医療費控除とは?控除対象、明細書の書き方や期限はいつまでかを解説

医療費控除に関して実際に積極的に利用していると言う人は意外と少なく、中にはその制度自体を理解していないと言う人も少なくありません。届け出が面倒であるとか、その手続きを知るのに時間がかかるといった理由でせっかくの節税のチャンスをふいにしている人は多いものです。
ここでは医療費控除の詳しい内容や、具体的にどのようにすれば控除を受けることができるのか、また実際に届出の方法等に関して詳しく解説をしていきます。申告をするだけで大きくなった医療費に対して税金面での優遇を受けることができる制度となっているので、その意味を理解して正しく利用することで経済的な負担を軽減することができるほか、効果的な病気の治療にも役立てることができるものとなっています。

医療費控除とは?

医療費控除とは様々な病気の治療に対して払った治療費の金額が一定の水準を超えた場合、その金額に応じて所得税が優遇される制度となっているのが特徴です。基本的に治療費は保険適用の場合には現在の法律では総額の3割が自己負担となっていますが、最近では自由診療の場合も非常に増えており、加えて高度医療の場合には非常に高額な治療費を負担しなければならない場合も少なくありません。
これに対して、医療費控除は基本的に年間10万円を超える治療費を病院などで払った場合、その金額に応じて所得税が控除される仕組みとなっているもので、確定申告の際に申告を行うことにより払った税金が戻ってくるという仕組みとなっているのが特徴です。

医療費控除対象になるもの・ならないもの

医療費控除の対象になる治療費

  • 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価
  • 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価
  • 病院
  • 診療所
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 指定介護老人福祉施設
  • 指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師
  • きゅう師
  • 柔道整復師による施術の対価
  • 保健師
  • 看護師
  • 准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価
  • 助産師による分べんの介助の対価
  • 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価
  • 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
  • 医師等による診療
  • 治療
  • 施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの
  • 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
  • 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
  • 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導の内
  • 一定の基準に該当する者が支払う自己負担金

医療費控除の対象になる治療費は、一般的には病院に通院した場合に窓口で払った治療費と、その際に処方箋をもらって薬局で払った薬代と言うイメージが強いものです。
しかし実際にはこれらの病院に払った医療費のほか、自分自身で購入した市販医薬品の費用や、病院に通院するための交通費なども対象となる事はあまり知られていません。さらに自分自身で体調の改善のために依頼をしたあんまマッサージ指圧師の費用や、その他の治療に関わる様々な費用も対象になります。

医療費控除の対象にならない治療費

  • 健康診断の費用や医師等に対する謝礼金
  • ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金
  • 疲れを癒したり体調を整えるといった治療に直接関係のない費用
  • 所定の料金以外の心付け
  • 家族や親類縁者への付添料
  • 自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金

医療費控除の対象にならない治療費は、病気に直接関連しない健康診断や予防薬の購入費用等が当たります。また注意しなければならないのは、通院に自家用車を利用した場合のガソリン代は控除の対象外になると言うことです。家族の病気の治療に付き添うと言う場合も医療費控除の対象とはなりません。
疲れを癒したり、体調を整えるといった病気の治療に直接関連性のない費用は医療費控除の対象にならないため注意をすることが大切です。

医療費控除は医療費の合計が10万円を超えると受けることができる

医療費控除は具体的には医療費の合計が10万円を超える場合に、その超えた金額に対して所得税の控除が行われると言うものです。例えば家族を含めて1年間の医療費が15万円だった場合、その15万円から10万円を差し引いた5万円が医療費控除の対象額となります。
その際に実際の税金の面ではそれぞれの所得税の納付状況によっても異なりますが、約1万円ほど所得税が減免される形となるため、課税の面では非常に大きな金額になると言うことができます。確定申告を行わなければこれが認められる事はありませんが、書面と領収書を提出するだけで簡単に控除を簡単に受けることができるので、積極的に利用した方が良い方法となっているのが特徴です。

医療費控除の計算方法

所得金額が200万円以上の場合

所得金額が200万円以上の場合には、実際の年間の医療費から10万円を差し引いた金額を医療費控除の対象として申告することができます。例えば医療費が15万円の場合には10万円を差し引いた5万円が控除対象として申告できる金額となります。

所得金額が200万円未満の場合

所得が200万円未満の場合には、所得金額の5%を医療費控除の金額とすることができます。150万円の所得がある場合には7.5万円がその基準となり、年間の治療費からこの7.5万円を差し引いた金額が控除対象となる金額として申告することが可能です。

