青色申告とは?白色申告との違いやメリット・デメリット【まとめ】

初めて確定申告を行う人の中には、青色申告と白色申告の違いが分からないという人も多いはずです。また、今までは白色申告を行っていたけれど、お得だと言われることが多い青色申告に変えたいと考えている人もいるでしょう。こちらの方法で確定申告を行う場合は、節税面でお得になるので利用できる人は積極的に利用したほうが良いと言えます。しかしながら、十分な知識がなければ内容を勘違いしていたり、ミスが起こったりする可能性が高いです。ここでは、青色申告と白色申告の違いや青色申告を行うことのメリットやデメリットを解説します。この方法で確定申告を行いたいと考えているのであれば、納得できる確定申告を行うためにも解説を参考にしてみてください。

青色申告とは?

青色申告とは、決められた帳簿に日々の取引を記帳し、その記録に基づいて確定申告を実施するという制度です。正規の簿記の原則に従って作成された帳簿の備え付けが義務となっており、「複式簿記」または「簡易簿記」の簿記形式を守る必要があります。誰でも行えるものではなく、事前に税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しておくことが必要です。
これらの提出を行っていない場合は、自動で白色申告者となってしまいます。期間内に申請を行う必要があるため、確定申告を行う時期になってから青色申告を実施したいと思っても間に合いません。条件を満たしていれば行えますが、1つでも条件を満たしていないと実施できないので注意しておきましょう。

青色申告と白色申告の違いとは?

青色申告と白色申告の大きな違いは、事前に申請が必要かどうかですが、それ以外には記帳方法や確定申告書類、帳簿にも違いがあります。

「青色申告の場合」
・記帳方法は複式簿記または簡易簿記(10万円控除の場合)です。
・確定申告書類は、確定申告書Bと青色申告決算書となっています。
・帳簿は主要簿として総勘定帳と仕訳帳、補助簿として現金出納帳と売掛帳、買掛帳と固定資産台帳などが必要です。(10万円控除の場合は現金出納帳・売掛帳・買掛帳・固定資産台帳・経費帳)

「白色申告の場合」
・記帳方法は簡易な方法での記帳で問題ありません。
・確定申告書類には、確定申告書Bが必要です。
・帳簿は簡易な記載の帳簿で良いとされています。

青色申告のメリットとは?

青色申告特別控除を受けることができること

青色申告で確定申告を行うメリットは、最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられることです。複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付すれば最大65万円の控除が受けられます。単式簿記で損益計算書を添付した場合は、10万円の控除を受けることができるでしょう。税金の対象となる所得が控除されるので、大きな節税効果を期待することができます。
事前に申請して青色申告を行うことが認められている必要な書類を添付して確定申告を行う必要がありますが、大きなメリットが感じられるはずです。白色申告を行うとこういった控除が一切ないので、青色申告対象者は青色申告で確定申告を行う準備をしておいたほうが良いと言えます。

青色事業専従者給与を必要経費にできる

青色申告で確定申告を行うのであれば、配偶者や親族に支払った青色事業専従者給与を経費として所得から差し引くことができます。申告者と生計を同一にしている配偶者と15歳以上の親族が事業に専従し、給料が支払われている場合が対象です。配偶者は最高86万円、15歳以上の親族は最高50万円を必要経費という内容で処理することができます。
事前に税務署に提出しておく必要がある「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載された金額の範囲で、専従者の労務対価として適正な価格であることが認められておかなければなりません。条件をクリアする必要がありますが、必要経費での計上が認められた場合は大きな特典になることに間違いないです。

貸倒引当金を計上することができる

取引先などが倒産などで支払い能力がなくなったときの損失額を予測して計上するお金を貸倒引当金と言いますが、青色申告ではこれを計上することが認められています。年末における貸金の帳簿価格を合計した5.5%以下の金額を貸倒引当金として計上する場合は、その金額を必要経費として認めてもらうことが可能です。金融業は3.3%以下などの決まりがありますが、条件を満たしていれば計上が認められます。
貸倒れなどによる損失見込み額については、それぞれの事由に応じて限界額まで貸倒引当金勘定へ繰り入れることが可能です。貸倒損失によるリスクへの対策は重要であり、青色申告の場合はこのリスク対策を行うときにお得な特典があると知っておきましょう。

3年間純損失の繰り越しと繰り戻しができる

青色申告をしておくと、純損失の繰越しや繰戻しができます。純損失の繰り越しは、事業を行う上で赤字が出たときに、損失分の金額を翌年から最長で3年間繰越せるという内容です。たとえば、令和元年に50万円の損失が出て、翌年に100万円の黒字が発生したとします。令和元年度に青色申告を行っていれば、翌年の所得の100万円から前年度の赤字分50万円を差し引いて、令和2年度の所得を50万円に減らすことが可能です。
純損失の繰戻しは前年に100万の黒字が出て、今年50万円の赤字が出たとき、前年に納めた税金から赤字分にかかる税金額を還付してもらうことができます。各年の税負担を軽減することができる制度があると知っておきましょう。

