いです。旅費交通費は旅費と交通費の合計なので、この二つを合わせて処理を行います。旅費は移動に必要な交通費や宿泊費が含まれますが、他にも出張手当なども該当します。複雑に分かれているので、詳細を確認するべきです。

通信費

通信費というのは、インターネット回線を使うためにかかる費用やスマートフォンの使用料金だと思ってもらえれば良いです。今の時代インターネットを一切使わずに仕事をするのはほとんど不可能ですし、事業を行ううえで必ず発生する必要経費と考えても良いです。スマートフォンも同じで、現代社会では必需品になりつつあるので料金を計上できるということを知っておいた方が良いです。毎月の固定費なので年間を通して積み重なると結構な金額になります。

広告宣伝費

広告宣伝費は会社や事業を行う人にとって無視できない費用です。自社のサービスや商品を宣伝するためには広告宣伝費を支払ってアピールしていかなくてはいけないです。このときにかかるお金は広告宣伝費として計上することが出来ます。大規模な事業を展開していたり、幅広いサービスを展開していると広告や宣伝にかかる必要経費も非常に多くなるので、しっかりと計上していかないと大きな負担として経営を圧迫することになってしまいます。

接待交際費

接待交際費は親睦を深めるために使う必要経費のことを意味しています。仕事をしていく中で必要なつながりはたくさんあります。消費者と直接つながる関係性があれば、同業者同士で情報を交換する横のつながりまで色々存在します。交流をするときには食事をすることが多く、高級料亭やレストランを使うことが多いので、付き合いが多くなると接待交際費も多くなる傾向があります。正しく計上することで無駄をなくすことが可能になります。

損害保険料

損害保険料は条件付で必要経費として計上できます。例えばオフィスや事務所として使っている物件に火災保険をかけた場合は計上することが可能です。自宅とオフィスを兼ねている場合は一部は必要経費となるので、少し複雑になります。事業用で使用している車両にかけている自動車保険や自賠責保険などは、必要経費にすることができるので、しっかりと覚えておきましょう。他にも地震保険や火災保険も含まれるので、損をしないように手続きをすると良いです。

修繕費

仕事に関係するオフィスや事務所の修繕費は計上することが可能です。経年劣化で内装や外装が痛んだ場合は修理が必要になりますし、水漏れや地震による損壊も対象になります。仕事用のパソコンが壊れてしまって、それを修理するために使ったお金も修繕費として扱うことが出来ます。修繕費は原状回復に使用されるお金なので、現状以上の状態にリフォームしたりすると資産計上しなければならないなど扱いは変わるので注意しましょう。

消耗品費

消耗品費はランニングコストと呼ばれるものが該当します。コピー機やプリンターを使うときはインク代や印紙代、電気代などが掛かります。消耗品費は毎日かかるものなので、年間を通して計算するとかなり高額な金額となります。パソコン関係の備品なども同じ扱いになるので、文房具なども消耗品なので消耗品費として計上することが可能です。書類関係も同様に扱うことが出来るので、オフィスや事務所で使うものはほとんど当てはまります。

減価償却費

減価償却費はよく分からない言葉だと思いますが、1度理解するとそこまで難しいものではないです。減価償却費は金額の高い電化製品や機械設備、内装設備などを数回に分けて支払うことを意味しています。会社に新しい機器や設備を導入したい際に耐用年数と減価償却費のバランスを見て購入するものを決めていくと良いです。分かりにくい部分が多いですが、使い方次第で経営を楽にしてくれることもあります。

福利厚生費

福利厚生費はよく耳にする言葉なので、誰でも1度くらいは聞いたことがあるはずです。業務に直接関係しなくても、社員の健康状態やストレス解消につながるものであれば対象になることが多いです。「食事補助」などが代表的なものですが、会社でコミュニケーションを図るために設置した娯楽施設なども条件次第では福利厚生費に含めることが出来ます。大きな企業や組織になると福利厚生費の金額も高くなる傾向があります。

給料賃金

給料賃金は名前からも分かるとおり、従業員に支払うお金のことです。従業員の数や給料によって計算が変わってくるので、帳簿をつけておかないと情報を整理するのが難しくなります。十分な情報がないと計算できない費用でもあるので、管理はしっかりと行うようにしましょう。

外注工賃

外注工賃は外部の業者に頼んだときに発生する費用です。ホームページの管理や経理を代行している場合は外注工賃の範囲内になります。他にも外部の業者に仕事を依頼することがあれば計上することができます。最近はSNSが普及していて、SNSの管理を外部にお願いすることも増えているので、外注工賃は増加傾向にあります。計算が複雑化することで間違いなども多くなるので、週や月などの都度ごとに細かく管理していく必要があります。