セルフメディケーション税制

最近では病院に行かずに市販の医薬品などで病気を治すセルフメディケーションも非常に有効な方法と推奨される風潮となっており、病院に行かずに医師の負担を減らすことで効果的に病気の治療を行う方法と推奨されています。このような場合の市販の医薬品の購入費用も、医療費控除の対象となっているのです。
ただし一般の病院に通院した場合の扱いとは異なり、細かな点に違いがあることに注意をしなければなりません。
セルフメディケーション税制の場合には、控除額はこれらの医薬品の購入費から12,000円を差し引いた金額となるほか、その上限が88,000円までと限られているため、それ以上の金額を市販薬の購入に費やした場合でも対象とならないため十分に注意をすることが必要です。

医療費控除の注意点

入院費用について

病気によって入院をする場合に、その入院費用は医療費控除の対象となることが多いものです。ただしその入院費用も基本的には病気の治療を行うための必要最小限のものに限られるため、差額ベッドの費用や検査入院等の場合には対象とならないことに注意が必要です。

歯の治療について

歯の治療の場合にも医療費控除の対象となるので、基本的には申告を行うのが良い方法となっています。ただし健康の維持を目的としない歯列矯正や、その他の治療に関しては医療費控除の対象とならないケースもあるため注意をしなければなりません。

交通費について

通院に必要な交通費も、領収書等を提示することによって医療費控除の対象となります。ただしこの場合は自分が治療の必要があって通院する場合に限られ、さらに自家用車での通院の場合にはガソリン代が負担されない点にも注意が必要です。

医療費控除の申請は確定申告でできる

必要な書類

  • 確定申告書
  • 医療費控除の明細書
  • 医療費の領収書
  • 健康保険の医療費通知

医療費控除の申告は確定申告を行う際に医療費控除明細書や医療費の領収書、及び健康保険の医療費通知等の書類を添付することって簡単に行うことができるのが特徴です。通常の経費と同じように領収書を提出することで申告を行うことができるので、非常に簡単なものとなっています。

医療費控除の明細書の書き方

医療費控除の申告を行う際にはその明細書を提出することが必要ですが、基本的には受診した医療機関や購入した医薬品の名称と金額を記入するだけの簡単なものです。様々な文献にその参考例が載っているので、これを参考にして記入することが必要となりますが、基本的にはこれと領収書が関連付けられていればよく、特に注意をすることはありません。
ただし、医療費控除の対象とならないような通院やその他の経費に関しては記載すると様々な問題を発生させることも多いので注意が必要です。基本的には控除の対象となるような治療費や薬代、及び交通費等を明記することが重要で、これ以外のものは記載しないほうが無難です。同時に、不明な点は担当者に申告の際に相談をすることが良い方法となっています。

医療費控除の申告期限は5年間

医療費控除の申告は1年分を取りまとめて行う仕組みとなっていますが、その控除の申告期限は1年ではなく5年間であると言うことを知っている人は意外と少ないものです。すなわち申告単位は一年間のものとなりますが、過去のものを後追いして申告するのであっても5年間は有効であると言うことになります。

医療費控除の確定申告はみんなの税理士相談所まで

医療費控除は、本人や家族の治療などで医療費が大きくなってしまった場合に税金が減免される非常に効果的な制度となっており、経済負担が大きくなりがちな病気の治療に役立てることができる制度となっているのが特徴です。しかし実際には利用している人は少なく、その要因には正しく医療費控除の制度を理解していないと言うものも少なくありません。
特に実際に保険が適用される病院での治療以外にも様々な病気の治療に関して控除対象となるものが多いので、このことをしっかりと認識して効果的に利用をすることが大切です。加えて申告自体は確定申告と一緒に行うことができ、申告期間も1年単位でありながら5年前まで遡ることができるので、万が一忘れてしまった場合でも後追いで申告できることが特徴となっています。

【監修者】代表 / 大勝 健司

【監修者】代表 / 大勝 健司

会計士試験合格後、監査法人に入社。百貨店、不動産ディベロッパーを中心にホテル、飲食業、製造業など幅広い事業の監査業務に従事。 その後、売上高数千億の一部上場企業(小売業)にて、企業内会計士として経理業務に従事。税金計算や固定資産業務を中心に、決算短信、四半期報告書、有価証券報告書、事業報告などの外部公表資料の作成を担当。 また税理士として、決算書の作成、法人税申告書、相続税の相談から申告実務全般に携わる。

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