減価償却の特例を受けることができる

白色申告を行っている場合は、仕事で使用するPCや車などの固定資産で10万円以上のものは減価償却を行う必要があります。これらは使用できる期間に応じて減価償却を行うことが定められており、たとえば、20万円で購入したPCの減価償却期間は4年であり、毎年5万円ずつ経費として計上することになるでしょう。
20万円分を計上し終わるまでには4年間が必要となります。青色申告の場合は30万円以上のものを一括で全額経費とすることが可能です。PCや車などの固定資産を購入した年に全額を経費で計上することができるため、所得金額を減らすことができます。結果として、特例があることでその年の所得税を抑えることができるようになるでしょう。

2021年分から青色申告特別控除の要件が改定

令和2年分の所得の確定申告から青色申告特別控除65万円の要件が改正されており、令和2年分から青色申告特別控除65万円を受けるためには、e-Taxによる電子申告が必須となりました。電子申告を行わない場合は控除額が55万円に減額されますが、基礎控除額は10万円アップするので増減は0です。
一方で、電子申告を行うと基礎控除の10万円アップも適用されるので、これまでよりも10万円多く控除が受けられるようになります。今までと比較して、電子申告をしないからという理由で損をすることはありませんが、得するチャンスを逃すことにはなるでしょう。10万円の控除はとても大きいので、電子申告を行っていない場合は積極的にe-Taxへ切り替えることがおすすめです。

青色申告のデメリットとは?

魅力が多いものではありますが、この方法で確定申告を実施する場合は記帳が難しいというデメリットがあります。原則として複式簿記で記帳する必要があるので、簿記の知識が乏しい人はこの作業が難しいと感じたり、時間がかかったりするでしょう。
税理士に依頼したり会計ソフトを使用したりすることもできますが、お金や手間がかかる可能性が高いと知っておくべきです。間違った申告を行うと税務調査の対象となるので確実に実施する必要がありますが、そのためには多くの労力が必要となります。

青色申告ができる所得は?

  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 三林所得

青色所得を行うことができる所得は、事業所得・不動産所得・山林所得の3種類です。個人事業主に分類される人が対象であり、ライターやデザイナー、プログラマーで活躍する人も対象となっています。納税地の所轄税務署長の承認を受けていれば、問題ないと考えて良いです。サラリーマンやパートなどの給与所得者であったとしても、それに加えて3種類のいずれかの所得がある場合は青色申告の対象者となることを知っておきましょう。

青色申告ができない所得は?

  • 給与所得
  • 退職所得
  • 譲渡所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 一時所得
  • 雑所得

所得の全てがこの申告方法の対象となるわけではありません。会社員の給与所得や退職所得は該当しませんし、土地などの譲渡による譲渡所得、株の配当金で得られる配当所得などは対象とならないです。
預貯金の利子による利子所得やギャンブルの一時所得、それ以外の雑所得も含まれていないので注意が必要だと言えるでしょう。金額の大小に関係なく含まれない所得があるので、勘違いすることがないように注意しておく必要があります。

青色申告をするための条件とは?

青色申告を行うための条件としては、「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。すでに事業を開始している場合は、その年度の3月15日までに提出する必要があります。3月15日が土曜日もしくは日曜日の場合は、翌月曜日が期限です。1月16日以降に新規開業したときは、業務を開始した日から2か月以内に提出しましょう。
1月1日から1月15日に開業した場合は、すでに事業を開始している場合と同様に3月15日が期限となっています。新規開業のときには開業届と一緒に提出することができるので、このタイミングで提出しておくことがおすすめです。申請が認められたのであれば、この方法で確定申告を行うことができるようになります。

まとめ

青色申告は白色申告よりも複雑なので簡単に実施できるものではありませんが、条件を満たして正しく実施することができれば、かなりの節税に繋がるお得なものだと言えます。難しそうだから詳しい内容を理解していないからなどの理由で白色申告のままにしている人も少なくありませんが、青色申告の対象者に該当するのであればこちらの申告方法を利用することがおすすめです。
余裕を持って書類の提出を行ったり帳簿付けを行ったりすれば、簿記の知識が少なかった人でも行うことができます。興味がある場合は、メリットやデメリットを含む具体的な内容を知ることから始め、この方法で確定申告を実施することができるようにしておくと良いでしょう。

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