利子割引料

利子割引料はお金を借りた時に発生する利子に関するものです。親戚や友人など、知り合いに事業用の資金を借りた場合も借用書などの書類を作成しなければいけないです。一緒に生活している家族から借りたお金は、利子割引料には含めないです。書類で管理するとかなり大変なので、クラウド会計システムを使って管理するのがお勧めです。クラウド会計システムを使うと管理が非常に楽になりますし、税理士と情報を共有することが出来るので意見交換も楽です。

地代家賃

地代家賃は仕事で使っているオフィスや事務所の賃借料金や、駐車場料金のことを意味しています。個人事業の場合は、自宅を事務所として使っている人も多いので、個人事業主にはメリットがあるものなので、しっかりと地代家賃を計上した方が良いです。仕事スペースと私用スペースを明確に分けることができれば良いですが、明確にすることが出来ない場合は計算も複雑になります。一日の行動範囲や流れなどを再確認してみると良いです。

貸倒金

確定申告にはあまり聞きなれない言葉もたくさんあります。まずは貸倒金というものですが、これは経営が悪化した時に回収できなくなったお金です。経営は常に予想通り進むというわけではなく、思わぬトラブルが起きることもあります。トラブルが起きるとそれを改善する時にたくさんのお金を使うことになります。そのお金を回収できないときは貸倒金として計上するテクニックがあります。知らない人が多いですが、意外と使えるテクニックです。

雑費

雑費はどこに該当するのか分からないものと考えれば良いです。何でもかんでも雑費として計算したくなるのですが、使い過ぎてはいけないという隠れたルールがあります。雑費が多すぎると指摘される可能性が高まりますし、支出の全体像が見えにくくなるので注意が必要です。高額ではないものは雑費に含めても良いですが、高額なものを雑費に入れてしまうと割合が増えてしまうので、気をつけたほうが良いです。

専従者給与

専従者給与はあまり聞きなれない言葉ですが、覚えておくと役に立つので知っておいた方が良いです。申告方法によって多少ルールが異なるので、しっかりと確認しておきましょう。白色申告の場合は専従者への給与は必要経費にできないですが、専従者控除として一定金額まで控除の対象になります。青色申告の場合は専従者への給与を専従者給与として計上できる場合があります。会計ソフトによっては、消費税区分を別に計算する必要があるので、最新のものをお勧めします。

必要経費に計上できない例は?

  • 生活のための地代家賃
  • 家族に支払う給与
  • 所得税・住民税
  • 出張の際の実費以外の出張手当
  • 事業とは関係のない水道光熱費

「必要経費に計上できない例はあるのですか」という質問をよく見かけるのです。例を挙げて説明していくと分かりやすいので、覚えてもらえれば幸いです。まずは生活のための地代家賃ですが、これは仕事とは関係ないので計上することが出来ないです。
対象になるのは事業用の物件にかかる家賃です。家族に支払う給与も必要経費として認めることはできません。家族に支払う給料は共同の資産という見方ができるからです。所得税や住民税も同じように計上することは出来ない決まりになっています。出張の際の実費以外の出張手当も必要経費として計上は出来ないです。事業とは関係のない水道光熱も、仕事には関係ないですし、個人的に使用しているだけなので該当しないです。

特定支出控除とは?

  • 通勤費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • 勤務必要経費

確定申告を毎年行っている人でも、分からないことはたくさんあります。お金の専門家である税理士などは確定申告のシステムを熟知していますが、一般的には分かりにくい作業だと思っている人が圧倒的に多いです。そもそも確定申告が必要なのかと考えている人も多いので、まずは順序を追って勉強することで理解度をアップさせることが出来ます。難しい用語の中でも、特に特定支出控除は聞きなれない言葉ですが、意外と身近なものに関係しています。何でも必要経費に含めることはできないので、ルールを確認しておくことが重要です。通勤費や転居費は特定支出控除に該当することもあるので、記録を残しておいた方が良いです。他にも研修費や資格取得費が該当します。

まとめ

確定申告のことを完璧に理解している経営者、事業主は非常に少ないです。税理士などが仕事を獲得することが出来るという点からも分かるように、専門的な知識を持っている人意外は理解するのが難しいところがたくさんあります。一度の確定申告では分からないことが多いので、今回説明した内容を覚えてもらえれば流れや全体像は分かるはずです。確定申告に計上できる必要費用について説明したので、どこまで必要経費に含めたらよいのか、どのくらいの金額を計上すれば良いのかという疑問点も解決することが出来るはずです。一年に一度の作業なので、そこまで詳しくならなくても問題ないという見方も出来ますが、理解度を深めておくとお金を管理しやすくなります。

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

【監修者】代官山税理士法人 / 代表 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般にも携わる。また社会保険労務士として事業会社において各保険の入退社手続き、役員及び従業員向けの退職金制度導入、就業規則の作成等に至るまでの労務を経験。社会保険の知識にも明るい。ヒトとカネの融合的視点からのアドバイスを可能とする。

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